|
○斉藤(鉄)分科員 公明党の斉藤鉄夫でございます。どうかよろしくお願いいたします。
私は、がんの放射線治療の質問と在外被爆者の質問、この二つ行わせていただきます。
まず、がんの放射線治療についてでございます。
公明党の中にがん対策本部というものができまして、私も、勉強のためにそこに入って、いろいろな方からお話を伺いました。そうしたところ、日本の放射線治療が非常におくれているという話を聞きました。
実は私、理学部の出身で、卒業論文と修士論文は放射線をはかって論文を書いた。放射線取扱主任第一種という資格も持っておりまして、それでは、この放射線治療が日本でおくれているんだったら少し私勉強してみようということで勉強を始めたところ、大変大きな問題が横たわっているなということを感じた次第です。きょうは、それを大臣にも聞いていただき、また問題提起をさせていただきたいと思います。
がんの治療には、これは釈迦に説法ですけれども、手術で切り取るという外科的方法、それから抗がん剤等の内科的方法、化学的療法とも呼ばれておりますが、それから放射線治療、この三つがあるそうでございます。
アメリカ等では患者の六〇%は放射線治療を受けているということで、この放射線治療がかなり進んでおりますが、日本は大変おくれている。患者さんの二〇%程度というふうに聞きました。
その理由は、これまで日本は胃がんというものが多くて、これは切り取って治すというのが最もいいそうですので、その外科的手法が主流だったということで、これはよく理解できるんですけれども、これからいろいろな生活の変化に伴って多様ながんの種類が生じてくる。そういうものに対して、日本も、放射線治療が適しているがんの部位というのもたくさんあるということがわかってきております、放射線治療を拡充していかなくてはいけないのではないか。
それから、もう一つ非常に強く感じましたのは、いわゆる緩和ケアということについてこの放射線治療というのが非常に大きな役割を担っているということも勉強してまいりました。
こういう観点から質問させていただきたいと思います。
がんの放射線治療の特徴は三つあって、一つは低侵襲性、体そのものを余り傷めないということ。だから、ある意味で、高齢の方にも、また体力が大変弱っている方にも適用できる。それから二番目に、臓器の機能や形態の温存。切らないわけですから、例えば喉頭がんにしましても乳がんにしましても、そのまま形態を温存できる。治療後のクオリティー・オブ・ライフが非常に高いものになる。それから、安い。私、重粒子線とか陽子線とか、巨大な加速器を使うイメージがありましたので高いものだと思っておりましたら、リニアックやいわゆる密封小線源のものもたくさんございまして、基本的には安いものだということを勉強しました。
こういう三つの特徴を持っているこの放射線治療なんですけれども、先ほど申し上げましたように、日本では大変おくれている。
人口百万人当たりの放射線腫瘍医、放射線治療のお医者さんですけれども、アメリカに比べると五分の一でございます。リニアックや治療施設、施設そのものは半分ぐらいでございまして、遜色はあるんですけれども、それに対して、お医者さんそのものは五分の一、それから放射線技師さんも三分の一程度で、大変おくれている。これをまず何とかしなきゃいけない、このように思うんです。
これは医学教育とも関連しますけれども、厚生労働省の立場から、この専門医の不足、これに対してどう考えているのかということをまずお伺いしたいと思います。
○中島政府参考人 ただいまの放射線の関連の医師及び技師が不足しているのではないかという御指摘でございますが、ただいまお話にもありましたように、我が国のがん治療におきましては、これまでの経緯もこれあり、放射線治療の専門医、放射線技師の数が十分とは言えない現状にあるのは御指摘のとおりであろうというふうに認識しております。
このため、がん医療の水準均てん化の推進に関する検討会の報告書を踏まえまして、国立がんセンター等における医師、放射線技師等、がん専門医療者指導に対する研修コースの新設でありますとか、がん診療連携拠点病院の医師や診療放射線技師等の研修の拡充などに努めているところでございます。
がんの専門医や診療放射線技師等の育成につきましては、関連学会におきましてもさまざまな取り組みがなされておるところでございまして、こうした学会等との連携を図りつつ、がんの専門医療従事者の育成、確保に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○斉藤(鉄)分科員 この点、ぜひよろしくお願いいたします。
放射線治療そのものを行うお医者さんの養成や集中化ということも必要だと思いますし、また、均てん化というお話がございましたが、お医者さん全体にこの放射線治療に対しての知識を持ってもらって、例えば、このがんだったら、またこの部位だったら、また患者さんがこういう状態だったら、緩和ケアということも兼ね合わせてという面も含めて、放射線の方が適当だという知識を持っているお医者さんも少ないというふうに聞きました。そういう意味での対応をよろしくお願いいたします。
それから二番目の質問ですけれども、アメリカと比べて最も大きな違いは、実は、フィジシストの違いでございます。
アメリカでは、お医者さんと、お医者さんの数に匹敵するいわゆる博士号や修士号を持った理工学出身者の人たちがいて、この人たちが、例えば、放射線が当たったときにその放射線が体内でどういう挙動をするかというのはモンテカルロ計算をするわけですけれども、そういうことをきちんとやって、それを支えるまた技師さんがいる。このいわゆるフィジシストと言われる理工系出身の、ある意味では、格とすればお医者さんと同格の人たちがアメリカでは同数いて、その人たちが計画を立てる。
ところが、日本はその人たちが全くいなくて、人口百万人当たり日本は〇・三人、アメリカは九・一人、英国、ドイツ等でも八人とか六人とか。この人たちがいない。ここの部分を育てる。実際、放射線を扱うわけですから、お医者さんとともに放射線のことをよくわかった、また放射線のいわゆる物質内挙動のことをよくわかった人たちが計画を立てなきゃいけないんですけれども、ここをどう育てるかということも大変必要だと思うんです。
国立弘前病院等、事故が多発しました。この事故の多発も実はそこに原因があるのではないかと言われておりますが、ここの部分、どのようにお考えでしょうか。
○松谷政府参考人 放射線治療につきましては、治療を行うお医者さん、医師が、医学及び理工学などの知識に基づきまして人体へ放射線照射を行う診療放射線技師など放射線治療分野における専門的な医療従事者との連携のもとに、患者さんの状態に応じた適切なチーム医療を行うことによりまして、この分野における治療の質の確保が図られているというふうに考えてございます。いわばチーム医療をしなければならない分野だというふうに考えてございます。
御指摘の医学物理士でございますが、これは日本医学放射線学会が認定をしておる資格でございます。また、これとは別に放射線治療品質管理士というものが、これも、日本放射線腫瘍学会など五団体が合同で創設をいたしました放射線治療品質管理機構というものが認定をしている資格がございます。この辺は、一昨年、全国で頻発した誤照射事故などにもかんがみて、こういう形の資格が認定されるようになってきたということでございます。これらの医学物理士あるいは放射線治療品質管理士につきましては、医師や診療放射線技師など、放射線診療に関係する職種とともに、チームの一員として事故防止のために鋭意努力していただくべきものと考えてございます。
しかしながら、今御指摘の両資格につきましては、学会認定でございますので、さらに関係団体等において類似する資格等が存在しているということから、なお整理が必要な資格であるというふうに考えてございます。
いずれにしても、一昨年、全国で頻発いたしました誤照射事故につきましては、その後の医療機関における事故防止のための努力の結果、適切に対策がとられつつあるというふうに認識してございますけれども、引き続き、関係職種の連携によりまして安全で安心できる医療の提供ということを期待しているところでございます。
先生御指摘のとおり、この関係の職種につきましては、まだまだ研修を続けなければなりませんし、その数もふやさなければなりません。また、お医者さんの放射線治療に対する認識というものについても、まだまだ啓発をしていかなければならない状況にあるということは御指摘のとおりでございまして、厚生労働省としても引き続き努力してまいりたいと思っております。
○斉藤(鉄)分科員 日本の医療界で一つこれからの課題だなと思うのは、いわゆる理学、工学を出た人たちが、本来、お医者さんとまず協力して活躍しなきゃいけないと思うんですが、その人たちの場がないんですね。アメリカではそういう場があって、かなり高い待遇も与えられている。日本は、大体、メーカーにいらっしゃって、非常に安い給料で非常に働かれているんですけれども、日本もそういう人たちがある程度の待遇を持って、立場も与えられるような立場になれば、医学そのものの発展にも非常にいいと思うので、ぜひ考えていただきたい、このように思います。
それから、この放射線治療をやっていらっしゃる先生方のお話を聞くと、大きな問題点として、講座もそもそも非常に少ないんですけれども、その講座があっても、放射線診断学、いわゆる放射線を使って診断をする、がんがどこにあるかとか、そういう診断学と同じところに押し込められていて、大体ボスはそちらの方なんだそうです。治療の方はその日陰にいる、ここも一つ大きな問題だと。放射線とついているから一つところに押し込められるんだけれども、診断と治療は全く違うものだ、ここをぜひ改めてほしいという生の声も聞いたんですが、これはどうでしょうか。
○中島政府参考人 ただいまの御指摘でございますが、がんの医療を推進する上で、手術それから化学療法と並びまして、放射線療法は、またこれらをあわせて治療するというようなこともございまして、大変に重要な治療法であると認識をしておるところでございます。
このため、現在、がん診療連携拠点病院という整備を進めておりますが、その指針におきまして、診療体制として、放射線治療の専門的知識を有する医師の配置、それから、特に放射線治療をその拠点病院の専門分野に掲げる場合の、専ら放射線治療に従事する診療放射線技師の確保などをその指針の中に掲げているところでございます。
今後とも、専門的な放射線治療を担うことが可能ながん診療拠点病院の全国的な整備を進めてまいりたいと考えております。
○斉藤(鉄)分科員 そうなんですけれども、治療と診断というのは違うと思うんですね。放射線を使って診断をする、これは非常に大事な分野ですけれども、それで治療するというのとは全然違いますから、そこをぜひ分けて考えて、かつ、治療のところをたくさん支援する必要があるのではないかという趣旨でお話しさせていただきました。
それから、理学、工学、医学、この三者が協力して日本の医療の質を高めていくというのがこれからの私はポイントだと思いますが、その中で、医薬品の承認が遅いという話はよく聞くんですが、医療機器の承認も非常に遅いというお話を聞きまして、先日、朝日新聞で「七不思議 ニッポンの医療機器」と七回シリーズで出ておりまして、私も読みましたけれども、承認が一番早いのがヨーロッパ、次が米国、日本はぬきんでて遅い、このように書いてございました。放射線治療の場合、まさに物理医療機器が道具になるわけでございまして、ここの承認を早くするということが非常に大事だと思います。そのスピードを上げるということ。
それから、お話を聞く中で、ガンマナイフとCTを組み合わせるというふうな新しい機器を、先ほど話が出ました、診断と治療を同じ機械の中に組み込むという場合、CTはCTでもう認められている、ガンマナイフはガンマナイフで認められている、しかしそれを合体したものは全く新しい機器とみなされて、またすごい承認に時間がかかる。欧米では、そういう既存のものを組み合わせた場合は非常に早いんだそうです。そういうところも不合理ではないかというふうな生の声も聞いたんですが、この医療機器の承認を早くするというのは、日本の医療レベルを上げるという意味でも、それから医療産業の振興という意味でも大変重要だと思います。
日本の医療機器は中古品市場だという声もこの新聞に出ておりました。この点については、いかがでしょうか。
○福井政府参考人 お答え申し上げます。
新しい医療機器につきましては、これは審査を担当いたしております医薬品医療機器総合機構でございますけれども、ここにおきまして、安全性の確保を前提としつつ、より迅速な承認審査を進めるべく審査体制の整備等に取り組んでいるところでございます。
具体的に申し上げますと、医学、工学等の専門的知識を有する審査担当者を順次増員いたしてきておりますとともに、研修を通じまして担当者の資質の向上、あるいはチームで審査を行うチーム審査制の実施など、より効率的に審査を行うことができるようにしてきているところでございます。
また、医療機器の承認申請を行う企業におきまして申請資料をできる限り早く用意できるようにするとともに、総合機構におきまする審査が円滑に行われますよう、厚生労働省におきまして、医療機器の種類ごとに、申請に必要な資料の内容等をより詳細に示した承認基準の作成を順次進めているところでございます。
さらに、企業による革新的な医療機器の開発の促進、承認審査の円滑化を図るため、今年度からでございますけれども、革新的な医療機器の実用化に必要な留意点などをまとめました評価指標ガイドラインの作成を開始いたしたところでございます。
こうした取り組みを通じまして、新しい医療機器の審査の迅速化が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○斉藤(鉄)分科員 どうか、日本の産業力そのものにも直接響いてまいりますので、よろしくお願いいたします。
最後に大臣にお聞きをいたします。
現在、この放射線治療は日本で年間十七万人だそうです。しかし、今後高齢化が進み、二〇一〇年には二十五万人になる、そして、アメリカと同様に、五〇%、六〇%という人が緩和ケアという分野も含めて放射線治療を受けるようになれば、二〇一五年には大体五十万人に達する、このように厚生労働省の研究班の報告書にもございます。それを担うお医者さん、そして、先ほど言いましたフィジシスト、そして技師の方、これがもう全然不足している状況ということで、ぜひ対処をお願いしたいと思います。
また、予算委員会の総括質疑でうちの政調会長の井上が、いわゆる緩和ケアという考え方を、根治が無理だったらその瞬間からいわゆるホスピスという考え方ではなくて、治療の初期から緩和ケアということも考えた治療体系に直していくべきではないかということもあって、そうなりますと、いよいよこの放射線治療というのが大きな比重を占めてまいります。
大臣のお考えをお伺いいたします。
○川崎国務大臣 まず、がん治療の技術について、特に放射線と抗がん剤、この分野については我が国はおくれている、人員的に足りないという認識を、局長も答弁いたしましたように、はっきり認めた方がいいんだと思うんです。さあ、それではどうするんだというところに移ってきている。ですから、問題意識がそれではどうするんだというところへ移ってきたと思っております。その中に、今委員が御指摘いただいたように、必ずしも医学者だけではなくて理工なり工学の方からのアプローチもあるよ、こういう御指摘をいただきました。まさに複合的にがん治療というものをどう考えるか、全体を構築しなきゃならぬだろうと。
その中で、もうそろそろ出てくると思いますけれども、国立のがんセンターを独法化する、ただし、今政府が言っているような、公務員の数を減らして効率化をするという概念ならば私はやらない、こういう回答をいたしております。
これは、民間と力を合わせながら、がんセンターの機能もより大きなものにしたい、予算もたくさん出したい、そういう位置づけでがんセンターをこれから育てていきたい。いろいろありますけれども、だれかがトップランナーで引っ張らなきゃならぬ。もちろん、いろいろな大学の医学部があるんだろうと思いますけれども、やはり厚生労働省としては、国立のがんセンターをまず引っ張り上げて、その山をできるだけ高くして、そして地域の拠点病院にこういう治療法ということでしっかりやる、また、その人たちががんセンターへ来て研修ができる、新しい技術を習得しながらまた地方へ戻るという形の中で、新しいがん治療の姿というのをつくっていかなきゃならぬ。そういう意味で、がんセンターを中心としながら、地域の診療拠点病院というものとタイアップしながらやっていきたい。
それには、正直、公明党さんと力を合わせながら予算もふやしていかなきゃならぬという問題も抱えると思いますので、どうぞ御支援のほどお願い申し上げたいと思います。
一方で、政調会長から御質問をいただいて、緩和ケアの問題についてお答えを申し上げました。もう既にそこでお答え申し上げましたので、そこにもいらっしゃいましたのであえて申し上げませんけれども、緩和ケアの大切さというものも、同時に私ども進めてまいるつもりでございますので、このことについても御協力をお願い申し上げます。
○斉藤(鉄)分科員 大臣の大変心強い御答弁をいただいて、私も一緒になって頑張っていきたい、公明党も一緒になって頑張る、この決意を表明させていただきます。
次に、在外被爆者の問題で、私は超党派の在外被爆者に援護法を適用する議員の会の事務局長をやっておりまして、その立場で質問させていただきます。
平成十三年八月一日、当時の、いらっしゃいますが、坂口厚労大臣から在外被爆者に関する検討会が設置されました。そして、同年十二月十日に取りまとめた報告書には、共通の認識として「居住地によって援護の程度に差をみることは不合理である」と書かれております。この見解は今も厚生労働省の基本的な方針として変わりはないでしょうか。
○川崎国務大臣 平成十三年十二月に取りまとめられた在外被爆者に関する検討会報告書において、「人道上の見地からは、その現在の居住地によって援護の程度に差をみることは不合理であるというのが、各委員共通の考え」と述べていることは私ども承知しております。
一方、外国にお住まいの被爆者の場合には、国によって医療制度や社会経済情勢が異なり、また、そもそも日本の主権が及ばない中での援護となることから、国内にお住まいの被爆者と全く同じ援護策ということになると、難しい面はあると思っております。しかしながら、実施可能なものから逐次取り組みを進めることが肝要である、このように考えております。
○斉藤(鉄)分科員 ありがとうございます。
平成十四年、在外被爆者支援事業が開始されましてから三年余り経過いたしましたが、まだ多くの在外被爆者が被爆者健康手帳の交付を受けることができておりません。被爆者健康手帳の交付を望み、申請書を都道府県知事あてに提出しながら、被爆六十年以上経過し確認審査が進まず、交付されていない実情が多数あります。とりわけ、韓国被爆者の場合は、約三百人が申請書を提出したまま審査が前に進んでいないようでございます。
この問題に対しまして、我々も一生懸命議連としても動きまして、在外被爆者の居住国に担当職員を派遣して、特に韓国の場合ですが、面談審査する方策が検討されているということでございました。担当職員の海外現地派遣に関しては、韓国だけでなく、ブラジルやアメリカの被爆者からも同様に強い要望が寄せられております。
厚生労働省として、現在どのような姿勢で取り組まれているのか、また具体的な状況はどうなっているのかということについてお聞きしたいと思います。
○中島政府参考人 ただいまの御指摘につきましては、旅費あるいは滞在費の支給を受けて日本に来られて被爆者健康手帳の申請をしようとする在外の方につきまして、旅費等の支給対象となる方かどうか、すなわち手帳の交付の見込みがある方かどうかの審査、いわゆる事前審査と言っておりますが、これに時間がかかっているのかどうかというような御趣旨かと承っております。
この点につきましては、平成十四年度に手帳の交付の渡日支援事業の開始に伴いまして非常に多くの申請があったことによるものと考えてございますけれども、広島、長崎、四県市にも御協力をいただきまして、未処理の件数は、平成十六年の十月末で六百二十七件あったものが、昨年末には四百九件と、このうち韓国の件数は三百六十五件でございますけれども、大分減少してきているというところもございます。
お尋ねのブラジルあるいはアメリカにつきましては、韓国と同様の対応をとるということには困難な面もございますけれども、広島、長崎の四県市が現地の健康相談事業を実施する機会を利用いたしまして何らかの対応ができないか、四県市の考え方についてもお聞きしてみたいと考えております。
○斉藤(鉄)分科員 厚生労働省が本当に工夫しながら前に進めていただいているということは、我々も十分認識しておりまして、その御努力に心から敬意を表しているものでございますが、当事者の方々も大変お年をとられて、生きている間に何とかという思いも我々に伝わってくるものですから、引き続き御努力、どうかよろしくお願いをいたします。
平成十四年十月から在外被爆者保健医療助成事業が始まりました。その助成金には上限が設けられておりまして、通院治療の場合は一人当たり十三万円、入院治療の場合は一人当たり十四万二千円となっております。ところが、実際に助成事業が実施されてみますと、各国の状況に適合していない点が少しずつ明らかになってきました。
私も、先日韓国に、在外被爆者を招いての広島交響楽団のコンサートを企画いたしまして、行って、そのときにいろいろな方に御意見を伺ったんですが、韓国では、被爆者の治療の内容によって上限枠を超える被爆者もいれば、超えない被爆者もいる、個々人当たりの上限枠ではなく、韓国全体の予算枠の中で有効に使えるようにしてほしい。これも非常にリーズナブルな要望だったので、こういうことも考えていただきたいな。
それから、アメリカの場合は、民間保険に加入することによって医療費がカバーされるケースが多い。日本政府は、アメリカの被爆者に対しては、医療費の自己支払い分を医療助成事業の対象としているために、民間保険に加入している人はみずから保険料を負担することによって本来受けられるはずの支援の金額が減るという矛盾が生じております。
ブラジルの場合は、民間保険に加入しなければ十分な医療を受けられないということから、その保険料、加入の助成を行っているんですが、経済的に余裕のある人は自費で足りないところを補って保険に加入しますけれども、余裕のない人は保険に加入できない、結局支援は何も受けられないというふうな状況があるそうでございます。
このように、各国の状況に合わない問題点が指摘されていますが、その改善をぜひ図っていただきたいということで、これまでのこの支援、医療助成事業の実施の状況と、今後、このような問題点があるということを踏まえて、どのように対処されるかということを最後にお伺いいたします。
○中島政府参考人 ただいま御指摘の事業につきましては、在外被爆者の方々がそのお住まいの国で医療機関にかかったときの医療費、この自己負担でございますけれども、これを助成するというものでございます。在外被爆者の高齢化の進展に照らしまして、平成十六年度にスタートさせたというものでございます。
この事業の創設に当たりましては、在外被爆者の方々の御意見も十分に聞く必要があると考えまして、担当官を韓国、米国、ブラジルに派遣いたしまして、現地の被爆者協会への説明を行うとともに、その御要望も伺ったところでございます。
その結果、御要望を踏まえまして、例えば韓国につきましては、助成対象とする医療費の範囲を韓国の医療保険の範囲にとどめることなく、日本の医療保険の範囲まで拡大をする。例えば、強い要望のございました入れ歯とか人工関節、MRIの検査なども助成対象とするというようなこととともに、予算額と実際の助成額の差につきましては、大韓赤十字社が被爆者に対しまして実施する健康診断、健診事業の財源に充てることができるというようなことといたしましたほか、ブラジル等南米につきましては、民間医療保険に加入しなければ十分な医療が受けられないという事情に配慮いたしまして、特例として、医療費の自己負担ではなくて、民間医療保険の保険料を助成対象とするなどの措置を講じてきたところでございます。
この事業につきましては、本格的な実施からようやく一年が経過をしたという段階でございまして、具体的な実施状況につきましては、今後注視をしてまいりたいと考えております。
○斉藤(鉄)分科員 ありがとうございました。
|