| 平成16年8月31日 衆議院経済産業委員会 |
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○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。 まず、質問に入る前に、亡くなられた五名の方の御冥福、また負傷されております六名の方の一日も早い御回復をお祈りしますと同時に、死傷された方々への、また御遺族、御家族への万全の対策を関西電力また政府もとるよう強く要望して、質問に入らせていただきます。 まず初めに、原子力安全・保安院に原子力災害対策特別措置法との関連についてお伺いしたいと思います。 今回の事故について、一九九九年に成立いたしました原子力災害対策特別措置法が使われなかったのではないか、登場しなかったのではないか、こういう批判がございます。 この原子力災害対策特別措置法ですが、一九九九年九月三十日に東海村でジェー・シー・オー事故が起こりました。この事故は、原子炉の外でウランの核分裂の臨界反応が起こるという信じられないような事故でございました。 その直後、私ごとになりますけれども、科学技術総括政務次官を拝命いたしまして、すぐ現地対策本部長を拝命し、東海村に行きました。まず村上村長さんにあいさつをしなければということで村長さんの部屋に入ったときに、最初に村長さんが言われた言葉は、今ごろ何しに来た、こういうふうに、最初の言葉がその言葉でございました。そして、一時間、立ったまま、村上村長さんからお話を伺いました。 これまで東海村は、原子力に対して、国策に対して協力をしてきた、しかし今回この事故が起きて、国は一切何も助けてくれなかった、孤独の決断で住民の避難命令を出した、もうそういう国には頼らない、そういう非常に厳しいお言葉がございまして、私も、そのときの一時間、立ったまま聞いた一時間を自分の原点として、この直後の秋の臨時国会で原子力災害対策特別措置法成立に尽力をした、そういう思いがございます。 この原子力災害対策特別措置法、その法律の名前に原子力災害という言葉が入っておりますように、それまでは地元への説明というふうなこともありまして、原子力に事故はない、絶対安全だ、こういういわゆる安全神話があったわけでございますが、それを否定して、原子力にも災害は起こり得る、しかし、起こったときにどう合理的にその被害を最小限に食いとめるかという考え方のもとにできた、ある意味では画期的な法律だったのではないかと思います。 この法律が今回生きてこなかったという批判がございます。つまり、この法律の中には、大きな原子力災害に対して、政府は、政府の対策本部をつくる、また、現地には現地対策本部としてオフサイトセンター、今回のこの美浜にもその後オフサイトセンターが設置されております、そういうあの法律の枠組みが今回生きてこなかった。 私も、法律の立案に関与して、放射性物質の拡散とそれによる地域環境の汚染の防止ということにのみあのとき頭がいっていたという反省もございます。しかし、原子力災害のポイントはまさにそこにあるわけで、それでいいんだという説もございます。 ここら辺、私、立案者として、私自身頭の整理がついていないんですが、この点を原子力安全・保安院はどのように考えているのか、今回の教訓として、もし不備があるとしたら法律の修正を考えているのか、この点についてまずお伺いします。 ○松永政府参考人 お答え申し上げます。 原子力災害対策特別措置法の関係等についてのお尋ねでございますけれども、今回の事故は、美浜三号機の運転中に復水系の配管が破損し、噴出した蒸気等により五人が死亡、六人が負傷するという大変痛ましいものでございました。そのような深刻な事故ではございますけれども、原子炉は安全に停止をしており、外部への放射性物質の放出による環境への影響はなかったものでございます。 今御指摘のとおり、原子力災害対策特別措置法は、原子力事業者の原子炉の運転等により、放射性物質または放射線が異常な水準で原子力事業所外へ放出された事態等を想定しております。このような場合には、人間の五感に感じずに被害を受ける可能性があり、また、適切な対応を行うためには専門的な知識と特別な装備が必要でございます。こうしたことから、特別な法律が制定をされた次第でございます。 今回の事故におきまして、そのような事態までは生じておらず、原子力災害対策特別措置法の対象とする理由はないと考えられますので、これを契機とした同法の修正等は考えておりません。 しかしながら、先ほども大臣から御答弁申し上げましたとおり、今回の事故は、原子力発電所で発生をした大変重大な事故であるというふうに認識をしております。したがいまして、発生直後、原子力安全・保安院といたしましては、担当の審議官を直ちに現場に派遣をいたしまして、その日に直ちに現地対策本部を、まさにそのオフサイトセンターに設置をいたしました。また、大臣が翌日現地を訪問するというような形で、いわば原子力災害対策特別措置法で予定をしております行動に即した対応をしているところでございます。 いずれにいたしましても、徹底的に事故原因を究明いたしまして、幅広い視野からの再発防止策を講じてまいる所存でございます。 ○斉藤(鉄)委員 法律の対象外ではあるが即した対応をしたという御答弁だったと思いますけれども、この点について、今回の事故の教訓として、もう少しこの法律について議論をする、成立後五年たちました、そのようなことをちょっと提案を申し上げます。 次に、関西電力にお伺いいたします。 今回の事故のポイント、本質は、先ほど松島委員から御指摘ありました、まさに、なぜ検査対象から二十八年間も漏れていたか、何回もその間に検査対象として挙がってくる可能性があったのにそれを逃したかというところに事故の本質、ポイントがあるかと思いますが、松島さんがもう質問されましたので、この質問については省略をいたします。 次の質問ですが、この事故の直接的な原因である炭素鋼配管の減肉現象ということについてお伺いします。 放射性物質の存在する一次系はステンレス配管で、減肉現象は考えなくてもいいということのようですが、なぜ炭素鋼の配管の場合、減肉現象が発生するのか。そのメカニズムを簡単に、わかりやすく、簡潔に教えていただきたいと思います。 ○藤参考人 お答え申し上げます。 炭素鋼の今の御質問につきましては、大変御専門的な御質問でございまして、もし許していただけましたら私どもの辻倉取締役に説明させたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。――恐れ入ります。ありがとうございます。 ○辻倉参考人 お答えいたします。 今回の事故の直接的な原因は、まさに先生が今おっしゃいましたとおり、炭素鋼配管の減肉現象が原因であったと考えております。当該の美浜の三号機は、御案内のとおり加圧水炉でございまして、一次系と二次系が分かれております。蒸気発生器で分離されております。 この二次系の方の水質管理につきましては、ヒドラジンとアンモニアを用いましたいわゆる脱気アルカリ水と呼ばれます水質環境で運転をしてございます。この環境下では、炭素鋼配管には耐食性にすぐれましたマグネタイトを表面に生成させまして、これが耐食性を維持してございます。 一方、配管内には、二次系の水の流れによりまして偏流が起こる部位がございます。例えば、配管が曲がる部位でございますとか、こういうところでは水の乱れが出てまいります。その乱れによりまして、結果として配管の厚さが減少するというように考えております。 この現象は一般にはエロージョン・コロージョンと呼ばれておりまして、機械的な作用によります侵食と化学的作用によります腐食、これの相互作用によりまして腐食が促進されるという現象でございます。二次系の炭素鋼に見られます減肉現象につきましては弊社は過去にも経験してございまして、配管の減肉部にはエロージョン・コロージョンの特徴でございます鱗片状の模様を観察したこともございます。 このようなことから、エロージョン・コロージョンが主要因であろうと推察をしているところでございますが、美浜三号機につきましては、エロージョン・コロージョンが主な原因と考えておりますけれども、今後の事故の原因調査を待ちまして、さらに詳細にメカニズムにつきましては調査してまいりたい、このように考えてございます。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 これは、ちょっと教えていただきたいんですが、なぜ一次系のステンレスではこのエロージョン・コロージョンが起きないのか。ちょっと、初歩的な質問かもしれませんが、教えてください。 ○辻倉参考人 お答えいたします。 ステンレス鋼は炭素鋼と違いましてクロムの含有量が高うございまして、このクロムの含有量が耐食性に対しまして非常に効果を発揮している、このように考えてございます。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 関西電力は、この炭素鋼配管の減肉という現象を承知しておりましたか。 ○辻倉参考人 お答えいたします。 当社は、炭素鋼配管の減肉現象ということにつきましては過去に経験しておりまして、承知してございます。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 それでは、どのようなシステムで二次系配管の減肉を管理してこられましたか。また、一九九〇年に関電として二次系配管肉厚の管理指針をつくられておりますけれども、これは独自につくられたものですか、それとも国から何らかの関与はありましたか。 ○辻倉参考人 お答え申し上げます。 平成二年の五月に弊社プラントの実機のデータをベースにいたしまして、また当時判明しております知見を反映いたしまして、二次系配管の肉厚の管理指針を制定いたしました。 この指針では、私どもは、二次系配管の湿り度でございますとか温度でございますとか流速によりまして、肉厚管理をすべき主要な部位を決定いたします。また、その部位に対しまして肉厚の測定をいたしまして、その結果等を用いまして減肉進展の評価を行います。また、判定基準といたしましては、技術基準に基づきます計算上の必要肉厚を下回らないように、点検時期や取りかえ時期を明らかにして、肉厚管理をしているというものでございます。計測に当たりましては、ちょっと専門的になりますが、超音波厚さ測定手法ということで、JISに規定されております方法を使ってございます。 それから、国との関与のことについて御質問がございました。 私どもは、この管理指針はあくまでも私どもが策定したものでございますけれども、適用するに当たりまして、当時の通産省さんの運転管理顧問会機器部会というところに付議をお願い申し上げまして、御承認をいただいた後に、私どもがこれを指針として運営するということでお断りを申し上げまして、その後、実施してきていることでございます。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 それでは、一九九〇年にこの管理指針を制定して以来、減肉現象について新たな研究成果、知見が世界各地から得られていると思いますが、どのようにそれを実際の管理に生かしてきましたか。フィードバックしてきましたか。 ○辻倉参考人 お答え申し上げます。 私どもは、国内外のトラブルの情報等を収集いたしまして、必要に応じ管理に反映するように運営をしてまいっております。また、昨年の十月からは、ニューシア、原子力発電の情報公開ライブラリーでございますが、全国の事業者が保全、品質管理に関します情報を共有するというようなシステムを運営してきてございます。 このような中で種々の情報を得ているわけでございますけれども、現在私どもが用いております管理指針、これに基づきまして運営しております範囲内に今までのところはとどまってきておりました。 一方、この七月に私どもの大飯の発電所で主給水管で減肉現象が見られました。この部位は当時主要点検部位という形で私どもが管理をしておらなかった範囲のところで出てまいりました。このように出てまいりました新しい知見は、直ちにこの指針の中に、改定をいたしまして、反映してございます。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 今の関電の答弁に対して、保安院にお聞きします。同じ質問を保安院に聞きたいと思います。 本質的には、自主検査項目ですので、各事業者の責任で技術情報を入手し、管理指針に反映させるべき問題と思いますが、原子力安全・保安院としても新しい情報を入手して、それを水平展開して、各事業者がそれを活用するように指導するのも任務と考えますが、どのようにしておりますか。簡潔にお願いします。 ○松永政府参考人 お答え申し上げます。 御指摘のとおり、原子力の安全にかかわる情報というのは有効に活用するということが非常に大事でございまして、事業者がまず自主的に水平展開する仕組みを持つことが重要でございます。今お話にございましたいわゆるニューシアの運用もそういう観点で大事でございまして、また、当院といたしましても、今回の事故調査委員会での審議の結果得られた成果につきましては、他の事業者においても徹底されるようきちっと情報が流通をするように監督してまいる考えでございます。 また、海外の情報につきましても、特に、例えばアメリカのNRCでどういう検討が行われているのか、こういった情報につきましても積極的に収集いたしまして、事業者へ提供してまいる、そういう考え方でおります。 ○斉藤(鉄)委員 今の答弁を聞きまして、かなり重要な検査項目であるという認識をいたしました。それであるにもかかわらず、なぜ漏れたかというところが本当にポイントだと思いますので、しっかり原因究明をしていただきたい、このように思います。 八月十二日に私どもも六名の国会議員で現地を視察いたしました。そのときに、地元美浜町長さんからも、美浜の山口治太郎町長さんからも要望をいただきました。七点にわたる要望でございまして、この七点を、きょう、ぜひこの委員会で取り上げたいと思ったんですが、時間がなくなりましたので、最後、最も重要なことだけちょっとお話しさせていただきます。 国道二十七号から原子力発電所に通じる県道は、水晶浜等への観光や産業、半島部町民の唯一の生活道路として、また万が一の緊急避難道路として、重要な役割を果たしている。 しかし、現時点においても総雨量が百四十ミリを超えた場合、通行が規制されるなど、避難道路であるにもかかわらず本道路の安全対策が十分取られているとは言えない状況である。 このたびの事故を教訓として、今後における住民の安全確保のため、国土交通省との協議を一段と進めていただき、早急に改善が図られるよう、特段の配慮をいただくこと。 こういう要望をいただきました。地元の方としては当然だと思います。私どもが行った日も、海水浴客で道路はいっぱいで、本当に交通もままならないという状況でした。それが避難道路になっているんです。 これに対して、ぜひ地元として配慮してほしい、こういう要望ですが、これは原子力安全・保安院なのか国土交通省なのかわかりませんけれども、ぜひ対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○松永政府参考人 お答え申し上げます。 災害時の緊急避難道路等につきましては、災害対策基本法に基づきまして地方公共団体が作成いたします計画等においてその整備、活用の方針が位置づけられて、関係者が協力してその整備を推進すべきもの、こういうふうに位置づけられているわけでございます。 原子力安全・保安院といたしましても、今御指摘の緊急避難道路等の整備の重要性は強く認識しているところでございます。その実現に向けまして、立地地域への交付金の活用とか、あるいは道路整備の関係機関による配慮をお願いするとか、今後とも柔軟かつ積極的な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。 ○斉藤(鉄)委員 最後に、関西電力の藤社長にお伺いいたします。 関西電力は、原子力の安全管理ということでは、これまで良好な実績を示してきまして、高い評価を得てきました。しかし、今回こういう事故が起きたわけでございます。 原子力の着実な推進という意味で、このような事故がなぜ事前に防止できなかったのか、安全管理システムの基本的なあり方まで立ち入った議論を行っていただいて、再び国民の信頼を取り戻すために頑張っていただきたいと思いますけれども、その決意をお伺いいたします。 ○藤参考人 お答え申し上げます。 最初に先生がおっしゃいましたように、今、被災者の方に対する万全の措置、それから地元の皆様方の風評被害等に対する私どもの誠意ある対応、それから作業者安全、これがまず緊急の課題でやっております。 これから先、今御指摘がございましたこの配管肉厚管理を完全なものにして、二度とこのような同種の事故を起こさないようにする、そしてまた、保全業務全般に関して機能強化をして、二度とこのような事故が起こらないような、そのようなシステムをつくるために、私、全力を賭して頑張る所存でございますので、どうかよろしく御指導賜りますようにお願い申し上げます。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 終わります。 |