| 平成16年5月21日 衆議院文部科学委員会 |
|---|
|
○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。 放射線障害防止法の改正案について質問させていただきますが、文部科学委員会になりましてから何か初めてではないかと思うぐらいの科学技術関係の改正案、法律案審議というふうな気がいたします。そういう意味では、しっかり質問させていただきます。 まず最初に、今回の改正案の一つの大きな動機に、国際原子力機関、IAEA等が国際標準値、免除レベル、放射性核種の免除レベルの考え方を導入したので、それを国内法令にも取り入れる、そのための改正だ、こういうことでございます。ということは、今まで免除レベルがなかったことも意味するわけで、今までの私の理解では、やはり核種ごとに、そういう免除レベルという名前ではなかったかもしれませんけれども、ある一定のレベルが設定されていたのではないかなという気がするわけですけれども、今回の免除レベルの意味、そしてその導入の理由をまず最初にお伺いします。 ○有本政府参考人 お答えいたします。 斉藤先生御質問の件でございますけれども、今回の法律改正は、国際原子力機関、それから世界保健機関、WHOでございます、それから国際労働機関、ILO、こういった国際機関が共同で科学的見地から提唱いたしました放射性同位元素の規制下限値、いわゆる国際標準値、今斉藤先生がおっしゃいました免除レベルと言っておりますけれども、これを我が国に導入するということで御提案をしているところでございます。 現行の規制対象下限値、これは当然、数量、濃度あるわけでございますけれども、これは基本的には、昭和二十年代、三十年代、かなり古うございますけれども、この時期の各国の規制値などを踏まえまして、当時の科学的な知見あるいは使用状況、こういったものを踏まえて制定をされてございます。 一方、今回のIAEAなどが定めました国際標準値、これは少し細かくなりますけれども、どういう方法で定めているかというところを述べさせていただきますと、まず、一定の線量基準、人間が被曝をするときの線量基準、これは年間十マイクロシーベルトを設定いたしてございますけれども、これを設定します。その上で、それぞれの、非常にたくさん、数百種類ございますけれども、放射性同位元素の気体でありますとか液体、固体、こういった状態、それから産業応用、あるいは教育研究、あるいは医学の利用の現場でのさまざまな被曝の経路というものを想定いたしまして、先ほどの一定の線量基準に達するおそれのある放射性同位元素の数量あるいは濃度をそれぞれ細かく算出をいたすわけでございます。その上で、最終的に最も厳しくなる値をとっておるということでございます。 そういう意味で、今回の国際標準値というものは、現行のものに比べまして非常にきめ細かく、それから、より現代的な意味での科学的、合理的な根拠を有しておるということでございまして、今回の御提案に先んじまして、原子力安全委員会あるいは放射線審議会等の専門家の御議論も幅広くいただいておるわけでございます。 さらに、海外におきましても、欧州、アジアの主要国、それから航空、海上のそれぞれの国際機関がございますけれども、こういったところで既に基準値を導入いたしておるわけでございまして、そういう意味で、私ども、我が国においても、そういった整合性あるいは科学的な合理性という観点から今回の導入を御提案しているところでございます。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 よく、すそ切り値という言葉を使います。もうこのレベル以下は放射性物質として扱わないというすそ切り値というのをよく使うんですが、そのすそ切り値と今回の免除レベルというのは、同じように聞こえるんですが、どう違うんでしょうか。 ○有本政府参考人 先生御質問の免除レベル、今回の国際標準値、それからクリアランスレベル、すそ切り値と申しています。この二つでございますけれども、御指摘のように、それぞれ異なる概念でございまして、国際的にも別のものということで議論をされておるわけでございます。 今回法令に取り入れる国際標準値は、いわゆる規制を免除するためのレベルということでございまして、この値は、放射性物質を使用するに当たりまして、規制対象として放射線防護のための措置を講ずる必要があるかないかということを区分するレベルということでございます。 一方、クリアランスレベル、すそ切り値というものは、規制対象として放射線防護のための措置を今までは講じてきておりましたものを、廃棄などの機会にこの防護措置というものをやめてよいかどうかというものを区分するレベルでございます。 言ってみますると、免除レベル、今回の国際標準値というものは規制の入り口と言うことができると思いますし、それからクリアランスレベル、すそ切り値というものは出口と言えるのではないか、出口の基準ということではないかと思います。 なお、クリアランスレベル、いわゆるすそ切り値というものの扱いにつきましては、現在、原子力安全委員会それから国際原子力機関、こういうところで検討が行われておりまして、文部科学省といたしましても、これらの検討状況を踏まえて今後検討していくことになろうかと思います。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 免除レベルとすそ切り値の違いはわかりました。免除レベルは規制の入り口の話、すそ切り値は出口の話、これはよくわかりました。 もう一度最初の質問に戻るんですが、そうしますと、こういう理解でよろしいんでしょうか。これまでも一応下限値というのは設定されていたわけですが、一応全部が、その下限値以下のものも一応規制の対象だった、しかし、今回は免除レベルを設定して、免除レベル以下についてはもう規制の対象にしない、こういう理解でよろしいんですか。 ○有本政府参考人 今までの二十年代、三十年代の経験を基準にしまして制定しておるものも、一応設定をいたしまして、それ以下は対象外ということでございますので、考え方としては同じということで、より今回の方が精密に、現代の知識あるいは経験を踏まえて精密にやっているということで、考え方としては同じだと思っております。 ○斉藤(鉄)委員 よくわかりました。 それでは、今回の改正によって具体的にどう安全性が向上するのか、わかりやすく説明していただきたいと思います。 ○河村国務大臣 放射線の利用ということになりますと、安全確保、これがまず第一、これが大前提になっておるわけでありますから、今回の改正においても、この点に留意をして改正をお願いするわけでございます。 今、日本には五千弱の放射線障害防止対象事業所がございます。近年、許可を受けていない放射性同位元素の発見、あるいは放射線量の管理の不備、こういうもので、安全管理面に起因した事故の割合が高くなっておりまして、この五年間で、二十三件の事故のうち十八件が安全管理に起因いたしております。八割でございますね。 そのことを踏まえて、今回の放射線障害防止法の改正におきましては、第一点は、安全管理に関する記録あるいは記帳の定期確認制度を創設する、これができていなかったということであります。第二点は、放射線取扱主任者に事故の事例に関する科目を含む定期的な講習を義務づける、こうした措置を講ずることにしたわけでございます。 従来からの施策に加えてこうした新しい施策を講じることによって、事業者の放射線利用における安全性の一層の向上を今回のこの改正と相まって図ってまいりたい、このように考えております。 ○斉藤(鉄)委員 今回の改正によって、例えば規制の対象になる機器も大きくふえると聞いております。例えば煙感知器、これはいろんなところに設置されているわけですけれども、これも一応対象になるというふうに聞いております。 そういたしますと、かなり広範な事業者が、これまではある意味では対象でなかった事業所が対象になってくるわけで、このことの周知徹底というのは大変重要なことだと思いますけれども、この点についてお伺いします。 ○有本政府参考人 斉藤先生御指摘のとおりでございます。 この法案を提出する前の準備段階におきましても、原子力安全委員会あるいは放射線審議会等の場の御専門の先生方の検討、こういったものを踏まえまして、私どもの文部科学省の中の検討会、この検討会も、大学等の専門家のみならず、製造メーカーの方々あるいは消費者団体の方々、こういった多様な方々から成る検討会を構成いたしまして、公開の場でいろいろ議論を積み上げてきてまいっております。その上で、ある程度の意見が、方向性が出ますと、シンポジウムあるいは学会、講習会等での意見交換、説明というものを積み重ねてきております。 そういう意味で、今までも、私どもの今の方向性というものは、業界あるいは学界の中でもかなり浸透しているのではないかというふうに考えてございますけれども、さらに、今後、法律を通していただきますと、先ほど来出ておりますように、数百種類の核種について非常に細かい基準を設定いたしますので、この政省令をつくる段階におきましても、放射線審議会、これは公開の場で御議論をいただき、さらにパブリックコメントを求めるという手続も踏もうと思っておりますし、それからまた、事前準備と同じように、広く、説明会、シンポジウム、こういったものを開きたいというふうに考えてございます。 その上で、この法律の改正を受けまして影響を受けるであろういろんな事業がございますけれども、これについては、円滑な移行に伴います適切な経過措置というものも講じた上で運用していきたいというふうに考えております。 以上でございます。 ○斉藤(鉄)委員 本改正案で、いわゆる埋設処分ということが初めて打ち出されました。現実には、しかし、この埋設処分場を選定するというのは大変な困難が予想されますけれども、この埋設処分ということについての今後の見通しをお伺いいたします。 ○稲葉副大臣 先生からの今の御質問でございますが、放射性同位元素、またさまざまな研究所から排出される廃棄物の処分につきましては、行き着くところ、我が国の原子力政策、そして研究開発を進めていくその過程において、必ず直面して解決していかなければならない重要な課題になっているわけであります。 したがって、このために平成十四年に設置されましたRI・研究所等廃棄物の処分事業に関する懇談会、ここにおいてことしの三月に報告書を取りまとめられました。この報告書におきましては、特に廃棄物を処分する主体について報告書の中に盛り込まれ、また、さまざまな廃棄物を排出する機関が主体的に、また共同してその施設を設置するように望んでいるということと、特に、原研あるいは核燃料サイクル機構、これが統合されるわけでありますが、その統合する時期、平成十七年度を予定しておりますが、そのときまでに、この実施主体をどのようにするか、どこにするか、これを早急に結論づけてほしい、こういうふうに報告書に書かれております。 いずれにしましても、処分廃棄物につきましては、高濃度、低濃度を含めまして、高レベル、低レベルを含めまして、その処分場、埋設する場所を選定することが大変大事なことでありまして、それには国民の皆さんの正しい理解、御協力が必要になってくるわけで、このキャンペーン、理解をしていただくような作業を国を挙げて、また機関を挙げて取り組んでもらいたい、このように文科省も要望しますし、また指導もしてまいりたいと思っております。 ○斉藤(鉄)委員 放射線の平和利用、放射線利用は、いろいろな、工業、我々の生活面で広く使われております。この安全を期すということは原子力の平和利用を推進するという意味でも大変重要なことだと思いますので、これからもしっかり取り組んでいただきたいとも思います。 質問を終わります。 |