平成19年2月28日 衆議院予算委員会第4分科会

○斉藤(鉄)分科員 公明党の斉藤鉄夫でございます。
 ことしも予算委員会の分科会の季節がめぐってまいりました。分科会での質問というのはふだんの委員会とはちょっと雰囲気が違いまして、ちょっと委員会では聞くのが恥ずかしいなと思うような問題や、与野党から注目を浴びているというようなこともございまして聞きにくいこともあるんですが、この分科会というのは、ある意味で、まとまった三十分という時間、大臣とふだん話しにくい問題といいましょうか、聞く機会がなかったような問題について、ちょっとざっくばらんに議論をさせていただければという気持ちで立たせていただいております。どうかよろしくお願いいたします。
 最初に、国会における科学技術の議論が最近なくなったのではないかということについて、ちょっと話をさせていただきます。
 省庁再編以来、国会の委員会の構成も変わりました。昔は科学技術庁があり、それに対応する常任委員会として科学技術委員会がありました。そこで常時科学技術についての議論が行われ、そして法律も必ず通常国会には二、三本出てきておりました。議論が行われていたわけですが、省庁再編、それで文部科学委員会になった。逆に、総合科学技術会議が内閣府にできて、内閣府に科学技術担当大臣がいらっしゃる。文部科学大臣がいらっしゃって、文部科学委員会がある。ある意味では、議論をする場が二つにふえたんですが、実質、どちらでの議論もほとんど行われなくなったというふうに実感をしております。
 内閣委員会で科学技術担当大臣が来て科学技術の議論をしたというのは、全くないとは言いませんけれども、ほとんどされていない。文部科学委員会でも、もちろん教育は重要問題ですのでその議論が中心になる、これは当然かもしれませんが、科学技術についての議論がほとんどされなくなった。法律も全く出てこなくなったですね。科学技術関係の法律が出てくるのは二、三年に一度になりました。そういうのを実感しております。
 これは立法府の問題ですけれども、国会議員でもいらっしゃる大臣、このことをどのようにお考えになられますか。

○伊吹国務大臣 ありがとうございました。
 きょう科学技術の御質問を第四分科会でいただいたのは、政調会長が初めてでございます。ですから、立法府において私は活発に御議論をしていただいたらいいと思うんです。
 科学技術は確かに、現状、文部科学省になりましても、予算的にいっても文部科学省が所管しておるものが圧倒的に多いです、政府予算の中に占める、もちろん経産省その他ございますが。それだけに、立法府の立ち居振る舞いについて行政府の私が云々するのはいかがかと思いますが、遠慮なくとおっしゃっていただいたので、国会議員という立場で申し上げれば、もう少し議論があってもいいんじゃないかという気はしますし、むしろ総合科学技術会議ができましてから官邸の会議は非常に頻繁に開かれていて、私も、かえってその会議に出ることによって、なるほどなと思うこともたくさんあります。
 予算面においては、執行権限を持っておる多くの予算は我が省にございますので、総合科学技術会議というのは大きな方針を決めるところでございますので、具体的なことは私が責任を持ってやっておりますから、各先生ももう少し闊達に御議論いただければかえって結構なことじゃないかと思っております。

○斉藤(鉄)分科員 これは、まさに国会、立法府の問題ですので、我々が真剣にどうすれば活性化するのかということを考えなくてはいけないと思います。
 しかし、片一方で、いわゆる行政の方の科学技術の執行体制がどうなっているのか非常にわかりにくくなっているというのも確かなんです。昔は科技庁長官がいて、各省庁の科学技術政策については科技庁長官が責任を持って調整する、大学については文部大臣が権限を持つということでわかりやすかったんですけれども、今、総合科学技術会議がある、しかし予算は大半を文部科学省が持っていて、文部科学大臣、科学大臣ですから、科学大臣がいらっしゃる。一体どちらが主役なのかということがはっきり言ってわからなくなっている、このように思います。
 総合科学技術会議と文部科学省とどういう関係なのかということを文科大臣はどのように考えていらっしゃるのか、内閣府はどのように考えているのか、ちょっとお聞きをいたします。

○伊吹国務大臣 全体的な戦略を立てるということは総合科学技術会議にお任せするということだと思いますが、先生おっしゃったように、大学、それから研究機関、それから原子力を中心とした独自の機構その他がございますので、その立場は十分お話をしている。だから、どちらがどうということじゃなくて、車の両輪としてやっていくわけですから、公明党さんと自民党が車の両輪のようにして政府を牽引しているというのとよく似たことじゃないでしょうか。

○丸山政府参考人 総合科学技術会議と文部科学省の関係についてのお尋ねでございます。
 ただいま文科大臣から御答弁があったとおりでございますが、若干事務的に補足をさせていただきます。
 総合科学技術会議が内閣府に置かれております理由というのは、内閣の重要政策として、経済、財政と並んで、科学技術という政策について、文部科学省を初めとする各府省、つまり行政内部の施策の統一を図るという観点から、必要な総合調整、企画立案を行うということで内閣府に置かれております。
 先生御指摘の科学技術会議の時代は、いわばその事務局と実施部局が同じであったわけですけれども、行政改革によりまして内閣府に置かれたところは、ただいま大臣からお話のありました総合的な見地からの政策の総合調整をする、それから実施する各府省の政策のバランスがとれていることをきちんと担保するという観点から役割分担をしているところでございます。
 具体的な任務としては、繰り返しになりますが、科学技術の総合的かつ計画的な振興を図るための政策の立案、それから予算等の資源配分の方針について国全体を見渡して決める、それから大規模な研究開発、こういったものについての評価を総合科学技術会議が行うということになってございます。

○斉藤(鉄)分科員 この議論をずっと続けていてもしようがないんですけれども、内閣府の科学技術担当大臣というのがやはり国民から見て非常に見えにくい、ああ、そういう大臣いたのという感じがあるのは否めないところでございまして、そういう意味では、総合科学技術会議にもう少し頑張っていただきたい。国民の側から見ると、やはり科学技術を全部引っ張っていっているのは文部科学大臣、こういうイメージがあります。国の仕組みとの中で国民がそういうイメージを持っていることも確かですので、大いに日本の科学技術、国民の関心はほかの国に比べて低いと言われておりますけれども、頑張っていただきたい、このように思います。
 それから、ちょっと具体的な話になるんですが、先日、筑波大学のロボットスーツというのをちょっと視察、見学してまいりました。人間がスーツを着るんですけれども、一つ一つ、手や足やいろいろなところに、筋肉のかわりになるモーターがついております。例えば、右手を動かしたいと私が思ったとしますと、神経電流が流れますが、その神経電流を皮膚の表面で事前にキャッチして、その筋肉に指令が行く前にモーターが動き出して、右手を上に挙げるということを手助けする。
ですから、非常に重たいものも軽々持ち上げられる。神経電流をとるといいましても、針を体の中に刺すわけではなくて、表面センサーですので痛くもないということで、介護ロボットや福祉ロボット、重たい方を持ち上げたりするのに使えるとともに、リハビリ等にも非常にいい。
 つまり、例えば、神経を損傷してとか、けがをして右手を動かせない方がいらっしゃったとすると、動かしたいと思っても動かないわけですから、神経系統が劣化していくんだそうですが、動かしたいと思って電流が流れて、モーターがこうやって動くと、思ったことが現実に動くわけで、そういうことの繰り返しで、神経全体の、神経系統のリハビリにも非常に役立つという、医療としての価値も非常に今見直されているというふうなことでございます。
 私、非常にびっくりして感動したので、ちょっとここで御紹介させていただくんですが、そういうすばらしい研究を実用化して社会に役立つようにしたいというところでやはり悩んでいらっしゃって、これは、大学発ベンチャーということでサイバーダインという会社を筑波大学が起こして、社会のいろいろな分野で実用化されるようにということで頑張っていらっしゃるんですけれども、なかなかうまくいかない、こういう話を聞きました。
 アイデアはあって、要素技術はある、それで、現実にうまくいけば社会で大いに活用でき、日本の産業力向上にも役立つ、だけれどもなかなかそこがうまくいかないというところを橋渡しすることも、私は科学技術行政として非常に重要ではないかと思うんです。こういう橋渡し支援といいましょうか、そういうことについて、どのような考え方を持っていらっしゃるのかということをまずお聞きしたいと思います。

○伊吹国務大臣 まず、先般の臨時国会で改正教育基本法を成立させていただきました。この中に、大学の役割というのが七条に明記されておりまして、言うまでもなく教育機関としての大学、研究機関としての大学、それからもう一つは、研究成果の社会還元と、三つ書いてあるんですよ。今おっしゃったことは三番目にかかわってくることですから、国も当然、支援体制はつくりますし、税制上の優遇措置もさらに考えて後押ししなくちゃいけませんが、もうかなり進んでいる大学もあるんですね。そして、そこまであれなのかなと思うほど、利潤を上げている向きもあるんですよね。ですから、市場経済ですから、価格競争、価格メカニズムの中で利潤が上がると思ったら、当然そんな技術には飛びついてくると思うんですよ。
 だから、むしろ、大学の研究成果を社会還元するのが難しいのではなくて、非常に有用な技術なんだけれども、まだ市場メカニズムに乗って運営されるに至っていないという場合は、文部科学省がやるのか、あるいは、今の例でいえば、厚生科学研究費のようなもので厚生労働省が助成するのか、あるいは産業政策として経産省が考えるのか、これが、きのうですか、官邸で会議があったんですが、イノベーションの議論の一番大きなポイントなんです。
 ですから、先生がおっしゃっていることは基本法に明記されていることでございますから、我々もできるだけ各種の促進策を講じていきたいと思います。

○斉藤(鉄)分科員 これは将来伸びそうだなと思うようなものというのはたくさんあって、それ全部にお金をつけるわけにもいきません。ですから、ある程度、千あったうちの例えば二、三十は自由に競争させて、生き残ってきたもの、二、三十の中からまた四つか五つ、これは絶対、将来、大きな産業競争力を持つとか、大きな技術として伸びるというものについては、人材も含めて集中的にお金を国としても投資する。
 そこら辺の考え方を明確に、もうなっているのかもしれませんけれども、何かまだ不明確のような気がいたしますので、その点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

○伊吹国務大臣 総合科学技術会議でも、経済財政諮問会議の大学やイノベーションの会議がきのうあったんですが、そこで言われたことも、先生がおっしゃっているのと同じことなんですよ。やはり選択と集中ということですね。
 後ほど政府参考人から実態を御説明させますが、競争的資金をかなり供与しております。指定の研究費じゃなくて、これの比率をもっと高めてくれ、そういう話もございましたので、いいものであれば選択をして資金を集中していくということは当然必要だと思いますが、現状はどうなっているか、少し参考人から聞いていただきたいと思います。

○徳永政府参考人 私どもの方では、先生御承知のように、大学のいわば基礎研究そのものを応援する、そういうことについては、科学研究費補助金が大体、競争的研究資金というものの四〇%を占めております。そのほかに戦略的創造推進研究という形で、これは基礎研究ではありますが、ターゲットをきっちり管理して行っていく研究、そのほかに振興調整費もあるという形で研究を応援している。
 先生から御指摘いただいたロボットスーツHALにつきましても、これは、実は一九九一年、もう十五年前から科学研究費補助金で応援をしている。当初は、全く今のような実用的な課題ではなくて、仮想人体の有するメディカルインターフェースに関する研究という本当に基礎的なもので、研究費もわずか九十万円だったわけでございます。
 こういったものを九回繰り返していく。そのうちに、応用段階に向けた段階では、厚生労働省の厚生科研費あるいは経済産業省所管の研究費の支援を受けて、いわば実用化に至った。これは、基礎から応用へ研究開発の発展段階、それから研究費のそれぞれの性格が非常にうまく役割分担をして成功した事例だと思っております。
 そして、まさに先生が先ほどおっしゃった、じゃ、そういう成果をどうやって還元していくんだというところで、文部科学省では、いわば大学ということに視点を置きまして、その大学で持っている研究のシーズ、それを具体的に実用化していく、そのことを応援する、あるいは、大学でいわばシーズとしてあっても企業化するまでにはもう少し実用的な研究をする、そこまで、いわばそういう大学の側から見た企業化までのぎりぎりの段階での研究開発を応援していくということにしております。
 特に、十九年度、今御審議いただいております予算案の中では、逆に、ベンチャー企業がありまして、それが、若干リスクが高いというところにおいても、その研究開発については応援をするという予算を、来年、一・五億円でございますが、計上させていただいております。
 ただ、それを超えてさらにいわばベンチャー企業そのものを応援するということについては、現在、これは経済産業省の方にそういうベンチャー企業を応援する制度があるというような仕組みになっております。

○斉藤(鉄)分科員
 非常に整理しておっしゃっていただいて、よくわかりました。
 それぞれのフェーズでかなり産みの苦しみがあるようで、その一つ一つを乗り越えていかないと物になりませんので、ある意味では、細かな支援をぜひ文科省としてもしていただいて、すばらしい技術が世に出るようにしていただきたいと思います。
 それから、もう一つ、具体的な話なんですが、教育の方にちょっと入っていくんですけれども、科学技術と教育、我々、子供のころは鉄腕アトムがおりまして、原子力に対してまだ非常に夢があった。ウランちゃんとかアトム君とか、そういう時代がありました。その後、原子力事故等があって、大変厳しい時代を迎えましたが、現在の世界のエネルギー事情の中でまた原子力が見直されてきておりますし、また見直していかなきゃいけない、地球環境問題の解決のためにも、またエネルギーセキュリティー、今や原子力の核燃サイクルというのは、国産エネルギー、我が国唯一の国産エネルギーは原子力、核燃サイクルを完結すれば、まさに国産エネルギーになるわけですので、セキュリティーという面でも非常に重要になってまいります。そういう意味で、科学技術と社会との一つの象徴的な技術だと思うんです。
 きょう、教科書をたくさん持ってきたんですが、もう時間がありませんので、例えば、これは「現代社会」という東京書籍の高校の教科書です。中学校の教科書も基本的に同じ構造だということをお伝えしておきますけれども、例えば、この教科書の中で、ディベートしましょうと。原子力を使うべきか使わないべきかというディベートをしましょうという議論の中で、その原子力の象徴として、チェルノブイリの事故と、それから東海村で事故が起こって搬出されている、この二つのことが原子力の方の代表として載せられ、そのほかの自然エネルギーのきれいなところだけがまた片方では紹介されて、はい、ディベートしてくださいと。正直言いまして、非常にアンバランス、そういう教科書が実はたくさんある。
 私もおつき合いさせていただいている大変御高名な方の監修ということになっておりまして、その先生に聞いたら、いや、自分が書いたんじゃないからとかというふうなことで、実際、監修制度も余り機能していないのではないかなということもわかってきたんです。
 ちょっと言葉が足りませんけれども、そういう、ある意味で、この原子力については偏向した内容が教科書に書いてある。
 これは科学新聞という新聞ですが、学校の先生の間に原子力に対する強いアレルギーがある、とりわけアレルギーを持っているのが教師で、原発立地に対する反対運動の中心になっているのは教師だ。原子力に対しての理解を深めようということでいろいろパンフレットがつくられるんですけれども、これは学校の先生ですけれども、そういうパンフレットは、学校でほとんど廃棄処分になっているだけで、無駄に使われている、こういうことも指摘されております。
 だから、これは教科書検定のあり方ということになってくるんでしょうか、もちろん著作者の表現は自由ですけれども、こういう内容が教科書に載っていいのかなと。科学技術というところからちょっと教育の方に入っていきましたけれども、どのようにお考えでしょうか。

○銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、原子力を含め、エネルギー問題、これを教育の中できちんと取り扱うということは、私ども、大変大事なことだと思っております。
 現在、主に中学校の社会科、理科、それから高等学校の公民あるいは高等学校の理科といったところで、資源エネルギー問題あるいは原子力などのエネルギーの有効利用の重要性、あるいは原子力を含むエネルギー資源の特性や利用、放射線の性質といったようなことを取り扱うということになっております。具体の教科書につきましては、先生からもお話がございましたけれども、こういった指導要領を踏まえまして、どういうふうに記述をするかは、これは執筆者の判断にゆだねられているところでございます。
 平成十八年度から使用されております教科書を見ますと、基本的には、例えば、我が国は鉄鋼資源が乏しくて、石油や天然ガスなどは海外から大量に輸入している、こう書いた上で、原子力発電は、わずかなウラン燃料で大量のエネルギーが得られること、他方、安全面の課題、これにも配慮が必要だといったような記述、これが典型的な記述ではないかというふうに思っております。
 検定に当たりましては、やはり事実は事実ということで検定をするわけでございますけれども、記述について、著しくバランスを欠くというような記述につきましては、検定意見を付して修正を求めているというところでございます。
 なお、かつて、二年前になりますか、日本原子力学会の「原子力教育・研究」特別専門委員会から教科書の記述についていろいろ御指摘もいただいております。最新の学説の御紹介をいただいたり、あるいは記述についてちょっと事実関係が古くなっているとか、そういった記述についての意見もいただいておりまして、そういった内容については、教科書協会を通じまして教科書の発行会社にも伝えて、記述に当たってより適切なものになるようにお伝えをしているというところでございます。

○斉藤(鉄)分科員 それぞれの技術には、それぞれメリットもあります、デメリットもあります。どちらかの技術を、これだけをいいところだけ宣伝しよう、こういうことを私は言っているのではなくて、ある意味でバランスのとれた表現ということが教科書には特に必要なのではないか、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に大臣に。先日、総合科学技術会議のある方と話をしておりましたら、その方も私と同じ問題意識だったんですが、社会が発展するためには、各分野に優秀な人が散らばって、総合的に社会が発展する、このように思っております。
 偏差値が高いから優秀だというわけではありませんけれども、現在、高校から大学への進学で、偏差値が高いというだけで、適性に関係なく、全部医学部に送り込まれてしまう。その方が高校や予備校の評価が高まるんだそうです。明らかに今の日本は、偏差値が高いというのが優秀かどうかというのは、二回また繰り返しますが、とは言えませんけれども、そういう人たちが医学部中心に行くということは、やはり日本の社会の健全な発展、文科系にも理科系にも、理科系の中でも、工学にも理学にも生物学にも医学にも、いろいろな分野にいろいろな人が、優秀な人が散っていって初めて科学技術立国ということになると私は思うんです。
 お医者さんの社会的地位が高いから、評価が高いからということなのかもしれませんけれども、であるならば、そこについてもメスを入れていかなきゃいけないとも思うわけですが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

○伊吹国務大臣 人間は職業選択の自由を持って、自分の進路は自分で決められるというのは、これは日本の憲法の大前提ですが、先生がおっしゃったことを社会としてどう担保していくかというのは、全く別問題なんですね。ですから、待遇がいいとか、ロータリーに行けば会長になるのはお医者さんだとか、だから私は医者になるんだ、これは、進路の決め方として一つの考えですね。
 やはり、進路を決めていくには、親、親にはなかなかこのごろ相談しないようなこともあると思いますが、それから進路指導の教師、このような人が、どれほど人間の深みを持って、人間社会の構成を子供に話してやれるかということですね。
 ですから、教育基本法を改正していただいて、これからそれで教育を受けた人が教師になり、親になり、また子供が親になり、教師になり、迂遠でございますけれども、やはりそういうことを積み重ねていきませんと、今は、私は学校の先生なんかもっと優秀な人がなってもらいたいと思いますね。ですから、待遇のことも我々が責任を持って考えないといけないと思っているんです。
 これは、子供の進路の選択がけしからぬというよりも、社会全体の、人間の中で大切なものは何だろうか、病院現場へ行きますと、メスさばきの極めて上手な名医と言われる方よりも看護師さんの方がはるかに患者さんから親しみを持たれているというふうなことを考えると、人間の価値は何なんだ、社会に貢献するというのはどういうことかというところまでさかのぼる問題ですから、単に科学技術の振興のために偏差値の高い人を医師以外の科学技術の分野にアロケートしていくという以上の問題を先生は提起されていると思って、私は伺っておりました。

○斉藤(鉄)分科員 きょうはどうもありがとうございました。終わります。