平成19年2月1日 衆議院予算委員会

○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。
 平成十八年度補正予算について質問をさせていただきます。
 まず初めに、この補正予算の審議に野党の委員の皆さんの御出席がないということについて、強く抗議を申し上げたいと思います。
 この補正予算は、災害対策、また学校耐震化、これは喫緊の課題でございます。また、障害者自立支援法の円滑活用、円滑実施、いじめ・虐待対策、そして子供安全見守りシステムなど、今の国民生活に本当に重要な、急いで成立をさせなくてはいけない課題でございます。そのような予算案審議に参加をしない。もしいろいろな御意見があれば、参加をして、ここで堂々とその意見を開陳されるべきである、また質問されるべきである、このように最初に申し上げさせていただきます。
 次に、総理に、昨日の中国残留孤児の代表とお会いになった件について質問をさせていただきます。
 一昨日、裁判の結果が出ました。そして、昨日の朝、総理が、その裁判のために全国から上京されている代表の方に会うという決断をされて、自由民主党、公明党の中にございます中国残留孤児問題プロジェクトチームの代表と一緒に会われた、このように聞いております。
 そして、その中で、まず厚生労働大臣が発言をされて、厚生労働大臣が、総理から次のような指示、電話があった、一昨日の六時半、電話があったと。その内容は、残留孤児の問題について、判決や法律論とは別に考えてもらいたい、皆さんは御苦労され、お年も召していらっしゃる、今まで日本政府としていろいろやってきましたが不十分と考えています、皆さんの生活が厳しい状況です、そのような方々に対して政府として新たな対応が必要だと思います、厚労省だけではなく、第三者の有識者や残留孤児の皆さんの声を聞いて、新たな対応策をつくるように、こういう指示があったと、厚労大臣から皆さんにお話があったそうでございます。
 これを受けて、総理は、皆さんに会いたいと思っていました、政府としては、残留孤児の問題、これまで対応してきたが、不十分な点がありました、新たな対応が必要だと思いますと。私は、厚生労働大臣に新たな対応をするよう指示をしました、厚労省だけでなく、皆様の声、有識者の声も聞いて案をつくってもらいたい、御苦労さまでした、日本に帰ってきてよかったという案にしたい、このように総理がおっしゃったそうでございます。
 そして、いろいろな代表の方がお話しになったそうですが、ある方は、私は、ゼロ歳から養父母に育てられました、そして人の顔色を見ながらびくびくして生活をしてきました、日本に帰って、生活保護というのは、あれを使っちゃいけない、これを持っちゃいけないという、まさに人の顔色を見ながらびくびくするような制度です、どうかこの現状をわかってくださいという声もその場であったそうでございます。
 私は、今回の総理の決断は、本当に、美しい日本といいましょうか、温かい日本、その祖国に帰ってきてよかったということを感じていただける大決断ではなかったか、このように思います。
 総理から御感想をいただければと思います。

○安倍内閣総理大臣 昨日、残留孤児の皆様とお目にかかりまして、本当に切実なお話をいただきました。
 日本人として生まれて、しかし異国の地で生活をしなければならなかった、その中で、大変な苦労をされる中で、何とか自分は日本人であるから日本に帰りたい、そういう夢を見ていた、そして、やっとその夢が実現されたけれども、しかし、残念ながら自分の生まれ故郷である日本に裏切られた気持ちである、そういうお話を伺ったわけでございます。
 我々は、今、戦後、この繁栄した日本に生きる者として、この皆さんに、本当に日本に帰ってきてよかったな、やはり祖国というのは温かいと思っていただけるような対応を誠意を持って行っていかなければならない、このように考えました。
 判決は判決として、また、法律の問題は法律論の問題として、それとはまた別に、皆さんが、日本に帰ってきてよかったな、こう思っていただけるような、そしてまた生活に不安がないように、そして何よりも、日本人としてやはり尊厳のある生き方ができるような対応が必要だろう、こうした観点から、厚生労働大臣に新たな対応を検討するように指示をいたしました。厚生労働省だけではなくて、有識者、そして、もちろん残留孤児の皆様方の意見も聞きながら、そしてまた、皆様本当に高齢になっておられるわけでございますから、時間を余り置かずに案を取りまとめるように指示をいたしました。
 私どもの気持ちが、短時間でございましたが、伝わったかどうかは私も定かではございませんが、しかし、今のように裁判でお互いに争うという関係から、やはり皆さんが、繰り返しになりますが、日本に帰ってきてよかったと、こういう案を何とか取りまとめるように努力をしていきたいと思います。

○斉藤(鉄)委員 夏まで、どうかよろしく、すばらしい案をつくっていただけるようにお願いをいたします。
 次の質問に移ります。
 二月八日から北京で六カ国協議が再開されます。この六カ国協議で、拉致の問題、そして北朝鮮に核の放棄を迫る、そして一歩でも前進をさせる、日本の安全保障のためにもどうしても必要でございます。このことにつきまして総理の御決意を伺いたいわけでございますが、その前に一言、私自身の考え方を申し述べさせていただきます。
 ことしは、パグウォッシュ会議、ラッセル・アインシュタイン宣言から五十一年、また、核兵器を絶対悪と位置づけた歴史的な原水爆禁止宣言を世に問うてからちょうど五十年の節目を迎えます。日本は、唯一の被爆国として、私は、核兵器廃絶という基本的な、ある意味で目指すべきところを決して忘れてはならない、このように思います。
 確かに、日米安保条約によりまして、アメリカの核の傘、そして、いわゆる抑止論と言われるもので日本の安全が守られているという現実がございます。その現実からもちろん目を背けるわけにはいきません。しかし、この抑止論の根底は、やはり不信感であり、恐怖感であり、猜疑心でございます。そういうものに依拠した今の平和ではなく、最終的には核兵器を廃絶するということに向かって、我々、唯一の被爆国である日本が進めなくてはいけない。
 そのときに大切なのは、北朝鮮やイランという、これから核を持とうとしている、核拡散につながる国だけではなく、今既に核保有がNPTで認められているそういう国に対しても、誠意を持って粘り強く核軍縮を進めていくように日本が訴えていく。その姿勢があればこそ、私は、北朝鮮に対しても、核を持つな、核を持つことを絶対許さないということを言える、その基本的な説得力が出てくると思います。
 そういう意味で、核保有国に向けての唯一の被爆国としての日本の努力、これも総理としてぜひしていただきたい、このように考えるところでございます。
 この北朝鮮、核をどう廃棄させるか、また拉致問題について、六カ国協議が始まるに当たりましての総理の御決意をお伺いいたします。

○安倍内閣総理大臣 日本はまさに唯一の被爆国として、世界、人類の理想である核の廃絶に向けて努力をしていかなければならない、こう考えております。
 核軍縮、また核不拡散体制の維持、前進を目指して努力をしていくわけでございますが、現実的な、また漸進的なアプローチといたしまして、国連の総会のたびに核軍縮決議案を日本が提出をしているわけであります。こうした努力は、今後とも続けていかなければならないし、続けていくべきである、こう思っているところでございます。そうした観点からも、この北朝鮮の核保有、これは断じて許せないわけであります。
 八日に再開される六者会合において、北朝鮮がこの世界の懸念にこたえる形で核廃棄に向けて具体的な対応をとるように我々は強く求めてまいりたい、こう考えております。

○斉藤(鉄)委員 前回の六カ国協議は成果が出なかったとも言われております。今回はぜひその成果を上げなければならないと思っておりまして、我々も与党を挙げて支援いたしますので、どうか満腔の決意で臨んでいただきたい、このようにお願いをする次第でございます。
 次に、政治と金の問題についてお伺いをいたします。
 政治と金、二つ今話題になっているかと思います。一つが官製談合でございます。
 官製談合も、いわゆる中央のお役所、官僚がかかわった官製談合と、それから地方の官製談合、これはまさに選挙で選ばれたいわゆる政治家、ある意味では我々と同じ立地点に立つ政治家がこの官製談合に携わっている、こういう問題が大きく取り上げられておりますし、税金の無駄遣いをなくすという意味でも、この官製談合、談合そのものもですが、多くの談合は官製談合ではないかという疑いの目を国民は持っております。根絶に向けて我々は頑張らなくてはいけないわけです。
 五年前に自由民主党と公明党で官製談合防止法をつくりました。そして、公取の権限を非常に強化いたしました。今、地方政界で官製談合が浮き彫りになってきて、逮捕された知事が三人おりますけれども、これも、ある意味では今まで水面下にあったものが、この自民党と公明党でつくった官製談合防止法によって浮かび上がってきた、このようにも言えるわけでございます。
 昨年の臨時国会でその法律の効力をいよいよ増すような改正も自公で行ったところでございますけれども、国土交通大臣、今も国土交通省が関与した官製談合の問題が大きくクローズアップされておりますけれども、この国民の不信、政治と金の問題について不信を取り除くには、この官製談合防止についての抜本的な前進が必要だと思いますが、その御決意をお伺いします。

○冬柴国務大臣 地方や国までも談合、とりわけ官製談合ということが頻発しているなというような報道がなされた、そういうことについては本当に遺憾なことであるというふうに思っております。
 また、不正行為の排除の徹底を図るためにも、昨年の二月に策定されました公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議による取りまとめに従いまして、関係省庁とも連携を図りながら、一般競争入札の拡大、それから総合評価方式の拡充、さらには、その条件整備としての入札ボンド制の導入等を柱とする入札契約の改善に取り組みを徹底してきたところであるだけに、残念で仕方がないわけであります。
 今般、国土交通省直轄の水門設備工事の発注に関しまして、入札談合へ元職員の関与が報道された、いろいろ指摘されたということは、まことに残念、まことに遺憾なことでありまして、私は、この報道があった直後、一月の九日でございますけれども、幹部職員全員に集まっていただきまして、直ちに入札談合防止対策検討委員会というものを設置せよということを指示いたしました。
 そして、それのトップは事務次官がみずから担当しなさい、そして、職員だけではいけません、職員以外の有識者、例えば元裁判官とか検察官とか、弁護士の現職というような法曹人等も含めて、そういう人たちにも委員会に入っていただいて、その人たちに企画立案、実行もやっていただきなさいということで、そういう指示をいたしまして、十一日にはそのような委員会を立ち上げ、十七日には第一回を、そのような立派な第三者も含めた委員会で発足したところでございまして、今後、指摘された事実関係の調査、そしてまた入札談合防止対策の検討を開始いたしまして、これを徹底して再発防止に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
 また、再就職、天下りとも言われますが、再就職と官製談合の関連については、あらぬ誤解を受けることがないように、当省では、再就職に関して、これまでも国家公務員法や人事院規則で定められた基準に基づくチェックや承認の厳正な運用を行ってきたところでございますが、橋梁工事にかかわる談合ということが、大規模な事件が公取によって摘発されたことがあります。
 そのときに、平成十七年七月二十九日でございますけれども、重大な法令違反に関与した企業、四十七社があります、日本の巨大企業ばかりですが、そこへの再就職は国土交通省の全職員、再就職はしてはならない、それから、これは退職後の期間を問わず、五年たってもだめだ、その当該企業が社会的にコンプライアンスが確立したということを認められる状況になるまで、そういうことは一切、再就職はできないということにいたしております。
 また、幹部職員、指定職以上でございますが、直轄工事受注企業への再就職は認めないということをいたしております。これは退職後五年間でございます。五年間はそこへは絶対にだめだと。それから、国交省との間で密接な関係があるとされる営利企業のうち、当該発注の公共工事の受注実績のある企業、相当な数になりますが、ここへも、営業担当部署へ新たに就職することも退職後五年間自粛をしてもらうということも、これは他省庁とは極めて違う厳しい自粛措置をとっているところでございます。
 今後も、政府全体としても再就職のあり方について公務員制度改革全体の中で検討が進められているところでありますが、その検討結果も踏まえつつ、国土交通省としては、本当に身を引き締めて、こういうことが起こらないように頑張ってまいる所存でございます。

○斉藤(鉄)委員 公明党を代表して内閣に入られている冬柴大臣に大きく期待しておりますので、どうか厳しくやっていただきたいと思います。
 次に、政治と金、事務所費問題でございます。

 今回、いろいろな問題点が指摘されました。庶民感覚からも余りにかけ離れているのではないかという声も我々聞いております。これまで、どちらかというと金の入りの方に、我々、領収書の添付を義務づけるなど厳格な政治資金規正法の改正を行ってきたわけですが、これからは、金の出の方についても、やはり国民の皆さんが不信を抱かないような形、ルールにしていく、改正をしていく必要があるのではないか、このように考えます。
 政治活動の自由を担保しつつ透明性をどう高めていくか、国民の皆さんから不信を抱かれないようにしていくかということが大切かと思いますけれども、この政治資金規正法の改正について、先ほども実川委員にお答えになっておりましたけれども、総理、お考えをちょうだいできればと思います。

○安倍内閣総理大臣 私が自由民主党の党改革実行本部の本部長をしておりましたときにも、自由民主党におきまして厳しい内規を決めました。また、公開の基準、自由民主党独自の基準として、インターネットにおいてホームページに公開をするということにおいても、各党に先駆けて自由民主党はかなり透明性を高めてきたつもりでございます。
 今般の事務所費等の経費の問題等につきましても、先ほど実川委員の質問に答えましたように、これは今斉藤先生がおっしゃったように、出口の議論も含めまして、政治資金のあり方について、政治資金規正法の法律の改正も含めて議論を行うように、私からも今、党の党改革実行本部の方に指示をいたしておるところでございます。
 今後、各党各会派においてこの問題について議論が進んでいくことを期待したい、こう思っております。

○斉藤(鉄)委員 公明党としても議論を進めております。また、与党としての議論も進めておりまして、成案を得て、野党の案よりいいというものをつくり出していかなくてはならない、このように思っております。
 次の質問、人権擁護法案につきまして総理にお伺いいたします。
 昨年の通常国会におきまして、小泉前総理より、政府・与党内でさらに検討を進め、この人権擁護法案をできるだけ早期に提出できるよう努める旨の答弁があったところでございます。
 この問題では昨日も参議院で質疑が行われたようでございますが、私も、これまでの国会審議も踏まえ、与野党が議論を進めた上で早期に実現を図ることが望ましいと考えます。改めまして、人権擁護法案提出に向けた取り組みについて、総理の御所見をお伺いいたします。

○安倍内閣総理大臣 国内における人権の擁護は極めて重要な政策課題でございます。
 御指摘の人権擁護法案につきましては、与党内においてもさまざまな議論がございました。そうした点もつぶさに検討をしながら、そのあるべき姿について真摯な検討を行ってまいります。

○斉藤(鉄)委員 どうかよろしくお願いをいたします。
 次に、今国会の大きなテーマと言われております労働法制について質問をさせていただきますが、柳澤厚生労働大臣に御答弁をいただくことになります。
 御答弁をいただく前に、どうしても私から一言申し上げさせていただかなくてはならないことがございます。
 島根県松江市での御発言につきまして、大変不用意な発言であった、女性の尊厳を傷つける発言であったということで、強く反省をしている、こうおっしゃっておりますけれども、心からの反省をお願いしたいと思います。
 私の部屋にも、実はたくさんのファクスやメールで抗議が届きました。そのうちの一つをちょっと御紹介させていただきたいと思います。
 「私も二児の母ですが妊娠十ケ月のつらさ、また出産という母親が自分の命を懸けて我が子をこの世に送り出す行為は本当に無償の愛であり、崇高な行為と考えます。男性の方にはどうしても理解できないことかもしれません」。このように、この方がおっしゃるとおり、我々男性の想像を超えた崇高な行為が私は出産だと思います。そういう意味で、その女性の方々に敬意を持って接していかなければならないのではないでしょうか。
 私も、党内で少子化対策、先日、少子社会トータルプランという議論をまとめましたけれども、私自身、こういう敬意を持ってその政策づくりに携わったかと反省するところが多でございます。今回、これから我々、女性の社会参加、少子化対策を議論するに当たって、こういう心を心として政治家が議論をしていかなくてはならないのではないか、このように考えます。
 したがいまして、大臣にも、まさに少子化担当大臣、女性の社会参加担当大臣でございますので、本当にこういう方々に喜んでいただけるような政策をつくっていただけるよう、深い反省から出発をしていただきたい、このように思います。一言だけ申し上げさせていただいて、質問に入ります。
 長時間労働の是正についてでございます。
 日本の長時間労働、それも一部の方の長時間労働は想像を絶するものがございます。週六十時間以上、ですから、週二十時間残業していることになります。一月で大体八十時間から百時間。この十年で百万人以上増加して、約六百五十万人になった。労災で認定された過労死は、昨年で百五十件、四年前の三倍になっている、このように言われております。そして、その中心は、三十代を中心とする中堅、若手社員の長時間労働が顕著になっている、このように言われております。
 三十代の働く女性、働く男性、子育ての中心を担う世代の人たちが、このような長時間労働。私は、これは本当に心して是正していかなくてはならないと思いますが、労働現場における長時間労働の現状をどのように認識しているか、また、どのような対策を講ずるべきか、基本的認識をお伺いします。

○柳澤国務大臣 御質問にお答えする前に、公明党を代表して斉藤政調会長からも私の過日の発言について御注意をいただきました。本当に、私も、深く反省をし、今後、今先生御指摘のように、女性に対する敬意というものをしっかりと心の底に置きながら、与えられた任務、殊に少子化対策等の立案のために精進をいたしてまいりたい。おわびをしながら、私の決意を申させていただきます。
 そこで、御質問でございますけれども、今委員御指摘のとおり、非常に企業の中の特別な方々にこの長時間労働が集中している、全体として勤務時間、労働時間が高どまりしているわけですけれども、その中でも時間外労働というものが、正社員、また三十代の男性というようなところに集中をしているという状況が看取されるわけでございます。
 これは一体どういうことが背景にあろうかということでございますが、その背景といたしましては、やはり、グローバル化の進展の中で企業間の競争が非常に激しくなっている。こういう全般的な背景の中で、いわば既存の戦力というか、そういうものに依存してこの競争を勝ち抜こうとしている。新規戦力を導入する、新規採用をするとかというようなことではなくて、既存の戦力をとりあえず大いに活用するということの中でこうした事態が起こっているのではないか。私は、そのように見ているわけでございます。これをどのように克服していくかということ、非常に重要な課題であるというふうに思っております。
 我々の国の労働時間の歴史を見ますと、例のプラザ合意後の不況の中でいろいろな考え方が出てきまして、やはり、労働時間を短縮することによって個人の消費というようなものをあおろう、増嵩を期待していこう、週休二日制をやることによって個人の消費を期待していこう、こういうようなことで労働時間の短縮化を図ってきたというようなことが事実としてございまして、この辺のところに広くは政策の展開を再び求めていくのかなというようにも考えるわけですが、我々、労働行政の現場におきましては、今のような事態に対しては、まず、サービス残業等の法違反に対して厳重な監督指導を徹底していく、これが一つでございます。
 それからまた、時間外労働の削減に取り組む中小企業に対しては助成金でもってそれを応援していくということがさしずめ労働行政の中でとっているところでございますが、社会全体として働き方の改革が進むように、今後とも労働法制の構築等で配意をしてまいりたい、このように考えております。

○斉藤(鉄)委員 この長時間労働をいかに是正して暮らしと仕事の調和を図るかということ、また一方で、非正規雇用の方もたくさんいらっしゃる、そういう方と正規雇用の方との、言葉は適切でないかもしれませんが、ワークシェアといいましょうか、労働時間を平準化していくということも必要で、いろいろな方策が考えられておりまして、今国会に提出をされているそれらの法律を今国会でどうしても成立させなくてはいけないと思っております。
 ホワイトカラーエグゼンプションでございますが、そのような長時間労働が常態化している中でこのホワイトカラーエグゼンプションを導入すると、詳しくはもう申し上げませんが、長時間労働の助長につながるのではないかという不安もたくさんございます。そういう中で、我が党の太田代表は、年頭に、この日本版ホワイトカラーエグゼンプションの導入については、慎重の上にも慎重を期して議論をすべきだと発言させていただきましたし、安倍総理も、いまだ国民の理解を得られているとは言えない、このようにおっしゃっております。
 ホワイトカラーエグゼンプションを前提とするような、いわゆる職務規定といいましょうか、仕事の責任と範囲、英語で言ういわゆるジョブディスクリプションという考え方が明確でない社会にあってこれを導入すると、もう際限なく、仕事は忙しいやつにやらせろと。私も民間会社におりました。有能なやつに仕事が集まる、だから有能なやつは忙しい、だから忙しいやつに仕事をやればきちんとやるということで、一部の人が本当に長時間労働になってしまうのではないかという心配もございます。そういう意味で、慎重にしなくてはいけないと思いますが、総理のこのことに対しての御意見。
 それから、一部に、このホワイトカラーエグゼンプションを今回やらないのであれば、いわゆる残業代割り増しの、いわゆる欧米並みにこれをふやす、またパートタイム労働法や最低賃金法、これもやらない、このような声が、これは民間からですけれども聞こえてきます。私は、そういうこと自体、このホワイトカラーエグゼンプションを賃金カットに使おうといった本音のあらわれではないか、このように思うわけでございます。
 そういう意味で、ホワイトカラーエグゼンプションについては国民の理解が得られた上できちんと議論するということを前提に、しかし、残業代の割り増し賃金、パートタイム労働法、最低賃金法の改正、これはきちんとやるんだということを私たち公明党は主張したいと思いますが、総理、いかがでございましょうか。

○安倍内閣総理大臣 ただいまの御質問にお答えをする前に、先ほどの、厚生労働大臣の発言に対する厳しい御指摘がございました。私も、極めて不適切な発言であった、このように思います。多くの国民の皆様、また女性の方々には特に心を傷つける発言であったと思います。私からもおわびを申し上げる次第でございます。
 子供を産み育てるという営みは、これはかけがえのない崇高な営みである、このように思いますし、母親が子供に注ぐ愛情というのは、これはかけがえのないものであると思います。こうした観点から、我々、少子化対策も含めまして、家族を支援していく政策を遂行していきたい、こうした政策を厚生労働大臣に着実に推進していっていただくことによって、また国民の信頼を得るべく努力をしていっていただきたい、このように思います。
 いわゆる労働法制の問題につきましてでございますが、働き方についての法制につきましては、これはやはり、働く方々、また国民の皆様の理解がなければ円滑な運用はできないであろう、このように思うわけでございます。
 いわゆるホワイトカラーエグゼンプション、まだこの法案についてそんな名前がついているわけではないわけでありますが、かなりいろいろとひとり歩きをして誤解されている側面は多々あるんだろう、このように思うわけでございます。そういう中で、さらに国民の皆様方に理解をしていただく努力をしてまいらなければならない、このように思います。まだ現在検討中でございますが、御指摘のございました長時間労働の懸念も含めまして、さまざまな議論を踏まえた上で適切に判断をしてまいりたい、このように思います。
 そうした中で、労働法制全体の取り組みについての御指摘がございました。
 最低賃金、これは四十年ぶりに改革を行うわけでございます。最低賃金は、これは実は岸内閣のときに制定されたものでございまして、意外とそうなんですね、安保条約しかやっていなかったように思われがちでありますが、こうした最低賃金の制度も定めたわけでございます。
 この最低賃金制度がセーフティーネットとしての機能を十分に果たしているかどうか、検討をしていく必要は当然あるわけでありますし、また、パートタイム労働について、均衡の待遇、あるいはまた、今後、正規雇用に道を開いていく、そうした観点からもさまざまな検討をしていくべきなのではないか、このように思います。
 また、御指摘の超過勤務に対する手当の問題等々についても、総合的にこの労働法制について検討をしてまいりたいと思っております。

○斉藤(鉄)委員 安倍内閣に対しての国民の期待にこたえる意味でも、この労働法制、ぜひ今国会でやり遂げたい、このように思っております。
 働き方と同時に、やはり子育てに対する経済的支援、この二つが少子化対策について非常に大切だと思っております。フランスは出生率二・〇という、先進国としてはすばらしい数字を達成いたしましたけれども、子育てに対しての経済的支援と働き方改革、この二つが柱だと言われております。
 きょうはテレビがあるかと思いまして、パネルをつくってまいりました。これは、自公連立政権以来の児童手当の伸びでございます。この折れ線グラフは対象児童でございまして、ここは三歳、ここで小学校入学まで、ここで所得制限が緩和されます。そして、ここが小学校三年生まで、そして、ことしから小学校六年生までとなりました。金額も八千五百億円までふえてきたところでございますが、今年度、ゼロ歳、一歳、二歳、この乳幼児加算、第一子、第二子は月五千円ではなくて月一万円にするということで、予算も一兆円を超えました。このように、自民党と公明党で子育て支援を一生懸命やってきたという図だと思います。
 そして、先ほど申し上げました、子育ての世代の人たちが仕事と生活を調和させて、子育てを家庭で楽しみながら仕事も頑張っていただくということが必要ではないかと思いますが、この経済的支援とそれから働き方改革、これを両方ドッキングさせて、そのスケジュールを、将来展望を示していくことが希望につながっていく、だから、結婚して子供を産もうというふうに若い人に思っていただけることにつながると思いますけれども、総理の御所見をお伺いいたします。

○安倍内閣総理大臣 先般、フランスを訪問した際、シラク大統領と会談を行い、その際、シラク大統領も、出生率が二に上がったということを大変胸を張っておっしゃっておられました。少子化についてはぜひ何でも聞いてもらいたい、こういうことでございましたが、やはり少子化については総合的な政策が必要であろうと思います。
 御指摘のように、働き方を変えていくことが大切でありますし、また、女性が働きながら子供を産み育てることができる日本にしていくことが大切であろうと思います。
 そして、それと同時に、児童手当の拡充、乳幼児に対する加算、あるいはまた育児休業手当を四割から五割に引き上げを行っております。こうした支援を行ってまいりたい。
 さらには、家族を持つことの価値、子供を産み育てることの価値ということを再認識していくことも大切ではないだろうか、こんなように思っているわけでありますが、私ども、進んでいく少子化に対して、これを何とか食いとめていくという戦略を打ち立ててまいりたい、このように考えております。

○斉藤(鉄)委員 与党でも協議会をつくって議論を進めているところでございまして、与党・政府一体となって強力に進めていかなくてはならない、このように思います。
 次に、障害者自立支援施策。
 きょうは補正予算の審議でございますが、この補正予算の中身に今初めて入るわけでございますけれども、私は、今回の補正予算の一番大きなポイントがこの障害者自立支援施策ではないかと思っております。
 障害者自立支援法については、もうここで申し上げません。基本的には、安定的な財政によって障害福祉サービスを拡大する、そして、支援費制度の対象外であった精神障害も身体、知的と同等に位置づける、そして、就労支援策の抜本的な見直しということで、現実、予算も大きく毎年伸びております。そして、障害者関係団体からも評価をいただいているわけです。
 しかしながら、過渡期といいましょうか、いろいろな不都合や不安の声も出てまいりました。障害児の利用者負担が重い、また、日額支払い方式に移行したため作業所で急激な収入減になった等々、いろいろな不安の声、また不都合も現場から上がってきたところでございます。
 そこで、自由民主党と公明党で、この補正予算の中に、国費千二百億円、そのうち九百六十億円が基金、二百四十億円が当初予算における自己負担分の軽減という形になっておりますけれども、抜本的な対策を講じた、このように思っております。
 ちょっと時間がありませんので、厚生労働大臣、今回の補正予算の措置の意味を簡潔にわかりやすく、そして今後、この特別対策が、各地域のニーズに合わせて幅を持たせて運用して、皆さんに喜んでいただけるようにというふうに考えておりますが、厚労大臣のお考えをお伺いします。

○柳澤国務大臣 障害者自立支援法は、今斉藤委員御指摘のとおり、地域移行の推進あるいは就労支援の強化など、障害者が施設というよりもむしろ地域で普通に暮らせる社会の構築を目指すものでございまして、これを着実に定着させるということはやはり大方の御賛同をいただいている方向であろう、このように考えております。
 しかしながら、この改革、なかなか抜本的なものであった。これまでは、支援費あるいは御負担の方は、どちらかというと応能的な考え方のもとで行われていた。それに対して、今回は、利用料の一部を負担していただくという考え方に転換をしたというようなことで、なかなか、各方面からさまざまな御意見をちょうだいするという状況であったわけでございます。
 このような状況に対しまして、与党の先生方、非常にけんけんがくがく御議論をいただき、また、実際のこの仕事に当たっていらっしゃる事業者の方、あるいは地方自治体の方々から御意見をいただきまして、それを取りまとめて特別対策ということを決めていただいたわけでございます。
 今御指摘のとおり、利用者の負担の軽減の問題については、これは本予算で措置をとるということでございます。利用者の負担と申しますのは、特に通所の障害者の方々に対する負担というものが、利用者の側にも、また事業者の側にも大きいのではないかというようなことで、このあたりのことについて対応させていただくということでございましたが、そういうようなことがございました。
 それに対して事業者の、今言った点でございますが、これについては補正予算で対処する。また、地方公共団体、都道府県、市町村が、この関係で、厚生省から与えられたいろいろな枠組みのもとで、一つの資金をもって細かい対応をしていただくということになっておりますけれども、それらについては補正予算九百六十億で対処する。こういうことになったわけでございます。
 さて、今御指摘のように、いろいろ地域の実情に配慮した運用をするようにという御注意をいただいたわけですが、私ども、これからも、今の基金を通じての、特に地方公共団体を介してのいろいろな措置については、十分地域の実情に即して弾力的に対応させるように、いろいろまた連携をしてまいりたい、このように考えております。

○斉藤(鉄)委員 障害者自立支援については、本当に皆さんから御意見をいただきました。そういう方々に喜んでいただけるような、きめ細やかな対応をお願いしたいと思います。
 最後に、がん対策について総理に質問させていただきます。
 昨年の予算委員会でも、がん対策基本法をつくって、日本が一番おくれていると言われている、がんと診断されたときからの緩和ケア、それから放射線治療、そしてがん登録制度、アメリカはがんによる死亡者は今減少傾向にありますが、これは、がん登録制度が非常に大きな効果を果たしているとも言われております。こういうことに対してどのように取り組んでいかれるか。
 今は死因の三割ががんで、十年後には二人に一人ががんで亡くなる、こういう時代になると言われております。喫緊の課題だと思います。総理のお考えをお伺いいたします。

○安倍内閣総理大臣 ただいま先生が御指摘になられたように、がんは死因の第一位でありますし、また、寿命が延びていく中にあって、当然、がんの死亡率はもっともっと上がっていくことになるんだろう、このように思います。この対策は、一層の充実をしていかなければいけない、速やかに取り組むべき重要な課題であると思います。
 御指摘のように、昨年成立したがん対策基本法に基づきまして、がん対策推進基本計画を策定することといたしておりまして、緩和ケアなど患者本位の治療体制を整備し、そして放射線医療、確かに現在の段階では大変まだ放射線医の数は少ないんだろうと思います。放射線医療を担う専門医等の育成、そしてがん登録の推進など、がん対策を総合的に進められる内容となるように検討を今進めているところでございます。今後ともしっかりと取り組んでまいります。

○斉藤(鉄)委員 終わります。