【衆議院文部科学委員会 平成14年5月29日】

○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 まず、私は最初に、先週金曜日、日本経済新聞の一面トップに「ロケット政策転換 H2A三菱重工に移管」という記事が載りました。宇宙開発委員会でこういう議論がされてきたのか聞いておりませんし、また、この文部科学委員会でもロケット政策のこのような大転換を議論したこともございません。政府としてはどのようにお考えになっているんでしょうか。

○遠山国務大臣 私も、ある朝起きて、その記事を見てびっくりというのが正直なところでございまして、その記事はまるで決定されたかのように書かれていたと思いますけれども、それはいささか、ちょっと筆の走り過ぎかなという感じがいたします。

 そういう方向で議論をし、これから具体的に宇宙開発委員会の方で、今のH2Aロケットがどの段階まで行ったらどういう形で民営化していくかということも含めて、大きな宇宙開発の戦略を今立てているところでございます。

○斉藤(鉄)委員 それでわかりましたけれども、これまで多額の税金を使ってロケット開発をしてきたものでございます。そのロケット、今後のロケットビジネスを考えれば、コストということが非常に重要で、それに民間参入の方向というのはよくわかるんですけれども、しかしながら、これまで税金が投入されてきたという経緯もございます。この委員会での議論、また宇宙開発委員会での議論を通して、国民の理解を得る形で進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 それから、二点目ですけれども、科学技術白書、それからものづくり基盤技術白書等、案が出てまいりました。私もちょっと目を通させていただきましたけれども、一貫して流れているのは、やはり日本の国力が、徐々にではあるけれども落ちてきている。その原因は、やはり子供たちの知離れということ、そして、もう少し絞って言うと理科離れ、科学技術離れということが、日本の技術力の低下、そして創造力の低下、ひいては国力の低下、こういうことの基盤になっているのではないか。このような底流がその二つの白書に流れていると私は読ませてもらいました。ゆゆしき問題だと思うわけですけれども、これはもう何度もこの委員会で議論されておりますが、子供たちの知離れ、科学技術離れにどのように取り組んでいこうとされているのか。何度も聞きますけれども、もう一度聞かせていただきます。

○加納大臣政務官 日本の国力が落ちている、産業競争力がかつて一番だったのに、国際競争力が今や三十位になっているといったようなデータも出ているわけでございまして、日本の知離れそしてまた科学技術離れというのが、科学技術創造立国を目指しております我が国にとってゆゆしき問題であるという斉藤先生の御指摘は全くそのとおりだと思っております。

 御質問でございますが、最近の取り組みいかんということでございますが、私ども文部科学省としましてもこの問題を深刻に受けとめております。基本は科学する心の涵養、科学っておもしろいと思ってもらうことがまず第一だろうと思っております。

 最近の比較データでちょっと気になったことを申し上げますと、理科とか数学の理解力そのものは、最近の国際調査で、中二の生徒の比較でございますが、日本は相変わらずトップクラスにいます。しかしながら、理科がおもしろいかおもしろくないかというと、つまらない。授業は楽しいか楽しくないかという質問に対して、楽しいという人の比率は二十二カ国中二十一番目。将来あなたは科学的な仕事をしたいですかというのに対して、したいという人の比率が二十二カ国中二十二番目、言いかえるとどんじりでございます。これでいいのだろうかということで、今申し上げました対策として、科学する心を基盤に据えたいと思っています。

 具体的なこと、細かくは省略させていただきますけれども、例えばこの四月から実施になりました新学習指導要領におきましても、観察とか、実験とか、あるいは課題学習、あるいは総合的学習、いろいろなテーマでもって自然との触れ合い、不思議との触れ合いを刺激するようにしたいと思っておりますし、また、科学技術・理科大好きプランというのをスタートすることにいたしました。先生御案内のとおり、スーパーサイエンスハイスクールという制度を四月から実施することになりまして、たくさんの応募の中から二十六校をこのたび指定が終わったところでございますし、また、大学や研究機関と教育現場との間に、専門家に教育現場に行っていただく、中学、高校に行っていただく、あるいは中学、高校、大学から企業の方とか研究機関にも出かけるという相互交流を深めていく、そういったことが大事だろうと思います。

 また、日本科学未来館というのを去年の七月に設立いたしまして、宇宙飛行士の毛利衛さんに館長をやっていただいております。私も行ってまいりましたけれども、ここに子供たちにたくさん来てほしいと思っております。ことしの五月でございますか、去年の七月からの約十カ月間で既に当初目標の五十万人を早くも突破、しかもその四割は子供たちということでございます。何とかこういったことも進めていきたいと思っているところでございます。

○斉藤(鉄)委員 先ほどありましたスーパーサイエンスハイスクール、すばらしい試みだと思いますが、選ばれた学校を見ますと、どうも受験校がそのまま選ばれているようなところがありまして、いたし方ない部分もあるのかもしれません。そういうところが応募してきたということなんでしょうけれども、もっと今後幅広く考えていただければな、このように思います。

 子供たちの科学技術離れ、理科離れ、私は一つちょっと別な観点を持っておりまして、日本社会が科学者、技術者をきちんと遇していないという最も根本的なところにその原因があるのではないかという気がいたします。

 どこかの新聞で読みました。例えば官庁でも民間企業でも、理科系の人と文科系の人、入った当初は同じような割合なんですけれども、偉くなっていく順に理科系出身の割合がどんどん狭くなっていくということで、一生懸命努力してもそれが社会に評価をされないというところにより根本的な原因があるのではないかな、このように思っておりますが、これは役所として、技術者の社会的地位向上云々ということについて国が計画を立ててどうこうということではないのですけれども、例えばいろいろな資格制度とかいろいろな方法があろうかと思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○山元政府参考人 御説明いたします。

 今先生おっしゃられました、まさに今の日本の状況を考えてみますと、イノベーションとかそれを通じました新産業、新市場の創出、そのために、まさにその活動を担う者としましてのすぐれた技術者、この養成問題の重要性というものは十分認識しておるところでございます。

 この第二期の科学技術基本計画におきましても、技術者の教育のところ、さらには今先生おっしゃられました資格の付与的なところ、あるいはそれを継続的に能力を維持していくところ、開発していくところ、そういうことについての一貫した技術者の資質能力の向上システムの構築、そういうことについてうたわれておるわけでございまして、それに向けての努力をしているところでございます。

 特に、社会的地位の問題として、私ども、やはりこうしたすぐれた技術者の能力を社会的に評価し、しかも企業の中で適切に処遇される、これは非常に大事なことかと思ってございます。

 一方で、技術者の中でも、特に高等の専門的応用能力を有する、いわゆる技術士の資格制度、これを通じまして、私ども今技術者の問題について特に力を入れて取り組んでいるわけでございますけれども、残念ながら、海外との資格に比べたり、あるいは社会的な評価を見ますと、まだまだ評価的に活用も進んでいない、本当に十分認識されているんだろうかという点があろうかと思ってございます。

 このために、二年前でございますか、技術士の法律についての法改正をしていただきまして、いろいろな、多くの技術者とか学生が技術士を目指せるように、受験要件の多様化を図らせていただきました。

 また、技術士の方々が海外でも大いに活躍できるような、国際的な相互承認、これに向けてのいろいろな準備も進めてございます。

 そのほかに、技術士の方々がいろいろな形でほかの資格との連携を拡大していただくとか、あるいは企業の技術力の評価の際に、技術者を抱えていることによって非常に評価が高くなってもらえるような、そのような形で技術士の方々が大いに社会で活躍していただけるような、そういう努力をしているところでございます。

 また、継続的な能力開発という面もございますので、そのために、例えば私どもとして、能力開発とか再教育のための何らかの情報提供、そういう点での支援もできないだろうかなということで、その準備もやっておるところでございます。

○斉藤(鉄)委員 先ほどの答弁にございました技術士ですけれども、アメリカで日本の技術士に相当するPE、それからイギリスでそれに相当するチャータードエンジニア、CE、これを取ると、大体取っただけで食べていけると言われていますね、社会的にもきちんと認められて。ところが、日本で技術士を取っても食べていけない。足の裏についた御飯粒と言われておりまして、取らないと気持ち悪いけれども取っても食べられない、こう言われております。

 ここら辺を、社会制度そのものを変えていかなくてはいけないと思うんですけれども、この技術士制度の拡充について、二年前に法改正したといいますけれども、拡充の具体策が全然見えてきません。この点、どうなっているんでしょうか。

○山元政府参考人 今のイギリスあるいはアメリカの同じような制度のお話がちょっとございましたが、日本の技術士、今登録されておりますのが約五万人程度。それに対しまして、米国の場合、プロフェッショナルエンジニアが約四十万人、それから英国のチャータードエンジニアは約二十万人の制度に発展しておるところでございます。

 技術士制度の拡充のところについての法改正のお話をさせていただきましたけれども、それ以外に、先ほどちょっと申し上げましたが、企業の技術力評価、この際に、技術士を十分評価していただこうというための努力もあわせてやらせていただいてございます。

 先生もう既に御案内だと思いますけれども、従来から、公共事業、これに入札する際に、建設業者の経営事項審査における技術職員評価、その中では技術士は一級建築士と並んで最高の評価がなされておるわけでございます。これはもう既になされているわけでございますが、平成十三年度からは、国の物品の製造、これに係る個々の入札案件におきまして、特に技術力のある中小企業者、この方々に入札参加機会の拡大を図ろうということで、技術士の資格保有者、その数に応じて技術力の評価点を加算する、そのようなことにもなっておるわけでございます。

 それから一方で、技術者の制度の一つの問題として、やはり将来の技術士のことを考えていきますと、現在二十の技術部門がございますけれども、そういう本当に個々の技術部門で技術士があっていいんだろうか、将来のことを考えると、もう少し大ぐくり化したような技術部門のあり方もあってもいいんじゃなかろうかとか、そういう点につきましても、いろいろな審議会等で検討を進めているところでございます。

 それから、先ほどちらっと申し上げましたけれども、技術士の国際的な活躍のための国際相互承認、それに向けては、既に約千六百名の者がその資格要件を満たすという形で、認定もしておるところでございます。

 なお、御参考までに、おかげさまで技術士の試験の受験申込者、これが平成十三年度、昨年度は、一次試験、二次試験合わせまして、約七万四千人で、前年度に比べまして三割増になっておる、非常にうれしい状況にはなっておるところでございます。

 そういうことで、引き続き今後ともそういう改善の努力は進めていきたい、こう思っておるところでございます。

○斉藤(鉄)委員 加納政務官、最初に青少年の科学技術離れの質問をさせていただきまして、お答えいただきました。今の技術者の社会的地位、そして技術士制度、その議論を聞かれまして、最初の青少年の科学技術離れと関連させて、文部科学省の今後の御決意を。

○加納大臣政務官 斉藤先生の御心配というのは、実は私どもの心配と同じでございます。

 日本はやはり何があるのかといったら、日本に天然資源があるわけではございません。世界最高の兵器があるわけでもございません。日本はやはり平和に生きる、科学技術、これが日本の唯一の資源だろうと私は思います。そういう意味では、人材、なかんずく青少年、未来を担う青少年が科学技術に興味を持つ、関心を持つ、そして技術士にもあこがれる、こういったような社会になっていくといいなと思っています。

 そういう意味では、やはり夢というのはすごく大事でございまして、今何か日本が元気がないのは夢がないからだ。かつては日本は、何もなかった中からアメリカに何とか追いつき追い越そうという夢、何もなかった国を立派な緑豊かな国にしたいという夢、世界の中でも誇りを持って歩ける国にしたいという夢がありました。今、日本にそういう夢がない。科学技術というのは夢というキーワードでくくれる大事な項目だと私は思っております。

 かつて、今から百年前に、西暦一九〇一年でございますか、二十一世紀の夢という募集があったことを思い出しますけれども、今、五十年後、百年後の夢を描き、それを実現するための手段を考えると当然科学技術になってまいります。そういう意味では、ぜひとも科学技術創造立国を進めていく私どもとしましては未来に対して夢を描く。例えば核融合、これもすごい夢だと思います。それから、太陽宇宙発電なんというのも大変な夢だと思います。核燃料のサイクル、これも夢だと思います。さまざまな夢を描き、一歩ずつ実現していくんだということが実は、ちょっと迂遠なようでありますけれども、これが王道ではないだろうか、そのための条件整備を我が文部科学省としましてもしっかりやり、科学技術大好き、理科大好き国家をつくっていきたいと思っております。

 どうぞよろしく御指導ください。

○斉藤(鉄)委員 終わります。