平成16年3月19日 衆議院文部科学委員会

○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。よろしくお願いいたします。

 日本学術会議法の一部を改正する法律案、質問をさせていただきたいと思います。

 早速ですけれども、日本学術会議、名前はよく聞くんですけれども、何のために存在しているのかということがいま一つわからないところがございます。

 学術会議法を読みますと、目的は、「わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させること」と書いてございまして、職務は、「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図る」という審議的機能、それから「科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること。」という研究連絡的機能、審議的機能と研究連絡的機能から成っている、これが学術会議だ、このように書いてあるわけです。

 いわゆる行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることというふうに考えれば、内閣府があり、また文部科学省があって、その仕事をしております。そして、審議的機能ということになれば、政府の中に多くの科学関係の審議会がございまして、いろいろな政策提言をしていただいております。それから研究連絡的機能ということですが、これはいわば内閣府総合科学技術会議や文部科学省がそういう研究連絡的機能も行っております。そういうことからすると、何のために日本学術会議があるのかということがいま一つはっきりしないということがあります。

 そこで、この日本学術会議が何のために存在するのか。税金を使って、国税を使って、国民の負担で存在しているわけですから、何のために存在するのか、国民にわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

○吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘になられましたように、この日本学術会議は、我が国の科学者の代表機関でございます。我が国、科学者は七十六万人いらっしゃいますが、その代表機関といいますのはこの日本学術会議だけでございまして、これは法律に規定されておるところでございます。

 そういった全国の科学者の意見あるいは知見をボトムアップ的に集約しまして、それを例えば提言というような形で政府あるいは社会に伝えていく、それでもって社会の発展あるいは政策の推進に寄与していく、こういう機関でございます。

○斉藤(鉄)委員 それはわかるんですけれども、ではなぜ、例えば文部科学省にあるいろいろな科学者を集めた審議会、その審議会も政策提言能力や、またある意味での研究連絡調整機能もあるわけですが、そういうものとどこが違うかということを今の御説明ではいま一つすっとのみ込めないんですが。

○吉田政府参考人 各省に審議会いろいろ設置されておりますが、それぞれ所掌事務というのが決まっておりますので、その所掌事務の範囲の中で、あるいは意見具申をしたり、答申をしたり、そういうことをされておるわけでございますが、この日本学術会議は、学術、科学のことに関しましてすべての分野にわたりまして意見具申あるいは提言をする、そういう機能を持っております。そういった所掌の範囲の違いがございます。

 それから、審議会は、全国の科学者の代表というような性格はございません。我が国の科学者の意見を代表する意見というものがこの日本学術会議から出てくる、そういうふうにお考えいただければ幸いでございます。

○斉藤(鉄)委員 ということは、例えば、審議会等は各省庁にあって所掌事務が決まっている、また、審議会等はある意味で行政の一機関であるけれども、この学術会議はその行政から独立をして政策提言を行う、そこが違うんだ、こういう意味でしょうか。

 ですから、例えば、行政と議会、こういうふうな理解でよろしいんでしょうか。行政は行政で、国民から選ばれて、首長がいて、その行政を行っている。それとは独立して議会があって、その行政に対してチェック機能等、またいろいろな提言機能等が議会にあるわけですが、その行政と議会という位置関係と同じようなものだ、こういう理解でよろしいんでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本学術会議は、法律上も独立して職務を行うというふうに規定されておりますが、これはあくまでも行政部内の機関でございまして、行政と立法との違い、関係というものとはまた違っておるかと思います。行政の中で、行政機関ではあるけれども、独立して仕事を行うことによってその機能を発揮することができる、そういう趣旨であろうかと思います。

○斉藤(鉄)委員 この学術会議が全体の中では行政の中にあるというのは理解しているつもりなんですが、内閣府、文部科学省と学術会議の対比、これを今理解しようと私は努めているんですけれども。

 例えば文部科学省、内閣府とは独立した存在としてあって、内閣府や文部科学省がやろうとしているいろいろな科学行政に対して提言しチェックをする、こういう機能だ、それは例えば三権分立における行政と議会の、そういう関係と同じようにとらえていいんですかという質問なんですが、どうなんでしょうか。

○茂木国務大臣 ある程度おわかりの上で、議論をクリアにするために御質問いただいている面があると思うんですが、この日本学術会議は大きく分けますと三つの機能を持っておりまして、今先生の方から御指摘いただいておりますのは政策提言に関する機能の部分だと思います。それ以外に、科学者間のいわゆる連携であったりとかコミュニケーション、それから社会全体に対して発信をしていく、情報提供していく、こういう機能も日本学術会議は持つわけであります。

 その最初の部分について申し上げると、行政と議会、こういうことで対比していただいておるんですが、恐らく、行政と議会の関係にしますと、議会の方は決定権があるわけでありますけれども、こちらの学術会議は専門的な立場から、しかし、総合的そしてまた長期的に政府に対して意見具申、提言を行っていく、こういう機能を持つわけであります。

 ちなみに、そういう総合的な提言をする、こういうことでいいますと、内閣の中に総合科学技術会議があるわけでありますけれども、総合科学技術会議の方は、総理大臣を長といたしまして、閣僚も入り、そしてまた有識者議員、科学者の方等々も入って、まさにトップダウンで全体的な政策をみずから決めていく。それに対しましてこちらの学術会議の方は、科学者のコミュニティーの中からボトムアップで政策をくみ上げ、そしてそれを提言していく。

 こういうトップダウンとそれからボトムアップと、手法の違い。それから、総合科学技術会議の方はみずから政策をつくり、そして方向性を設定する、それに対しましてこの学術会議の方は提言機能を担う、こういった違いがあるかと思います。

○斉藤(鉄)委員 学術会議と行政の関係、何となくわかったような気がいたします。総合科学技術会議との関係についてはまた後ほど質問させていただきます。そういう学術会議の存在の意義はわかりました。

 その前に、ここで言う科学ですね。「行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させること」が目的である。ここで言う科学の意味ですけれども、我々、一般的には科学というといわゆるサイエンス、自然科学ということをすぐ思い浮かべるわけですけれども、学術会議の組織を見てみるとそうではないということがわかるんですが、ここで言う科学の意味をちょっとはっきりさせておきたいと思います。

○吉田政府参考人 日本学術会議法で科学という言葉が使われておりますけれども、一般的には科学という用語は広い意味にもいろいろな狭い意味にも使われるということでございますけれども、この学術会議法の場合は、法律上も人文科学と自然科学という言葉が使われておりまして、人文科学の中にいわゆる社会科学以外の人文科学も含まれているということで、すべての学術分野が含まれておるということで、非常に広い概念で使われておるわけでございます。

○斉藤(鉄)委員 ここで言う科学とは、すべての学術をいうということがわかりました。

 では、次の質問に入らせていただきます。

 この目的の文章にこだわりますが、「行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させること」が目的である。いわば、まさに産官学そのものが目的のところに書いてあるわけでございます。産官学の連携と推進ということが書いてあるわけでございます。

 ところが、この学術会議の歴史を振り返ってみますと、産官学こそ学問の自立自主を侵す思想であるという考えのもとで、まさにこの目的に反する、目的に逆行する考え方のもとで運営された時期がある、このように我々理解しております。学問の自由、学術の自由を強調する余り、国民生活への反映浸透ということ、そういう目的とはまさに逆行するような時代があったと我々認識しておりますが、そのことをどのように認識され、またその反省に立ってどのような改革が行われてきたかということについてお伺いいたします。

○吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和二十四年に日本学術会議が設立されましたけれども、この日本学術会議の会員の選考方法は、当初、選挙によるという方法をとっておりました。その当時、先生の御指摘のように、日本学術会議の活動が科学の進展や学術研究の多様化に対応できないといったようなこともございましたし、またそういった状況もございましたために、会員候補者として立候補する科学者も少なくなって、科学者の日本学術会議離れが進んだ、そういったような状況もございました。

 こういった状況に陥ったことを反省いたしまして、昭和五十九年から、この会員の選出方法がそれに関係するということで改正がされまして、一定の要件を備える学術研究団体である登録学術研究団体からの推薦に基づいて会員を選ぶという制度に改正されたところでございます。

○斉藤(鉄)委員 元総務庁長官でした中山太郎先生が、それまでの一部イデオロギーに支配されていた学術会議を正常な姿にした、このようによく語っておられますけれども、そのことがいわゆる選挙方法の改善によってなされた、これは大きな改革であったと中山先生もおっしゃるのを何度も私聞いたことがございますが、その昭和五十八年の改革はその所期の目的を達成したんでしょうか。

○吉田政府参考人 昭和五十八年の改正によりまして、先ほど申し上げましたような問題が改善されたわけでございますけれども、近年になってみますと、行政改革会議あるいは総合科学技術会議等の議論におきましては、日本学術会議に関しまして、陳情的な勧告等がふえてきたのではないか、あるいは会員の高齢化、長期在籍会員がいるということで、会員構成が硬直化しているのではないか、そういったような指摘がなされるに至ってまいりました。

 こういった御指摘を踏まえまして、今回、また日本学術会議の改革を行うということで、日本学術会議が我が国の科学者コミュニティーの代表機関といたしまして、より的確にその役割を果たしていくということにすることとしたものでございます。

 具体的に申しますと、会員の選考方法でございますが、個別の学術研究団体の利害にとらわれない政策提言が行えるように、会員選出方法につきまして、現行の学術研究団体からの推薦に基づく方法を日本学術会議みずからが会員を選出する方法に改めるということがございます。こういったことによりまして、前回の改正によりまして近年生じてまいりました弊害を改善できるというふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員 随分先まで御答弁いただいて、今御答弁になったのは、昭和五十八年に改革をしたと。私の質問は、その五十八年の改革がそれまでの弊害を取り除けたかという質問でした。その質問に答えていただきたいと思います。

 その上で、そのように改革が、もし昭和五十八年の改革が所期に考えていたとおりにいったとして、では、今回なぜ再度また改革をするのかという質問をしようと思っていたんですが、今回の改革はなぜかということについては今お答えいただきましたので、昭和五十八年の改革が、先ほど言った趣旨で改革されたわけですが、その趣旨は徹底されたんでしょうか。

○吉田政府参考人 お答えが不十分で申しわけございませんでした。

 前回の改正によりまして、その前にありましたような、先ほどのような状況はなくなったというふうに考えております。ただ、さらに、最近になりましてまた弊害が出てきておる、そういうふうに理解しております。

○斉藤(鉄)委員 昭和五十八年の改革で大きく改革をされて改善されたけれども、近年のまたいろいろな諸問題について今回改革をしたということだと理解をいたしました。

 きょうは黒川会長に来ていただいておりますが、世界の観点から、今回の改革についてちょっとお伺いをさせていただきます。

 科学技術基本法ができました。そして、それに基づく科学技術基本計画が出て、日本の科学技術予算も近年大きく伸びております。世界からも大変注目を浴びておりまして、日本の科学技術政策が本当に大きく進んでいる、このように認識されていると私も理解しております。

 そういう意味で、今回の日本学術会議、アメリカには科学アカデミーがあります、それからイギリスにもいわゆるロイヤルアカデミーがある、そのアカデミーに相当するのがこの日本の学術会議、このように理解をしておりますが、いわゆる行政から一歩独立した機関である各国のアカデミー、そのアカデミーの中でも今回の日本の学術会議の改革は注目されている、このように私は聞いております。

 黒川会長御自身が日本の学術会議の世界のアカデミーの中での地位を高めるためにいろいろ御活躍をされている、このように理解をしておりますけれども、現在、この日本学術会議がどのような国際的な役割を担って活動しているのかということについてお伺いしたいと思います。

○黒川参考人 どうもありがとうございます。

 今のお答えですが、現在、世界は、科学アカデミーあるいは科学者コミュニティーの連合体の動きが非常に激しくなっております。その理由は、人口の増加、環境の劣化、それから南北問題、このようなものを解決するのには、政治あるいは私的な企業では解決できないものがたくさんあるということが認識されているからであると思います。

 一つは、国際学術連合のアンブレラオーガニゼーションでありますICSU、国際科学会議でございますが、これは、前会長の吉川先生がちょうど去年まで三年間、日本人では初めて会長をされましたけれども、それ自身が今大改革の最中でございまして、私もその企画委員に任命されているところでありまして、年に三回パリに行って、いろいろな討議をしておるところでございます。

 そのほかに、全体の自然科学アカデミーの連合体、八十数カ国からできておりまして、これの第一回の立ち上げの総会が、学術会議がホストとなりまして二〇〇〇年に行われたところでありまして、国連その他と非常に近い関係を現在構築しつつあるところであります。

 そこで、十五のアカデミー、私どもも参加しておりますが、最初に、南北の教育の問題、格差の問題についての第一回の提言が現在出まして、これを国連に二月五日にプレスリリースされまして、国連のアナン事務総長、国連の全大使、それからスタッフ、プレスを呼びましてこれを公表いたしまして、それぞれの国あるいは地域でぜひこの報告書の一部でもいいから実現させる政策をとってほしいという談話を出したところでございます。

 そういうわけで、アジアでの日本あるいは世界での日本は非常に大事に認識されておりまして、このような活動をしているというのが一つでございます。

 二番目に、アジアで非常に大事なアクティビティーがありまして、アジア学術会議というのが、日本学術会議が中心になりまして十年間の活動をしておりましたけれども、三年前からアジア各国持ち回りということで始まっておりまして、バンコク、クアラルンプール、バリと毎年行っておりまして、ことしソウルで行われることになっています。

 これも、これから成長してくるアジア、経済それから環境、そのような問題について科学者のコミュニティーがどのような提言ができるかということを現在討論しておるところでありまして、恐らく第一の報告書がことしでき上がってくると思いますし、そのような幾つかの報告書を各国の政府、あるいは国際的な政府、あるいはユナイテッドネーション、あるいはそのようなアカデミーに提言しようと思って現在やっているところであります。

 このボディーは、おととしヨハネスブルクで行われましたワールドサミット、環境サミットでは、ウブント宣言というものにサインをすることになりました。

 このウブント宣言は、去年の国連の持続可能な社会へのコミッティー、十一回目のコミッティーでございますが、そこで我々の提言が取り入れられまして、実は私ども、科学者コミュニティーといっても、実際かなりの部分は教育者として務めているわけでありまして、新しいステークホルダーとして、例えば、女性の問題あるいは若者の問題というものがいろいろ取り上げられたのがヨハネスブルクのサミットであったわけです。今度、国連では、科学者コミュニティーと教育者という一つのステークホルダーがあるんだということがこのウブント宣言の結果認められて、文章が入ることになりました。

 このようなことで、日本の学術会議は、そういう意味ではいろいろなところで国際的な学術連合の中心的な役割を担ってきたということが非常に高く注目されております。

 そのほかに、私個人としてはパシフィック科学連合の現在会長に指名されておりますし、そのほかに、四年続けて持続可能な社会の形成についての国際会議を主催しておりまして、第一回が、先ほど申しましたアカデミーの連合体の総会をホストしたこと、それから、二年前にはノーベル賞の百周年ということを日本で開催いたしまして、これも、ノーベル授与機関の執行部が全員集まったというのはヨーロッパ以外では初めてだと言っておりましたけれども、このようなことをやっております。去年の一月には、ITによる科学能力開発ということを沖縄で開催いたしまして、これもユネスコの教育担当の事務総長も来られまして、大変いろいろな、特に第三国の教育の問題その他について討論したところでございます。

 それから、去年の十二月にはエネルギーについての持続可能な社会の形成の国際会議をやりまして、これもいろいろな方が来られまして、ちょうどきのう出た「ルックジャパン」というのにもこの報告書が出ておりまして、海外では相当今知られた存在になっておりますけれども、御指摘のとおり、国内でそれほど認知度が高くないのは何かということについては、やはりこちらの、今までの日本の、一般にそうじゃないかと私は思っていますけれども、十分な広報戦略がないのではないかということで、私自身としてはかなりそれを考えていきたいと思っております。

○斉藤(鉄)委員 国際社会の中で日本学術会議がかなり、かなりと言ったら失礼ですが、大変活躍されているということがよくわかりました。

 今回、副会長を二人から三人にふやすということでございますが、そういう国際戦略との関係がありますでしょうか。

○吉田政府参考人 今回、副会長、現在二人のところを三名にふやすということにしておりますが、これは、御指摘のように、海外のアカデミーや国際的学術団体との連絡調整など、国際交流機能の面で会長を補佐する、そういう役割を想定しております。

○斉藤(鉄)委員 茂木大臣、先ほどちょっと総合科学技術会議についても言及されましたけれども、総合科学技術会議とこの日本学術会議、内閣府の中で車の両輪というふうに言われております。

 しかし、その総合科学技術会議、先ほどは行政と日本学術会議の関係について、私、はっきりさせるために質問させていただいたんですが、今度は総合科学技術会議と日本学術会議の役割の違いについて、先ほど黒川会長から、ああいう国際的な活動をされている、あれは確かに学術会議でないとできないなというのはわかったんですけれども、この点についてわかりやすくお願いいたします。

○茂木国務大臣 先ほど日本学術会議とほかの機関との関係の中で若干触れさせていただいた部分もあるわけでありますけれども、総合科学技術会議、これは内閣総理大臣を議長といたしまして、関係閣僚と有識者議員から構成されます会議でありまして、政府全体としての科学技術政策の司令塔として、トップダウン的にみずから政策決定を行う、そういう会議体であります。

 これに対しまして日本学術会議、これは科学者のコミュニティーの中からボトムアップ的に広く意見を集約いたしまして、中立的な立場から政府に対して政策提言を行っていく、そういう会議体でございます。

 このような役割分担があるわけでありますけれども、両会議、これから一層連携を深めながら、我が国の科学技術政策の推進に寄与していきたい、こんなふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員 最後に、先ほど黒川会長がPR不足ということをおっしゃったんですが、私もそのことを感じております。

 例えば、私三年前に、中国に捨てられた遺棄化学兵器の調査に行ってきました。現地まで行ってきたんですが、実はきのうまで、学術会議が、中国に捨てられた遺棄化学兵器の廃棄技術に対するリコメンデーションをされているというのを知りませんでした。それは私の勉強不足ですから、それを棚に上げて言うつもりはありませんけれども、しかし、私のところに説明に来る内閣府のお役人の方も、このことについては一切触れられておりませんでした。

 事ほどさように、学術会議がこのような大変な努力をされながら、日本社会の中で認知をされていない、国際的にはアカデミー間で大変高い評価が得られているようですが、一般国民に認知をされていないということを痛感いたします。

 このことに対してどのように考えていらっしゃるか、今後どのようにされるかということを最後にお聞きしたいと思います。

○黒川参考人 どうもありがとうございます。

 実は、この遺棄兵器につきましては、二つの報告書を出しておりまして、これは大変大きな問題だという認識があります。

 この報告書はもちろん、関係する省、府には報告書を出しておりますし、このスタディーはある意味では内閣府の大臣官房参事官も委員として参加しております。つまり、だれが参加するかというのは、学術会議の人だけではないということを見せているわけでありますが、ただ、こういうものの、どこにプレスリリースをするかというのは、どうしても私どもは科学担当の記者にプレスリリースしますので、今振り返ってみると、むしろこれは社会部あるいは政治部の記者にプレスリリースをすべきだったかなという、その戦略性が欠けているということを私は認識しているということであります。

 さらに、ことし一月、またこれの続きのシンポジウムを先日やったところでありまして、これは小冊子をつくって、より広いところに配付したいと思っております。

 そのほかに、最初の御質問ございましたけれども、実はおととし、農水省から森林の多面的な機能という諮問を受けまして、それについての答申を出しております。それがWTOで、去年カンクンで、後で農水大臣から伺ったんですが、学術会議からこういう答申をもらっているというふうに出したところ、相手側から大変に信用が、顔つきが変わったということを伺っております。つまり、関係省庁の審議会ではなくて独立した学術のコミュニティーからそのような答申を受けているということが非常に高く評価されたのでびっくりしたというふうに聞いております。

 さらにこのほかに、例えば、南極問題が昭和三十年に国際的な枠組みで行われたんですが、そのときも学術会議がこれに参加すべしという提言を出しまして、これを審査、提言させていただきまして、昭和三十年から南極に行っております。

 今南極大陸の中にある基地を持っているのは日本を含めて三カ国、この日本の昭和基地が世界で初めてオゾンホールを見つけて、世界をあっと言わせたというような実績もありまして、このような科学者コミュニティーから、独立した、国際的な枠組みからのいろいろな提言を出しているというところに非常に大事な機能があるということだろうと認識しております。

 そのようなことから、いろいろな活動をしておりますけれども、例えば科学者の不正行為についての報告書、あるいは食の安全についての報告書も去年出しておりますが、このようなことをどのように生かしていただくかということについては、広報、あるいはその報告書を届ける先についてのいろいろなことを戦略的に考えなくてはいけないということは、私は常々考えているところでございます。

○斉藤(鉄)委員 終わりました。ありがとうございました