【衆議院予算委員会第5分科会 平成15年2月27日】
○斉藤(鉄)分科員 公明党の斉藤鉄夫でございます。
大臣、御苦労さまでございます。本日は、特定疾患対策研究事業、それから小児救急医療、この二点について質問をさせていただきます。
昨年、小児難病の一つであります胆道閉鎖症で苦しむお子さんを支援している団体の方から御相談をいただきました。十月には、大変お忙しい中、坂口大臣に団体の代表の方及び患者さん方に会っていただいたところでございます。
胆道閉鎖症というのは、肝臓でつくられた胆汁を腸へ流す胆管が閉鎖または欠損する病気、そういう病気を持って赤ちゃんが生まれてこられるわけですけれども、現在、胆道閉鎖症の患者さんは全国で約三千人ほどいらっしゃる。昔は、生まれてきて二、三年で亡くなられるということだったわけですが、最近、医療技術が進歩して手術が開発され、一割の方はお亡くなりになるそうですけれども、大体九割の方は助かる。しかしながら、助かってもこれが完治するわけではなく、助かった患者さんも、いずれは肝機能障害、肝臓移植ということになるそうでございます。
このように、手術は開発されましたけれども、引き続き一生その病気に苦しめられる、こういう病気だそうでございます。この胆道閉鎖症の患者さんや御家族の方にもお会いし、生活を支えていくための社会保障制度や福祉、医療制度が不十分なため、医療費の負担を初め大変な困難を強いられているというお話を伺ったところでございます。
まず初めに、厚生労働省としてこのような胆道閉鎖症の患者さんの実態をどのように把握し、認識をされているのか、お伺いをいたします。
○岩田政府参考人 胆道閉鎖症は、放置しますと、今先生がおっしゃいましたように肝不全に陥るということでございまして、そういうことから、この病気は出生後できるだけ早い時期に手術する必要があると聞いております。
その結果、多くは救命されますけれども、術後の障害が残る場合もあり、御家族の御苦労、御負担は大変大きいものがあるというふうに認識いたしております。
この病気は出生一万人に約一人の割合で発生するというふうに言われておりますが、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象といたしておりますので、その事業の中で患者を把握いたしております。平成十二年度の状況ですけれども、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象となっている患者、したがいまして十八歳までですけれども、千九百三十名ということでございます。
また、胆道閉鎖症の治療を行っている医療施設が会員になっております日本胆道閉鎖症研究会というのがございまして、ここが一九八九年から登録事業を行っているというふうに聞いております。これによりますと、手術を受けた乳児などの術後一年後の状況を見ますと、九割の方は生存なさっておられて、一割の方が死亡されております。生存されている方を見ますと、黄疸のない方が全体の約六割、黄疸があるという方が約四分の一、そして一%弱の方が肝移植の手術をさらにされている、そういう状況のようでございます。
○斉藤(鉄)分科員 先ほど答弁にありましたように、小児慢性特定疾患治療研究事業の対象になっておりまして、十八歳までは手厚い保護があるわけですけれども、十八歳以降は高額の医療費負担が強いられることになる、このように伺っています。しかし、十八歳を過ぎると病気がなくなるというものではありません。黄疸が出る人は約四割ということで、一年後でそういう結果らしいんですが、短い長いの差はあれ、いずれ皆さん、肝臓移植という結果になるとも聞いております。
この難病に苦しむ患者さんの負担を少しでも軽減するさらなる措置を講じていかなければならないと思うわけですが、患者さんの医療費の負担軽減を図るという意味では、厚生労働省として特定疾患治療研究補助金があり、現在四十五疾患がその対象になっていると聞いております。
この特定疾患治療研究の対象疾患は、学識者から成る特定疾患対策懇談会の意見を聞いて選定し、主に四点の要素をもとに検討されているそうです。一点目に疾病の希少性、二点目に疾病原因の不明、三点目に効果的な治療法の未確立、四点目に生活面への長期にわたる支障とありますが、胆道閉鎖症はこの四点をいずれも満たすのではないかと私自身は思います。
そこで、この四十五疾患が対象になっている特定疾患治療研究補助金、これの対象になるためには、まず特定疾患対策研究事業に加えられなくてはならないそうです。現在、これについては百十八疾患が対象になっているそうですが、この特定疾患治療研究補助金の対象疾患として選定できる道を開くべく、この特定疾患対策研究事業に胆道閉鎖症を加えるべきではないかと考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○高原政府参考人 委員御指摘のように、特定疾患の治療研究事業は、原因の不明性、治療法が未確立である、それから患者数が少ないということ、生活面で長期にわたる支障があるということで選んでおりまして、そういうふうなものにつきまして、原因の究明等を目的とする百十八の特定疾患対策研究事業、その中から、診断基準が定まっており、かつ患者数の少なさや重症度を考慮して、特定疾患治療研究事業、これが現在、御指摘のとおり四十五疾患になっておるわけでございます。
この両研究事業の対象疾患でございますが、上記の要件を厳密に勘案して選定しているところでございます。御指摘の点につきましては、特定疾患の対象になるのかという点もいろいろ整理した上で、特定疾患対策懇談会の委員にも意見をお伺いしまして、検討させていただきたいと考えております。
○斉藤(鉄)分科員 私も直接お話を伺いましたが、十八歳まではこの小児慢性の研究事業に入っていて何とか生きてこられたけれども、十八歳になった途端非常に高額な医療費がかかる、治療費がかかる。当然、こういう病気を抱えているわけですから、働くこともできない。そういう中で大変苦しんでいらっしゃいますので、ぜひ何らかの措置を、温かい手を差し伸べる措置をとっていただきたいということをお願いするわけです。
今度は、手術を受けて、肝臓疾患になった、閉鎖症の方が肝臓機能の疾患を持たれるようになった場合ですけれども、心臓移植や腎臓移植には身体障害者福祉法による障害者手帳が交付されていますが、肝臓移植を受けた患者さんには身体障害者手帳は交付をされておりません。これは、身体障害者福祉法に定める障害にそもそも肝機能障害、肝臓機能障害が含まれていないことが理由であると伺っております。
そこで、なぜ肝臓機能障害は身体障害者福祉法における障害として認定されていないのか。肝臓移植者についても身体障害者手帳の交付がなされるように検討すべきではないかと考えます。胆道閉鎖症手術を受けられた方も、先ほども申し上げましたが、早い遅いの差はあれ、必ず肝機能障害という状況になります。また、肝臓移植ということになるわけで、こういう面での手当ても必要ではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○上田政府参考人 身体障害者福祉法におきましては、身体機能に一定以上の障害が存在し、かつその障害が永続し、固定していること、こういった考えに基づき身体障害の認定を行い、身体障害者手帳を交付しているところでございます。
お尋ねの肝臓疾患につきましては、継続的に医療が行われていること、または治療により改善する可能性があること、こういうことが想定されるものでありまして、一般的には、障害が永続し、固定しているという要件に該当しない、このように考えられますことから、肝機能につきましては障害の対象とはしていないところでございます。肝臓移植を受けられた方が日常生活におきまして大変御苦労されておられるわけでございますが、今私が申し上げましたこういった要件と申しましょうか、で難しいというようなことで、身体障害者として認定し、そして身体障害者手帳の交付の対象とすることは難しいというふうに考えているところでございます。
○坂口国務大臣 この問題は、超党派の肝臓疾患研究会でございましたか、ちょっと名前は違ったかもしれませんけれども、それぞれの党の先生方がお入りいただいた会がございまして、その皆さん方からも実は申し出が出ている問題でございます。
心臓、腎臓は移植をした後それは対象になるのに、肝臓は移植をしてなぜ対象にならないのかというお話でございまして、今部長から説明したのが現在の厚生労働省の一つの説明でございますけれども、これはなかなか詰められると難しいところがあるんですね。
先ほどの特定疾患対策研究事業、あるいはまた特定疾患治療研究事業、どれを入れてどれを入れるべきでないのかという話もなかなか難しい話でございまして、先ほど挙げました四要件、原因不明で、治療法が確立されていなくて、患者数が少なくて、生活面で長期に支障を来す。これも、この胆道閉塞症ですか、この場合に、例えば手術をしてある程度生き延びることができるようになった、このことが治療法が確立したということの中に入れられるのかどうかということなんだろうと思うんですね。それを入れるとここから外れるということになるし、いや、それは手術はできても長生きはできないので、とりあえず一時つなぎにやれるだけだというふうにいえば、それは治療法は確立していないということになるわけでございます。
そういう、見方によって非常に難しい。この辺のところを今局長のところで一遍整理をしてもらって、そしてもう少しわかりやすい形にならないかというので、今いろいろと検討をしていただいているところでございます。
これは検討しましても難しいことには変わりがないので、検討したらえらいきれいさっぱりになったというわけにもなかなかここはいかないところであることだけは事実でございますけれども、多くの皆さんが、その理由ならそれはまあやむを得ないなと、こういうふうに思っていただけるような割り切り方がやはり必要なんだろう。
だんだんいろいろの疾患が後から出てまいりまして、それを入れて、入れなかったり、入れたり入れなかったりと、こういうことがあって、だんだんと複雑になっておりますので、少しその辺のところを今整理をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。これも専門の先生方にも入っていただいていろいろやっておりますので、いましばらく時間をちょうだいしたいと思います。
○斉藤(鉄)分科員 大変心のこもった温かい御答弁をありがとうございました。
それでは次に、小児救急医療について質問させていただきます。
現在、小児救急医療の危機が叫ばれております。私も地元を回っておりましても、若いお母さん方から、子供が急に容体が悪くなるが、診てほしいときに、夜中でも対応してもらえる小児科が近くにないという切実な声を本当によく聞きます。
ということで、まず初めに、昨年、岩手県一関市での事故がございましたけれども、小児科医がいないとの理由でたらい回しされて、結局亡くなるという痛ましい事故が起きましたが、こういう事故を起こさないためにも、現在、危機的とも言われている小児医療の現状を厚生労働省としてどうお考えになっているか、御見解をお伺いします。
○篠崎政府参考人 岩手県の一関市におきまして生後八カ月の乳児が死亡した今回の事例、まことに痛ましい残念な事件であるというふうに考えております。
御指摘の小児救急医療体制の整備につきましては、安心して子供を産み、健やかに育てる基礎となるものでありまして、少子化対策としても大変重要であるという認識をいたしております。
この岩手県一関市のことを契機にいたしまして、小児救急医療、特に私どもも重要な事項の一つでありますし、また今までも対策は講じてまいりましたけれども、再度それを充実させるべく、昨年の十一月に各都道府県の小児科救急医療の担当課長会議を開催いたしました。
そこで主に四つのことを議論いたしたわけでございますが、まず第一は、小児救急医療体制の確立のための関係者の協議会をそれぞれの地区につくっていただいて、計画的にその整備を進める。そしてまた、その進捗の状況の点検や新たな整備方針の策定をそれぞれの地域で行ってほしい。
それから、国立、公立、公的病院は比較的、小児科の救急医療がある程度充実しておりますが、その人たちに積極的にそれ以外の病院等に支援をこの際してほしいということを、それぞれの自治体なり国なり、あるいは公的団体の事務当局の方にお願いをいたしまして、それぞれの末端の施設がそれに協力体制を組んでいただくようにお願いをいたしました。
それから、先ほどの坂口大臣の御答弁にもありましたように、小児科以外の医師の人も小児科についてもう少し勉強していただくといいますか、再び勉強していただいて、小児救急に対応していただけるように、そういうマニュアルをつくろう、これは私どもの責任でつくろうということでやっております。
それから、いざというときに専門の小児科医と連絡をスムーズにとれるように、ITを活用した遠隔医療的なものの整備というようなもの、こういう小児救急医療ネットワークの構築というような、主に四つの項目につきましてそれぞれ議論をして、都道府県のいい事例を紹介いただきました。
それをもとにいたしまして、この間、この会議を昨年の十一月に行いましたので、その会議を受けて今どうなっているかというところを、その進捗状況につきまして、二月一日現在、それぞれの地区でどういうような状況になっておりますかということをフォローアップしておりまして、今月末までに各地区からの報告をいただくようにいたしております。
私どもといたしましては、その報告の結果を受けまして、さらに小児救急医療体制の整備充実に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
○斉藤(鉄)分科員 広島市にあります舟入病院小児科、昨年、広島県内で唯一、二十四時間、三百六十日体制になりました。これは広島市では大変大きな話題になっておりまして、我々の安心の一つの大きな柱になっているんですけれども、それに伴い、夜間救急に訪れる患者が非常に大きく増加したそうでございます。
これは地元の新聞にも大変大きく報道されたんですが、とにかく夜間に患者が多い。そして、その患者の九割以上が軽症であり、理由として、共働きで夜しか病院に行けない、いわゆる本当の小児救急医療ということではなくて、二十四時間、三百六十日体制というのが救急病院のコンビニ化という状況になっていると言われておりまして、現場の医師からは、多数の軽症患者に紛れて一割に満たない重症患者を見落としてしまうことが怖いとの不安の声も出されております。
このように、体制を整えれば整えたでこういう新たな問題が起きるということで、現場医師の責任のみにとどまらず、行政と一体となってこういう現状の改善を図る用意があると思いますけれども、御見解を伺います。
○岩田政府参考人 今先生が例としてお出しになりました舟入病院も勉強してみたいというふうに思いますが、各地でさまざまな工夫が、今取り組みがなされております。
地域において近隣の小児科医間の輪番制を実施するというのはよく見かけるケースですけれども、また、ある病院では、三人の小児科医の勤務時間の組み合わせを工夫することによりまして、一人一人の医師の過重な労働時間を改善しながら、夜間も含む診療機能は維持できるといったような、こういう例も出てきております。そういう好事例を収集、評価しまして、有効であるというふうに認められることがございましたら、広く関係者に周知をしていくということも大事かなというふうに思っております。
それとあわせて、これは坂口大臣から非常に強い御指示があり始まったことなんですが、若い小児科医をいかに確保して育成していくかという課題がございます。小児科医の数は全体としては減っていないんですけれども、高齢化が進んでいるということがございまして、若いお医者さんに小児科に入ってきていただく、そういうことで、今年度から、厚生労働科学研究の中で研究を始めているところでございます。
例えば、小児科医師の勤務条件の改善のあり方とか、特に小児科という分野では女性の医師が大変ふえておりますので、女性の医師自身の子育てと仕事の両立のための条件のあり方ですとか、地域で限られた小児科の医師の配置をどういうふうに考えたらいいかといったようなことも含めて、この厚生労働科学研究で研究をしていただいております。
この結果を踏まえまして、政府としても必要な対応を講じてまいりたいというふうに考えております。
○斉藤(鉄)分科員 よくわかりました。
子供の病気は軽症かどうかわからないことが多くて、特に小さいお子さんを抱える若い夫婦は経験も浅く、子供の容体が少し変化してもうろたえることが多いのではないかと思います。広島県では、地域保健対策協議会が昨年九月より、全国で初めてとなる小児救急医療電話相談事業を開始して、親御さんの不安を少しでも解消すべく取り組んでおります。
そこで、小児医療の充実を図る上で、医療機関の整備や小児医師の確保などは当然として、電話相談事業や小児医療情報の提供など、親御さんに対して少しでも安心感を与える措置を講ずべきと考えますが、いかがでしょうか。こうすることによって先ほどのコンビニ化が防げるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○岩田政府参考人 医療機関を受診する前の段階で適切な医療情報が得られるということは、病気になった子供を抱える家族にとっては大変有効、安心できることであるというふうに思いますし、また、電話相談事業を実施するということで、医療機関の混雑の緩和にもなるという効果も期待されるというふうに考えているところでございます。先生御指摘の広島県の事例は、実は、先ほど御紹介させていただいた、今年度から始まっております厚生労働科学研究の一環としまして、モデル的に、地域の熟練した小児科の先生方の協力を得て始めているところでございます。
また、子供を育てておられる家庭に対して、理解しやすい小児医療情報をいかに提供していくかということについても、同じくこの厚生労働科学研究の中でこれから検討してみたいというふうに、今の先生の御指摘をお聞きして考えたところでございます。
○斉藤(鉄)分科員 最後に、坂口大臣、著書「タケノコ医者」を読ませていただきましたところ、ちょっと読んでみますと、卒業時に「内科や精神科からも熱心な勧誘を受けた。しかし、私は学生時代から決めていた。 「臨床をやるんだったら小児科がいい」 迷いはなかった。」と。
このようなところもあるわけでございますが、この小児救急医療についての御決意をお伺いいたします。
○坂口国務大臣 小児救急医療というのは、この少子化対策の中で、やはり子育てをするための最低限度の要件の一つだというふうに思っております。しかし、そうは言いますものの、それに十分対応できていないのが現実でございまして、なかなか十分に対応できる環境にありません。
これは、先ほどから話が出ておりますように、小児科医が足りないということに一つは起因をいたしております。小児科という科がなかなか経営的にも難しいということもございますし、また、小児を扱うということは非常に、裁判等も多いといったようなこともございまして、敬遠をする人がふえてきたといったようなこともあるというふうに聞いております。いろいろの事情があるというふうに思いますけれども、やはり安心していただきますためには、小児を診る医師をふやすことが大前提でございますので、それに対する対応に取り組みたいというふうに思っております。
そして、それは大前提でございますが、急にその結果が出るというわけではございませんので、先ほど局長からも答弁がありましたとおり、内科の先生方にもひとつ応援をしていただけるような体制を組むことができないか、そうしたことも含めて現状を乗り切っていきたいというふうに思っている次第でございます。
○斉藤(鉄)分科員 ありがとうございました。終わります。