【衆議院経済産業委員会 平成14年5月22日】

  

○谷畑委員長 これより会議を開きます。

 第百五十三回国会、亀井善之君外六名提出、エネルギー政策基本法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長日下一正君及び資源エネルギー庁長官河野博文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

○谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤茂之君。

○後藤(茂)委員 後藤茂之でございます。

 それでは、エネルギー政策基本法の質疑に早速入りたいと思います。

 今回のエネルギー政策基本法でありますけれども、従来、需給の見通しやエネルギー政策について総合資源エネルギー調査会の意見を聞いて、経済産業大臣が政策を遂行していくという体制だったわけでありますけれども、今回の新しい法律については、エネルギーの需給に関する基本計画をつくるに当たって、関係行政機関の長の意見を聞く、そして閣議決定を行う、そして、その結果に従って政府が一体となって国の責務を果たしていくという仕組みになっているわけでありまして、従来に比べて、エネルギー政策の策定あるいは実行体制を整備するという意味で、相当に体制が整備されているというふうに考えるところであります。

 また、基本計画の作成に当たってのさまざまな手続、あるいは基本計画の国会への報告、地方公共団体がその区域の実情に応じた施策を策定し実施する責務を明定するなど、手続的にもさまざまな仕組みが講ぜられている、そういう法律案であるというふうに思っております。しかし、エネルギー政策基本法をよりよいものとするために、幾つかの点について指摘を申し上げるとともに、確認をしてまいりたいというふうに思います。

 まず第一に、安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用という三つの目標の関係についてであります。

 これまでの提案者の説明によりますと、安定供給の確保と環境への適合は半歩前に出ている、市場原理の活用は、前二者が達成されるという前提の範囲内で達成すべきものだというような説明がこれまであったかのように思います。そして、その過程で甘利議員からは、二等辺三角形になっていると大変わかりやすい御説明もあったわけでありますけれども、三つのこの政策目標の関係について、提案者に改めて伺いたいと思います。

○甘利議員 大変正確に御理解をいただいていますことに感謝を申し上げます。一言で申し上げますと、お話にありましたように、正三角形よりは若干二等辺三角形に近いですよというふうに申し上げました。

 二等辺をなす一つは、エネルギーの安定供給、エネルギー安全保障でございます。

 日本は、御案内のとおり四方を海で囲まれております。ヨーロッパやアメリカのように、隣の国と電線でつながっているとか、あるいはパイプラインでつながっているとか、そういうセキュリティー上のバックボーンが、若干よその国ほど整備をされていないという点もございまして、エネルギーという特性もこれあり、そして、その安定供給のインフラ整備も、地理的条件等がありまして、よその先進国よりは脆弱な面がございますので、特にこの安定供給というのはゆるがせにできない、安全保障というのはゆるがせにできない。

 もう一方で、COP3が日本で開催をされまして、日本は、地球環境の保全に責任ある地位を占めているわけでございますけれども、地球規模で最大課題であります温暖化現象の阻止、その大きな原因でありますCO2、このCO2の排出の九割がエネルギー起源でありますから、エネルギー政策にとりましては、環境への適合性というのは同等に大きな課題でございます。でありますゆえに、安全保障、安定供給と環境適合性は、エネルギー政策の大前提であるわけでございます。

 もちろん、三項目めの柱であります市場原理を活用した競争システムは、経済政策全般にとっての普遍的な政策でございますし、エネルギーにおいても、もちろん例外ではございません。よって、安全保障、安定供給と環境適合性、この二つの柱の上に市場原理を置いている、このことを称して二等辺三角形と表現をした次第でございます。

○後藤(茂)委員 三つの目標の関係についてちょっと議論をしていきたいとは思っているんですけれども、その前に、第四条の「市場原理の活用」の条文についてちょっと確認をしておきたいと思います。

 この第四条の「市場原理の活用」という条文の中には、エネルギー市場を国の内外において整備するとか、あるいは国際的な資本の交流や、競争による経済合理性の確保といった一般的な市場原理の活用が含まれた条文である、最近、規制改革の観点から特に議論されている電力の自由化といったような限定的な意味だけではない、そういう条文であるというふうに考えてよろしゅうございましょうか。

○甘利議員 基本的に、御理解をいただいているとおりでございまして、この四条の趣旨というのは、あらゆる経済活動というものは、規制によるものではなくて、自由な創意工夫の発揮によって需給が最適化するという市場原理によることが望ましいということを述べているわけであります。

 ただし、昨日の参考人の見解にもありましたように、市場原理第一主義というものが、エネルギーのような日常生活に不可欠な特殊な商品に妥当なのかという疑問も一方であるわけでございまして、市場原理の追求は当然でありますけれども、経済の持続的な成長の観点から慎重な配慮が不可欠だと思うわけでございます。

 申し上げましたように、四条には、電力やガスの規制改革、新エネルギーの普及、推進など、エネルギー政策に関する事項はすべて含まれているということでございまして、電力のみの限定的な意味ではございません。

○後藤(茂)委員 私も、エネルギーというものが特別な性格を持った財であるし、制約性の特に強い財であるということについては全く同意見でありますけれども、一つ、市場原理の活用ということ自体が一般的な大きな政策目標であるというふうには思っておりまして、私個人としては、安定供給の確保と環境への適合、市場原理の活用というのは、三つの政策目標それぞれ同等の重要性を持つというふうに本当は言えるのではないかなと、実を言うと思っているところであります。

 そこで、経済産業省に伺いたいと思いますが、歴史をこれまでひもといてきまして、高度成長期以降、それからオイルショック、八〇年代、九〇年代以降と、安定供給、環境、市場、そのそれぞれの切り口から見て、我が国のエネルギー政策の重点というのは非常に変わってきているというふうに思いますけれども、その変遷について、過去の事実についてお話をしていただきたいと思います。

○河野政府参考人 先生御指摘のように、戦後の復興期から始まって、高度成長、そして九〇年代、ごく最近に至るまで、エネルギー政策、具体的な施策といたしましては、ある意味では重点を移しながら今日に至っていると思います。

 まず、高度成長期でございますが、経済は急速に成長を始めました。これに伴いましてエネルギー消費が急増をいたしまして、同時に、低廉かつ利便性にすぐれた石油需要の増大という状況が起こってきたわけでございます。

 他方、石炭産業について申しますと、構造的に問題を抱えるようになってきた、したがって合理化を推進する必要性が出てきたという状況でございましたので、石炭対策を講ずると同時に、低廉な石油輸入による石油の安定的な供給体制の構築ということに重点を置いた政策が講じられてまいりました。例えば、石油産業の健全な発展のための石油業法のような石油関連の法制が制定されましたし、累次の石炭政策もこの時期から始められていると申し上げられるかと思います。

 その後、七〇年代から八〇年代にかけてでございますけれども、御承知のように、二度にわたる石油危機を経たわけでございます。緊急時への対応対策の強化、さらにはエネルギー安定供給の確保、これを最も重要な政策として取り組んできたと思います。

 具体的には、石油需給適正化法のような緊急時の対応法制が整備され、石油備蓄法、石油公団法、こういった石油安定供給の確保のための方策も講じられました。また、省エネルギー法によりまして省エネルギー対策、また、石油代替エネルギー法によりまして石油代替エネルギーの導入促進といったようなエネルギー供給源の多様化のための政策、広い意味では安定供給対策と申し上げられるかもしれませんが、そういった政策もこの時期に講じられて今日に至っているのでございます。

 さらに、九〇年代以降でございますが、経済のグローバル化の進展を踏まえまして、非常に広い社会的な要請、経済的な要請として、社会全体の効率化といいますか構造改革が求められてまいりました。その中で、エネルギーについても一層の効率的供給の確保が求められる時代に入ってまいりました。同時に、地球温暖化問題を初めといたします地球規模の環境問題が、これもエネルギー政策の大きな課題という形で顕在化をしてきたというふうに思います。

 こうした事態に対応いたしまして、主としてその効率性の追求という点では、二度にわたる電気事業法あるいはガス事業法の改正が行われたわけでございますし、石油関係では、特石法が廃止され、また、石油業法も昨年廃止法案を国会で御審議いただいて御承認をいただいたところでございます。

 こういった規制改革の推進によります効率性の確保と、もう一方においては、先ほど触れました地球環境の保全といった観点から、新エネ法が制定され、あるいは省エネ法が改正されといったようなことで、環境制約への対応にも重点を置いて対応してまいっているわけでございます。

 こういったことで、個々の政策について申しますと、その時点その時点で行われたこと、あるいは重点といいますか、違っている点もありますが、それらは今日までも生き続けているものも多くあるわけでございまして、安定供給の確保、そして環境への適合、市場原理の活用といったような基本的な考え方は引き続き重要性を持っているというふうに思うわけでございます。

○後藤(茂)委員 今いろいろ説明していただいているわけですが、供給の安定性を最優先とすべきだというふうに総合エネルギー調査会の報告で書かれたとき、あるいは、平時においては市場原理にゆだねるべきだというふうに報告に書かれた時期、環境、経済成長、エネルギー需給安定を三位一体としてとらえろというふうに書かれた時期、環境保全と効率化の要請に対応しつつ安定供給を実現するんだと書かれた時期、さまざまな時期があったわけでありまして、恐らく政策目標それぞれが時代の要請の中で少しずつ変わってきているということであるわけであります。環境への適合という点についても、今後ともこの点については非常に重要な政策目標になるし、なり続けると思いますけれども、それが前面に出てきているのは九〇年代からと言えます。

 そういう意味でいえば、先ほど三角形の例が出てまいりましたけれども、三角形の例でいえば、二等辺三角形が固定されているというイメージよりも、三角形の三辺の長さが時代に応じて長くなったり短くなったりしているということなのではないかと考えます。そして私自身も、確かに今の現状認識は二等辺三角形なんだろうなということについてはそのとおりだというふうに思うわけでありますけれども、しかし、この法律は基本法であります。そして、十年間を超えるタイムスパンをもちろん想定してつくられるものであるというふうに思いますけれども、もしそうだとすれば、そういうある程度長期的なスパンで見たときに、例えば、技術のブレークスルーが起こって、我々に与えられた与件が大きく変わって、安定供給や環境への適合に並んで市場原理の活用が重要になる局面が出てくる可能性も決してないとは言えないのではないか、これは大いに大きな期待を込めつつ考えるわけであります。

 漠然とした質問で大変恐縮でありますけれども、今申し上げたような技術のブレークスルーの実現によって三つの政策目標について何らかの関係が変わってくる、そういう可能性が全くないのか、提案者にその点をちょっと伺いたいと思います。

○伊藤(達)議員 今先生御指摘のように、技術の目まぐるしい発展といいますか進歩というものを考えた場合に、私は、長期的には、やはり三つの政策目標をめぐる環境条件にはさまざまな変化が生じることはあり得るというふうに思います。例えば、ITというものが急速に展開をしていく、そして気候変動に関する新しい知見というものが生まれていく、また、太陽宇宙発電の実用化というものが現実のものになっていく等々の変化というものはあり得るだろうというふうに私は思っております。

 しかし、現時点から少なくともこれからの十年二十年を見通して、この法案の定める三つの基本方針と、それぞれの基本方針の間の関係というものは、私は大きく変わっていかないものだというふうに考えております。

○後藤(茂)委員 技術のブレークスルーがどのぐらいの時間の範囲内で起きてくるかということについては、ブレークスルーというのは突然やってくる場合もありますから、大いにそういう夢を持ちたいものだというふうに思っているわけであります。

 私も、先ほど申し上げたように、現状の認識として二等辺三角形であることは、そういう認識でいいだろうというふうに思っております。この法案の中には見直し規定もちゃんと準備されておりますし、そういう意味では、将来にわたっていつ起こるかわからないブレークスルーのことをとやかく言うつもりもありませんし、もうこれ以上理念の世界での議論はさておくといたしまして、しかし、いずれにしても、三つの基本理念、政策目標が提出された法案の中でも規定されているわけでありまして、四条の条文になりますけれども、二項でブレーキをかけるような条文をあえて起こす必要はあるんだろうかというふうに考えるわけであります。

 そういう意味で、時間は短いけれども、今までの丁寧な議論を前提として、四条二項のただし書きは不必要ではないかというふうに思いますけれども、そのような考え方はとり得ないものか、提案者に伺いたいと思います。

○細田議員 本法案の第四条第二項の趣旨でございますが、市場原理の活用をエネルギー政策の重要な柱として位置づけつつ、この施策の推進に当たっては、安定供給の確保や環境への適合にも十分配慮すべきことを定めたものでありまして、市場原理の活用について、あえてブレーキをかけている趣旨ではないわけであります。

 ただし、本条文の趣旨がそのような誤解を呼ぶのではないか、あるいはもっといい条文があるのではないかというようなお話がございますれば、また四条一項にまとめて規定することも検討に値するのではないかと思っております。

○後藤(茂)委員 ぜひ、そういう誤解が生じるのではないかという議論もあるわけでありまして、そうした点に配慮いたしまして、四条二項のただし書きの扱いについては、改めて十分に協議をさせていただきたいというふうに思うわけであります。

 次に、二条の安定供給の点について、ちょっとこれまでの質疑について確認をしておきたいということがあります。

 これまでの質疑の中で、二条の「エネルギー輸送体制の整備、」この中にシーレーンの確保というのは入っているのかという質問がありまして、その質問に対しまして、一義的なものではないけれども、それは入り得るとか、あるいは同条文のエネルギーの安全保障について、これは軍事的、軍事的と言うと言い過ぎなんで、緊急事態的な側面が入るのかという質問に対しまして、第一義的には、この「安全保障」というのは、中東依存度が高くならないように、あるいは石油などの輸入が途絶えないようにしていくことである、しかし、延長線上にはそういうものも想定されないというわけではないという答弁であったというふうに思います。

 私自身は、個人的意見としていえば、エネルギーに関する基本政策の延長線上にはそうした問題があるというふうに思っておりますし、国家戦略として、そういう視点を持って国家の基本政策を論ずることは、これは大いに必要なことだというふうに思っております。

 しかし、今回のエネルギー政策基本法は、一条の目的規定でありますけれども、あくまで「エネルギーの需給に関する施策に関し、基本方針を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、エネルギーの需給に関する施策の基本となる事項を定めることにより、エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進」することを目的とするということになっているわけであります。それだからこそこれは、経済産業省主管の法律になるということなんだろうというふうに思います。

 そこで、二条に規定されている「エネルギー輸送体制の整備、」「エネルギーの分野における安全保障」ということの意味することについて、改めて提案者に伺いたいと思います。

○細田議員 石油にいたしましても、石炭、天然ガスにいたしましても、海外依存度が非常に高いわけでございますから、日本のエネルギーの安定的供給ということを考えた場合には、海外の探鉱開発、輸送、そういった面も含めて安定供給体制をとることが必要だと考えているわけでございまして、そういったエネルギー輸送体制の整備等エネルギーの分野における安全保障につきましても、国内に限定したものでないことは当然であるとは思います。

 ただし、この「エネルギー輸送体制の整備」に、非常に長期間国会等で議論されているようないわゆるシーレーン、特にまた、マラッカ海峡だ、ペルシャ湾の、あるいはアラビア湾というんですか、あそこの海峡等の問題に限定したようなことを想定しているわけではございませんで、どこからにせよ、あるいは海外からのパイプラインとか送電線網という問題もあるかもしれませんが、こういったエネルギーの供給について、安全確保といいますか、供給確保が必要であるという意味でエネルギー安全保障ということを規定しているというふうにお考えいただいたら結構じゃないかと思っております。

 したがいまして、この規定におきまして、軍事的な意味における具体的なシーレーン防衛問題についてまで規定しているのではございません。

○後藤(茂)委員 基本計画の策定の手続等についての話に移りたいと思いますけれども、関係行政機関の長の意見を聞くこととされております。

 エネルギーの問題というのは、省エネルギー、これも大変な大きな課題でありまして、これは国民一人一人に問題意識を持ってもらわないとできない課題であります。それから、経済と環境の調和の問題というのは、これはどこの国でも、どういうスタンスをとっていくかということは、国のあり方あるいは国民生活のあり方という点から見ても非常に大きな政治的課題であります。そういう意味では、国民的合意がまさに必要なそういう政策事項であるというふうに思っております。

 そういう意味において、基本計画に国会承認をした方がいいのではないかという議論があっても当然のことだというふうに思っておるわけでありますけれども、これまでの議論の中で、他の基本法の基本計画に前例がない、そういう議論がなされているわけでありますけれども、どうも、国会承認、他の基本法に前例がないというだけでは、ちょっと認められないという理由には乏しいと思いまして、国会承認にかける必要がないという理由を改めて明確にしていただきたいというふうに思います。

○斉藤(鉄)議員 立法府の役割と行政府の役割の線引きをどこに置くかという、ある意味では大変根本的な御質問かと思います。

 立法府は、基本的に、基本的な方針を定めて行政府に対して規律を及ぼす、行政府は、それを受けて責任を持って行政権を執行する、そしてまた、国会は、立法府は、その行った行政に対してこれをチェックする、こういうことかと思います。

 そういう意味では、今回の法律、これはある意味では大きな国の方針、これは国会で決める、しかし、それを個別具体的に実行することを書いた基本計画については、これは行政権の範囲ではないか、しかしながら、最終的にこれをチェックするのは、やはり国会が報告を求めてこれをチェックする、第十一条にその報告の義務が書かれているわけですけれども、こういう関係が、ある意味で日本の議院内閣制の中で確立をしていると私は思っております。だからこそ、これまでの基本法では、すべて基本計画については行政府が責任を持って立てるということになっているのではないかと思っております。

○後藤(茂)委員 国会承認にかわる手続として、国民や地方の議論を基本計画策定に織り込んでいく、そういう必要性はお認めになっていると思いますけれども、そのことについて、改めて提案者のお考えを伺いたいと思います。

○斉藤(鉄)議員 基本計画を立てる中で、資源エネルギー調査会の意見を聞いてというのがございます。こういう意味で、この資源エネルギー調査会が、例えば地方公聴会をやるとか、広くいろいろな立場の方から御意見を聞くというふうなこと、それからパブリックコメントを求める、こういう形で幅広く国民の意見を聞いていくということが考えられると思っております。

○後藤(茂)委員 ちょっと時間の関係もあるので、確認をしておきたいことだけ一つ確認しますが、第六条に、地方公共団体の責務について、「国の施策に準じて施策を講ずるとともに、その区域の実情に応じた施策を策定し、」という文言になっておりまして、これまで、住民投票についてこの法律は何ら規定していないという答弁が何度かなされていますけれども、国全体の施策にかかわる課題についての住民投票の是非というものは別としても、この条文が、少なくとも住民投票の結果を排除するものでないことを改めて確認させていただきます。

○甘利議員 たびたび答弁させていただいてまいりましたとおり、この法案におきましては住民投票には触れておらないということでございます。

 御指摘の、いろいろここで指摘をされてきましたとおり、住民投票自体さまざまな意見がある、広く認めよという意見がある一方で、その地域固有の問題でそこで完結することだけ、つまり責任を負えるものだけ限定せよという意見もいろいろあるわけでございまして、いずれにいたしましても、第六条の「地方公共団体の責務」に基づいて、区域の実情に応じた施策を策定するに当たりましては、お話のとおり、当該区域で行われた住民投票の結果を排除するということではございません。

○後藤(茂)委員 今回の法律の中で、第五条で国の責務が明確にされているということは非常に重要であるというふうに思っております。

 エネルギーの需給に関する基本政策の中に、私は、原子力も明確な位置づけを行うべきだというふうに思います。原子力発電については、エネルギーの需給動向が長期的に必ずしも明確と言えず、自由化もどう進展していくか予想がつかないという中で、投資規模が非常に大きくてリードタイムが長いということで、原子力発電については今後、国の責務がますます重要になってくるというふうに考えます。

 しかし、このことをもってこの法律が原子力の促進を意図するものであるということでは決してないというふうに考えておるわけでありまして、原子力、火力、水力、新エネルギー、それぞれが基本計画に従って国の責務が生じてくる、それに従って責務を実行していく仕組みになっているというふうに思っているわけであります。

 私は、国の責務という点からいうと、石炭火力と天然ガスのエネルギー転換という点は非常に重要になっていくというふうに思っておりまして、もし放置すれば、例えば発電の分野では、石炭火力が、コストだけ先行すればどんどんどんどんつくられていってしまう。それに対して、天然ガスに転換するという政策はもちろん打ち出されているわけでありますけれども、こうしたことについても国が積極的責務を果たしていく必要が大いにある。

 また、一般的にエネルギー転換については初期コストが非常に問題になるということが阻害要因として指摘されています。天然ガスについて言うと、サハリンからのパイプラインの建設が戦略的な課題だと私は考えておりまして、もしこれを民間の会社に任せるとすると、供給体制、末端の供給体制が整っていなければ大きな投資はできない。しかし、逆に大きな投資をして、供給体制がある程度、供給体制というのは、天然ガスの供給体制が整っていないと末端の供給体制を整備することはできない。これは鶏と卵の関係のようになって、これはブレークスルーができないわけであります。そういう意味では、パイプラインの建設等、国がやはり積極的に関与する必要があると思っています。

 ヨーロッパの前例を見ても、ヨーロッパでは今では民営化されていますけれども、国策会社が基本的にはパイプラインを整備いたしました。そして、アメリカでも民間会社が整備しましたけれども、経営破綻に対して公的資金を注入してそのパイプラインを開放するという形になっておりまして、そういう経緯を踏まえて、我が国においても、初期コストについて十分に国の責務を果たしていくべきだというふうに考えますが、その点について、これからぜひ進めていくべきだと考えますが、お考えを伺いたいと思います。

○亀井(善)議員 御指摘の御意見、私も全くそのとおりと思います。

 サハリンからの天然ガスパイプラインにつきましては、まず安定供給の確保、こういう面でロシアからの新たな天然ガス供給でありまして、エネルギー供給面の多様化の観点からも大変重要であります。また、単にLNGのみならず、石炭あるいは石油等の各種エネルギー間における競争促進の基幹的インフラ、こういう面でもまた重要でありますし、環境の面、また大変重要なことではなかろうか。したがって、本基本法で目指すエネルギー政策の観点からも大きな位置づけがされるプロジェクト、私はこのように認識をいたしております。

 昨日の参考人からの陳述にもあったように、本プロジェクトについては、現在、民間関係者において、その推進の観点からの検討が進められており、まずその動向を見きわめるということも大変重要なことではなかろうかな、このように思います。

 政府としても、本プロジェクトが我が国の例のない大規模な海底輸送を想定しておることでありますし、ロシア―日本間に敷設される国際パイプライン、こういう面での新たな安全基準の問題であるとか、民間事業を前提とした所要の環境整備であるとか、これら大きな役割がある、このように認識し、先生御指摘のような点、全く同意見であるということを申し添えさせていただきたいと思います。

○後藤(茂)委員 国を挙げてエネルギー政策を議論し、またそれを実行に移していくということの重要性を指摘いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○谷畑委員長 田中慶秋君。

○田中(慶)委員 民主党の田中慶秋です。

 このたびのエネルギー基本法案は、三つの柱からということで、一つには安定供給という問題、二つには環境への適合という問題、三つには市場原理、このような形になっているわけであります。

 そこで、この環境問題等について、昨日も、地球温暖化の問題あるいは京都議定書の問題を議論されました。その中で、一つには、私たちは、これからの環境問題を考えたときに、先般も新エネの問題で議論されたように、太陽光の問題やらあるいは風力の問題、バイオの問題をこれは切り離すことができないわけであります。こういう一連のものとあわせて原子力の問題も議論されてきたわけであります。

 特に私は、経済産業省の日下局長いらっしゃいますか、お聞きしたいわけでありますけれども、実はきのうの衆議院における承認の問題についても、あの問題の中で、京都議定書を基本的に日本がクリアをするために原子力発電所十三基をつくらなければいけない、こういうこともあろうと思います。原子力をつくるのであれば大体二十年ぐらいのリードタイムが今まで必要であります。あるいは、火力発電として天然ガスを中心にして一つやるにしても、設備を投資してやるのに十年以上かかるわけであります。

 ところが、きのうの議定書の中で、十三基というものが、十年二十年かかるものが、十年でどうしてできるんでしょう。そんなことを平気で無責任に協定をされる、こういうこと自体、エネルギーに対する信頼関係というものが国際的にもおかしくなっていくのではないか、このように思っているわけであります。

 目標を達成できなければ排出権を買うことになる。金だけで、日本はかつてエコノミックアニマルということで、金さえ出せばという、こんなことで不評を買ったわけでありますけれども、このエネルギー問題について、少なくとも、削減達成できないときに、今のような形で排出権購入ということを念頭に置いてやるならば、私は、今回のエネルギー基本法における化石燃料以外の問題等についての取り組み方についても大きくこれは影響するのではないか、こんな不安もあるものですから、まず冒頭に、そのことについて質問します。

○日下政府参考人 お答え申し上げます。

 この京都議定書の批准及びそれに伴う国内対策をどう進めていくかにつきましては、昨年十一月に交渉が終了いたしまして以来、政府部内で検討を重ねてきたところでございまして、三月の十九日に温暖化対策の推進本部で大綱という形で概要をまとめたわけでございます。

 その中で、原子力その他のエネルギーにつきましても、もちろん、これから新たにということではなくて、今後供給が可能になるものを見込みながら進めてきたわけでございますが、御指摘の、国内で足りない部分を国際的な削減に依存することになるのではないかという点でございます。

 これは、京都議定書の交渉が行われました京都の会議におきまして、国別の約束達成につきましては、柔軟措置、京都メカニズムということで、海外で削減をされたものも数に数えていっていい、こういう仕掛けが国際的に認められているところでございます。

 これは地球環境問題でございますから、ほかの国で削減された……(田中(慶)委員「そんなことはわかっているから短くやりなさい、時間がないんですから」と呼ぶ)はい。

 それで、特に日本ではCO2を一トン減らすのに四百ドルかかる、途上国ではその十分の一程度とも試算されているところでございますが、活用が大切でございます。ただ、いわゆる排出権を裸で権利を買ってくるもの、これは出し手が主としてロシアになりますし、二〇〇八年以降でないとルールも整備され、買える仕掛けにならないものでございますので、もっと途上国でCO2削減効果があるプロジェクトを推進していく、それでCO2の国際的な供給も多様化をしていくということをねらいとしているところでございます。

○田中(慶)委員 質問にちゃんと答えてください。

 私が言っているのは、原子力発電所十三基を考えても、あなたが言っているのは、この京都議定書をオーケーするときに、十三基ですよ、一基十年かかるんですよ。今、下手すると一基か二基、せいぜいそのぐらいしか、現状のいろいろな社会情勢の中でしか考えていないものを、平気で十三基という前提で調印をしている。できなければ排出権だという、こんなばかなことをやっていたら、この国はエネルギー問題についても国際的に信用できないよ、こういうことを申し上げているんですよ。

 あなたに京都議定書のことをどうのこうの私は言っているんじゃないんです。一つの政策として、そんなことを、できないことを平気で調印する、このこと自体が問題である、私はそのことを指摘しているんです。エネ庁長官。

○河野政府参考人 原子力発電所の建設可能性でございますが、昨年の三月に電気事業者から、毎年これは供給計画をいただいております。その中で、通常、十年後どのような大規模な設備が完成するかということが記載されているわけでございますが、二〇一〇年は、先生御指摘のように、温暖化問題の非常にクリティカルな年でございますので、二〇一〇年までにどの程度の原子力発電所の運転開始が可能であるかということも計画として記載してございます。

 九八年に当初の目標をつくりましたとき、長期エネルギー需給目標をつくりましたときは、十六基ないし二十基というものが必要だということでございました。しかし、先生御指摘のように、ジェー・シー・オーの事故もありまして難しくなりまして、昨年の七月に長期エネルギー需給見通しをつくりましたときは、十基ないし十三基、これは稼働率によりますのでそういう幅がございますが、そういうものが必要だという結論になりました。その後、女川が運転開始いたしましたので、今、その計算では、九基から十二基が必要だということでございますが、昨年の三月に出されました電気事業者の供給計画によれば、九基ないし十二基の計画は実現性があるという状況で報告を受けております。

○田中(慶)委員 そういういろいろな環境というものが化石燃料以外のところであるわけでございますので、そんなことを考えたときに、改めて、日本のエネルギー、新エネルギーを検討したときに、私たちは、少なくともここに太陽光なり風力なりバイオというものを自然エネルギーとして、日本の新しいエネルギー政策としてやはり明確にすべきじゃないかということで、今の段階ではそのことが明確になっておりませんので、そのことを明確にする必要があるだろうと思いますが、いかがでしょう。

○斉藤(鉄)議員 新エネルギーの活用につきましては、まず安定供給という面からすれば、エネルギー源の多様化ということが非常に重要になってまいりまして、この新エネルギー、太陽光、風力、または供給サイドでいいますと、燃料電池、コジェネ等、これは今後非常に大きな安定供給の一つの柱になってくると思います。

 また、環境適合ということからいえば、これはCO2を出さないエネルギー源ということで、この太陽光、風力、またコジェネ、燃料電池等は非常に重要だと思っておりまして、そういう意味からいえば、今回、我々、この二つの哲学に合致する新エネルギーについては、非常に大きな一つのターゲットでございます。

 ただし、今のところ、まだ経済的にちょっといろいろ問題点もございまして、こういうことについて、今後技術開発等の努力をしていく必要があると思っております。

○田中(慶)委員 エネルギーの基本政策でありますから、それはやはり日本の一つの柱として、これから風力や太陽光の問題にもしっかりと力を入れてしていく必要があるだろう、その意味を含めて、このことも明確に条文の中に入れていった方が指針としてはいいのではないかな、私はこのように思いますが、いかがでしょう。

○斉藤(鉄)議員 その点については、十分我々としても考慮する、考慮の範囲内であると思っております。

○田中(慶)委員 続きまして、このエネルギー基本法については、十二条の五項に見直し規定というものがあるわけでありますけれども、ここには五年という見直しがあるわけであります。社会情勢やいろいろな情勢の変化、これだけスピードの時代を考えてみますと、もう五年というのは一昔、昔は十年一昔かもわかりませんが、五年は一昔、下手をすると、今のようなインターネットとかいろいろな状態を考えてみますと、もう二年三年が逆にある面では古いと言われるぐらいの社会情勢であるわけであります。

 五年という数値が与党案に盛り込まれているわけでありますけれども、私はこれを、いま少し機動的に、三年ぐらいにする必要があるだろう、こういうことで、私、いつもいろいろな形で法案を、政府案もそうでありますけれども、そういう見直しを、いつも三年というものを主張しているわけでありますが、ここで私は改めて、この与党案に対して、適合性やいろいろな社会情勢、いろいろなことを考えると、三年ぐらいが一番見直しに対しては適正な時期じゃないかということを提案したいと思いますが、いかがでございましょう。

○亀井(善)議員 この問題につきましては、地球温暖化、あるいはエネルギーの価格だとか国際情勢だとか、エネルギーを取り巻く環境は、大変状況の変化は激しいわけでありまして、これらの中で考慮をしていく。あるいはまた、発電所を初めエネルギーの関連施設、これらのことにつきましてもそれなりの期間が必要なわけでもあります。そういうことで、少なくとも五年ということでこの法案をつくったわけであります。

 しかし、伺いましたように、民主党からこのことにつきましても御指摘をされておることも承知をいたしております。これらに柔軟に、機動的に対応するということは一面必要なことじゃなかろうかな、こう思っておりまして、御意見は大変傾聴に値することではなかろうか、このように存じます。

○田中(慶)委員 いろいろな行政改革やいろいろな指針というものが今出されているわけでありますけれども、そういう点では、この五年ということについて、今、傾聴に値するということでありますから、ぜひ三年ということを改めてお願い申し上げておきたいと存じます。

 さて、今、時代の大きな流れの一つに、私たちは絶えず情報が公開をされるというのが一つの社会情勢であろうと思います。特にエネルギーに関する問題というのは、環境問題を考えるときに、新エネとあわせて省エネということも十分必要なわけであります。省エネの問題を検討したりいろいろなことをして、広く国民にエネルギー問題の関心をそれぞれ教示する意味でも、私たちは徹底した情報公開ということが必要ではないかな、このように考えているわけであります。

 この十四条に、「エネルギーに関する知識の普及等」という形で、ある面では、そのことも含めて、情報公開ということに読み取れるわけではありますけれども、私は、今の時代が、このように情報公開というものが、ある面ではもう社会的な常識に、ましてこの法律案は議員立法でありますから、少なくとも議員は、特に情報公開というものを、情報公開制度を法律でも求められているような状態でありますから、こういう点で、エネルギーに対する情報公開というものをここで明確にしておいた方がよろしかろうと思うのですが、いかがでございましょう。

○細田議員 おっしゃるとおりだと思います。情報公開につきましては、基本的には、昨年四月の行政機関の保有する情報公開法におきまして、それに基づく適切な情報公開が行われるべきであるということでございます。

 エネルギーに関連する情報としては、例えば、最近は原発その他の事故関係でも非常に速やかに国民、市民に情報公開がなされるようになっていると思います。しかし、他方、田中委員もおっしゃいましたように、省エネルギーももっと進めなければ、先ほどおっしゃったCOP7の方向には余り即していないというようなこともきちっと国民にPRしていかなければなりません。

 また、本当に原発と新エネルギー、風力や太陽光、バイオマスなどとの関係も、今多くの国民は、非常に圧倒的に原子力の比重が大きいのでございますが、この大きさをそういったもので直ちに代替できるような誤解をしている方もございますが、これは政府の広報なり、技術的な今後の可能性についても情報公開が十分じゃないのじゃないかというふうにも思うわけですね。したがって、適切に国民にエネルギーの実態を認識していただきながら、着実にCOP7の目的も達成できるし、資源の有効活用にも配慮するということができるようにならなければならないと思っているわけでございます。基礎資料とか計算過程も含めて、国民にわかりやすい形で公開されなければならない。

 また、本法の十一条におきましても、国会に施策の概要についての報告を提出する等、また十四条において、いろいろな啓発、知識の普及の措置についても書いてございますので、要は、担当する官庁がもっと積極的に情報公開をしていく、国民の皆さんの御理解をいただいて、その御理解の上にエネルギー政策ができていくように、推進されるようにもっと努力すべきであると思っております。

○田中(慶)委員 情報公開ということがこれからもいろいろな施策を実行するに当たっては大切であろうということで、御理解いただいたものと存じます。

 さて、今回のエネルギー基本法について、議員立法という形で出されているわけであります。私は、議員立法というものが、一つには、今まで日本の法律というのは大体閣法、すなわち内閣が出す法律が多くあったわけでありますけれども、しかし議員立法という意味は、ある面では、行政あるいは政府に対してしっかりと監督、あるいは、それぞれ政府、内閣、行政を監視するという面での議員立法としての位置づけではないかな、こんなふうにも考えてこの法律についての取り組み方を考えていたわけでありますけれども、基本となる部分について、提出者であります甘利さんに、ちょっとこの辺についての見解もお伺いしておきたいなと思っております。

○甘利議員 御指摘をいただきましたとおり、この法律案を議員立法として提出させていただきました理由は、エネルギー政策の企画立案及び推進を担当する政府に対しまして、立法府としての規律を及ぼして、適切なエネルギー政策の遂行を担保しようとするものでございます。

 この法案では、まず、エネルギーの需給に関する施策に関しまして、法律上明確に基本方針を定めました。二等辺三角形と言われている考え方の基本でございます。この基本に基づきまして、政府に対してエネルギーの需給に関する基本的な計画を定めるように義務づけたわけでございます。

 そして十一条で、エネルギーの需給に関して講じた施策の概要に関する報告を毎年国会に提出することを政府に義務づけております。基本計画をいわば定性的につくりまして、それを具体的に、定量的に年次施策に落とし込む、そしてその年次施策、いわばエネルギー白書みたいなものと申し上げさせていただいておりますけれども、それを国会に提出するということを義務づけているわけでございまして、これによりまして、立法府が政府のエネルギー政策をチェックすることが可能になると考えております。

○田中(慶)委員 私は、議員立法というものは、立法府として、いろいろなこれからの行政や政府に対して、監視、監督、物申す立場でも必要であろうということで、今回の議員立法について、ある面で評価をしているわけであります。

 特に、エネルギー政策そのものが、私は、どちらかというと、今日まで国は余り責任を負ってやっていなかった、かなり逃げ腰であった。本来ならば、もう少し前面に立ってエネルギー政策を打ち出すべきであり、もっと徹底的にそのことを行うべきであったわけでありますけれども、事業者任せで、戦後五十七年間、日本の経済も国民生活も、たまたまこれだけ大きく成長されたというのはエネルギーによるところが大きいわけです。しかし、このエネルギー政策に基本法がなかったこともある面では不自然でありますけれども、しかし、そのエネルギー政策を推し進めるに当たって、むしろ事業者の方が、責任といいますか、自給率の問題を含めながら非常に努力をされたということについて私は評価をしているわけでありますが、むしろ政府あるいは行政は、これらに対して、ある面では逃げ腰ではなかったかな、こんなふうに思っております。

 いろいろなことがところどころに、例えば事故の意見のところを見てみますと、政府がそのことに責任を持って答えていない。みんな事業者の責任であり、また事業者も、本来ならば製造メーカー責任ということがあるわけであります。ところが、製造メーカーの責任も明確にしていないで、いいものを使っているのは事業者なんです。私はそうだと思うんです。この製品がいいから使っているのは事業者である。ところがこの事業者は、サンドイッチになっていつも対応に迫られているというのが今日の状態じゃなかったかな、こんなふうに考えたときに、私は、そういうことも全体的に見て、今回の議員立法というものがエネルギーに対してのあらゆるところを含めながら提案されているというのは、そういう点で評価をさせていただいているわけでありますけれども、これからもこの指針に基づいてしっかりと行政に対する監視や監督をしていただきたいということを要望し、時間が参りましたので終わります。

○谷畑委員長 達増拓也君。

○達増委員 答弁者の皆様、お疲れさまでございます。

 きのうの参考人質疑の議論の流れを私なりにまとめてみると、次のようになると思います。

 まず、秋元参考人は、安定供給の確保の重要性、エネルギー政策における安定供給というものがそもそもやはり大事だということを強調されたと思います。これは、産業界にとってもそうですけれども、国民生活にとっても、やはりエネルギーといえばまず安定供給ということ、そこを強調されたと思います。

 次に、永岡参考人は、三つの基本原則、安定供給、環境、市場原理の活用の中で、今の日本にとって一番強調すべきはむしろ市場原理の活用ではないか、高コスト構造というものが根深く日本経済の中に根を張っていて、そこを打破することが今の日本にとって一番重要なのではないか、アメリカ、カリフォルニアの大停電など、さまざまな弊害も言われてはいるけれども、自由化そのものが悪いのではなく、自由化のやり方というところには工夫の余地があるのだろう、そういうことを二番目、永岡参考人は主張したと思います。

 三番目の加藤参考人は、安定供給と市場原理の活用というのは必ずしも二律背反ではなく、うまくやれば相補い合うところがある、そこは戦略的な意思決定プロセスというものが重要で、旧態依然の官僚統制的な、そういう物の決め方ではなく、広く国民的な議論に基づいて、しかも戦略的に三つの原則をどう調和させていくかということをそのときそのとき決めていける、そして、間違っているとわかればすぐにそれを柔軟に変えることができる、そういう意思決定、政策決定のプロセスの工夫が重要だということを主張したと思います。

 ということで、大分エネルギー政策基本法案の肝の部分と申しますか、その三原則のバランスの問題について非常に論点も整理されてきていると思いますので、そこを仕上げしていくような質問をしていきたいと思いますが、まず、安定供給の確保について伺います。

 法案では、第二条が安定供給の確保ということなんですけれども、よく読みますと、安定供給の確保というふうに漠然と考えますと、特に素人考えでいきますと、家庭なり、企業なり、必要に応じてエネルギー供給が滞りなくという、そういうイメージを浮かべるわけでありますけれども、むしろ第二条は、エネルギー供給側、サプライサイドといいますか、そちらに立った定義のされ方をしているんだと思います。

 この第二条第一項でありますけれども、これはよく読みますと、要は、海外で何か起こったとき、どこか一地域のみ、中東なら中東からのエネルギー供給だけに頼っていると、中東で何かあったときに非常に不安定なので、そういうエネルギー途絶リスクの軽減を図るべしということを、端的に言えば定めているように読めるわけでありますけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○甘利議員 本法案第二条の「安定供給の確保」というのは、御指摘のようなエネルギー途絶リスクの軽減とともに、エネルギーの供給削減であるとか価格の高騰等、量とか価格等、エネルギーの安定供給全体にかかわるリスクを軽減をする、我が国の脆弱なエネルギー供給構造を克服するということであると考えられます。

 そのために、二条一項では具体的に、一次エネルギーの特定地域への過度な依存の低減、それからエネルギー資源の開発、そして備蓄及び省エネルギーの推進、これらによりまして供給源を多様化するということでありますし、また一方で、自給率を向上させるとともに、エネルギー分野の安全保障を図るということを基本として施策が講じられなければならないというふうに規定をしているわけでございます。

 安全保障というのは、おっしゃるように、エネルギーが途絶するということが一番の危機でございます。そうしないようにあらゆる措置を講ずる、そうした場合にその被害を最小限に抑える、そういうもろもろの総合的な施策を万般に講じていくということでございます。

○達増委員 私が懸念しておりますのは、安定供給という言葉が金科玉条として、神聖不可侵なものとなって、それで、安定供給の言葉のもとにいたずらに市場原理の活用が抑制されることは非常によくないと思っておりまして、安定供給の中身をちゃんと具体的に詰めて、具体的にどういうことが損なわれないようにという趣旨なのかというのを詰めていきたいと思っておりまして、そういう意味でこの第四条、「市場原理の活用」のところの第二項は、この二条や三条の「政策目的が損なわれないよう十分配慮されなければならない。」と二項にあるわけでありますけれども、今の二条一項の部分、ここを、市場原理の活用という規制緩和の施策を進めることによって第二条一項の目的を損なうケースというのは具体的にどういうものが考えられるんでしょう。

○細田議員 四条につきましては、先ほどもちょっと御答弁をいたしたわけでございますが、市場原理の活用といった、あるいは規制緩和ということのみでは非常に石油の供給源に過度の集中が起きたり、在庫負担を軽減するためのエネルギーの備蓄がおろそかになる等、そういったことが起きてはいけないという趣旨で、念のために書かれておる規定だと思っております。

 したがって、別に他意はないわけでございますが、二項の趣旨が十分に生かされるような条文調整がまたできるのであれば、そういったことも考慮していったらいいのではないかと思っている次第でございます。

 いずれも、二等辺三角形と申しておりますが、国際情勢とか国内情勢とか環境の変化とか、そういったものによっていろいろなそのときそのときの政策の重みが変わってくる、その中にいわゆる市場原理の活用も織りなされていくというふうに考えていただいた方がいいのではないかと思っております。

○達増委員 それでは次に、第二条の第二項について伺いますが、ここで、「他のエネルギーによる代替又は貯蔵が著しく困難であるエネルギーの供給」、主として電力などが想定されていると思いますが、「特にその信頼性及び安定性が確保されるよう施策が講じられなければならない。」

 ここで言う信頼性や安定性というのはどういうものなのかなんですが、きのうの参考人質疑で、これは経団連代表で出られた秋元参考人がおっしゃっていたんですけれども、ハイテク企業のように、質の高い電力、周波数も狂わないようなそういう電力を、非常に質の高いものを求める需要者もあれば、家庭の暖房など、それほど質が高くなくても十分間に合うようなニーズの需要者もある。そして私が、需要者によって安定供給ということの意味は違ってくるんですねというふうに聞いたところ、そのとおりだという趣旨の答えでありました。

 したがって、この第二条二項の信頼性及び安定性の確保というのも、例えば電気事業者の場合に、これは万人に共通の、この程度の信頼度とかこの程度の安定度とかいうようなものでなくて、需要者に応じて、それにこたえることができるかという、つまり、需要者によって程度の違う信頼性とか安定性とか、そういうものと理解してよろしいんでしょうか。

○甘利議員 御指摘のとおり、エネルギーの供給についての信頼性及び安定性というのは、需要者によって当然程度の差はあると思います。

 お話にありましたように、精密機械工場では、これはもう電気の質も、それから、たとえ秒単位といえども寸断することがあってはならない、電圧や周波数の変動が起こりますと製品加工に重大な影響を及ぼしてしまうというわけでございますから、非常にシビアな信頼性、安定性が要求をされるわけでございます。一方で、家庭であるとかオフィスでは、それほど高い信頼性や安定性は要求はされないということは確かでございます。

 ただ、全般的に、もちろん程度の差はありますけれども、安定性、信頼性というのは十分に確保をされるということがやはり一般的に要求はされる。もちろん、厳密な意味での差は、同じではないということだと思います。

○達増委員 先ほど第一項について聞いたのと同じ質問なんですけれども、この第二条第二項のこういう信頼性、安定性というものを第四条で言う市場原理の活用のための施策が損なう例として、どのようなものを具体的に想定されているのか伺います。

○甘利議員 四条一項の市場原理の活用の施策としては、いわゆる自由化というのがございます。規制緩和でありますが。

 しかし、家庭であるとか中小企業等の電力であるとか、あるいは都市ガスの小規模な需要家におきましては、二条二項に述べられるように、みずから発電することとか、あるいは都市ガスの貯蔵を行うということは事実上不可能なわけでございます。

 例えば、電力であるとか都市ガスの供給側が、自由化に伴って経済合理性を追求する余り、設備投資を過剰に圧縮をした、需要の逼迫に十分に対応できない設備で供給を行うというような場合に、小規模の需要家に対する電力であるとか、あるいは都市ガスの供給安定性や信頼性が損なわれるおそれがありはしないかということでございます。

 したがって、四条におきましては、第二項として、第二条を含む「前二条の政策目的が損なわれないよう十分配慮されなければならない。」というふうにしているわけでございまして、何度も申し上げますように、三つは大事なんですけれども、ぎりぎり追い詰めていったときに、どういう位置関係にあるかというところでございます。

○達増委員 安定供給という言葉だけですとどうしても幅がありまして、生存に必要不可欠なエネルギーの供給というレベルから、より便利な、快適なというところまであって、余り便利、快適のところまで広げて安定供給を優先させてしまうのはよくない。生存にとって最低限というところから、国民の生活、福祉といいますか、そのくらいのナショナルミニマムというようなところをうまく想定して、そういう意味であれば、安定供給というものが最優先というのはわかるのであります。

 そういう意味で、第四条の規定ぶりの質問に移りますけれども、第四条「市場原理の活用」の中には、「事業者の自主性及び創造性が十分に発揮され、」、そして次なんですが、「エネルギー需要者の利益が十分に確保されることを旨として、」という条件がついております。「エネルギー需要者の利益が十分に確保されることを旨として、規制緩和等の施策が推進されなければならない。」とありますので、例えば、エネルギー需要者が生存の危機に陥ってしまうような不安定な供給しかできないとか、先ほど、第二条の一項、二項、その政策目的を損なう例として幾つか出ましたけれども、その程度が余りにひどくなるのであれば、これは四条一項の「エネルギー需要者の利益が十分に確保されることを旨として、」という、ここにかなわない、ここに反しているという整理ができるのではないかと思います。

 そういう意味では、この条件がついていれば、あえて四条二項の「前二条の政策目的が損なわれないよう十分配慮されなければならない。」というのは要らないんじゃないかと思うんですけれども、この点いかがでしょう。

○甘利議員 安定供給は、精密機械工場のような質をすべてに保証する意味ではありませんということは申し上げました。

 ただ、生存の危機云々ということを、シビルミニマム等から、もうちょっと快適に、生きてはいけるけれども、しょっちゅう、いいところでテレビがとまっちゃったとか、エアコンが切れちゃった、五分後に回復をしたけれどもそれでいいんですよと国民がおっしゃるかどうかというと、しかし、もうちょっと高い質の要求をされるのではないかというふうに思っております。

 四条一項にあります「エネルギー需要者の利益」というのは、市場原理の活用によるエネルギーに関する価格が低減することで得られる利益ということを主に指しております。そして四条二項は、第二条に定めるとおりに、価格のみならずに、供給途絶のような事態が起こらないようにという、広い意味での安定供給の確保に配慮すべきということを定めておりまして、若干の意味合いが違うというところでございます。

○達増委員 ナショナルミニマム、シビルミニマム的なところ、どこに線を引くかということが一つポイントとなると思うんですが、それがこの基本法そのもので固定化されてしまうのではなく、法案の中ではエネルギー基本計画ということになっておりますけれども、そういう国家的な戦略の中で、そのときそのときの国民のニーズですとか、経済社会情勢ですとか、そういうのを踏まえて、柔軟に、戦略的にバランスをとれる余地を確保しておくことが重要なんだと思います。

 次に、第七条について伺います。

 エネルギーの安定供給については、国や地方公共団体等に責務が定められているほかに、事業者の責務ということでも、この七条で「エネルギーの安定的な供給」ということが挙げられております。

 どの程度、事業者の責務としてエネルギーの安定的な供給というのをとらえるかでありますけれども、常に、頂上がどこかわからないような安定性、信頼性の、とにかく高く高くどこまでも上れというような責務を負わせることは、ちょっとこれはきつ過ぎると思うんですね。多分これ、合理的に考えますと、事業者は需要者と契約を交わしてエネルギーを供給するわけでありまして、それが契約違反にならない程度の安定性ということなのかと思います。

 契約に著しく反して、長期に停電してしまうですとか、求められている質にかなわないようなものを供給してしまうですとか、そういうことはしてはいけませんというこれは趣旨なんでしょうか。

○細田議員 御質問をいただいている間に、私は、石油危機のときに資源エネルギー庁におりまして、本当に石油が輸入されない、できないということがわかったときに、緊急立法をして、石油業者に対して、それぞれの需要家に対する供給義務を全部産業別に割り当てたという経験があるわけでございますけれども、そういう緊急事態になりますと、やはり安定供給といいますか、バランスのとれた供給によります産業界の、経済界の混乱を防ぐということは必要かと思います。

 あくまでも基本法の規定は、そういう臨時緊急立法は現存しておりますが、そういう場合は別でございますので、あくまでも、基本的には契約に従って、国家緊急事態以外は普通に契約を履行していただいて、その中で安定的供給についても配慮をしてもらう、一生懸命努力してもらうという意味だというふうに解釈していいのではないかと思っております。

○達増委員 では確認をいたしますが、今私が質問したことは、法案でいうと、第二条の二項の方の信頼性、安定性、特に電力を例に出しましたので、的なところについての責務についてだったんですけれども、今の御答弁の中で緊急事態のことが言及されました。

 第二条の一項の方はそういう緊急事態を想定して、備蓄の問題ですとか特定地域への過度の依存の低減、そういう意味での安定供給の確保が二条一項で規定されているんですが、そうしますと、七条で言う「事業者の責務」としての「エネルギーの安定的な供給」の中には、こうした備蓄への協力でありますとか特定地域への過度な依存の低減等々、こういったことも入ってくるということになるんでしょうか。

○細田議員 御指摘のエネルギーの安定供給は、エネルギー供給を行う事業者の努力を規定しておりまして、一般的に、需要者との契約違反にならない程度において安定的供給を求めるということを内容としておるというふうにまず御理解いただいて結構じゃないかと思っております。

○達増委員 いずれにせよ、安定供給という言葉を広く重く解釈することで、事業者に過度な負担がかからないようにすることが非常に重要だと思います。

 こうした基本原則間のバランスは、エネルギー基本計画を策定する場合に具体的な戦略として出てくると思うんですけれども、エネルギー基本計画については、法案では第十二条のところ、エネルギーの需給に関する施策についての基本的な方針に始まって、計画的に講ずべき施策、研究開発、技術、その他ということが掲げられているんですけれども、具体的に、例えば今エネルギー基本計画を定めるとすれば、どういう内容が盛り込まれるんでしょうか。

○亀井(善)議員 第十二条に定めます基本計画、これは、エネルギーの需給施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るために策定するものが基本計画でありまして、具体的な計画は、今後政府内においてもよく検討することが必要である、このように思います。

 しかし、その中で考えられるものとすれば、需要面に関しましては、民生、運輸部門を中心に伸び続けるエネルギー需要を抑制するための方策の基本的なもの、供給面に関しましては、石油依存度を低減し、二酸化炭素排出量の抑制を達成するための新エネルギー、原子力、天然ガスなどの導入促進策の基本的な方向、また、研究開発に関しましては、燃料電池など、さらなる技術開発の推進によって供給安定性の向上とコスト低減が期待されるものを中心として、重点的に研究開発を行うべき分野と研究開発の基本的方向、こういうものが考えられるのではなかろうかな、このように思います。

○達増委員 それとの関連で、原子力政策について伺います。

 今の御答弁の中でも、供給面に関して、石油依存度の軽減の中で原子力政策ということも言及されましたけれども、きのうの参考人質疑で加藤参考人が述べていらしたんですが、原子力エネルギーというものは必要であろうと。ただ、今まで政策決定プロセスが閉鎖的で不透明だったものだから非常にうまくいっていないところがある。ですから、国家的な戦略を決めていく中で、きちっとしたプロセスでそれを決めていけばよくなるだろうという趣旨の答弁だったと思いますが、エネルギー基本計画の中にも原子力政策というものがそういう前向きな形で盛り込まれていくことになるんでしょうか。

○斉藤(鉄)議員 原子力はエネルギーの基幹の一つでございまして、当然、基本計画の中に入ってまいります。

 その理由は、一つは、国産エネルギーというふうに、これはIEAでも原子力を準国産エネルギーとして取り扱うということが共通認識として認められております。そういう国産エネルギーであること、また、二酸化炭素を排出しない、環境問題にも適合したエネルギー源であること等、当然入ってくるわけでございます。

○達増委員 第十四条について伺います。

 先ほど田中慶秋理事から、これは情報公開という趣旨かという質問があったと思いますけれども、今の文言ですと、啓発でありますとか、知識の普及でありますとか、国民がまだよくわかっていないとか、知識が足りないとか、そういう前提に立っているようなニュアンスで、そこを補えばいいという、ちょっと押しつけがましくも読めるわけでありますけれども、趣旨としては、そうしたエネルギー基本計画の策定を初め、国民的な合意をエネルギー政策について形成していく、そのために必要な情報を国民と共有していく、そういう、情報公開を積極的にやるという趣旨の条文なのかということを伺いたいと思います。

 もちろん、情報公開については情報公開法という法律はありますけれども、特に、国民にとって重要なエネルギー政策については情報公開法以上に積極的にやっていこうという趣旨なのかどうか伺いたいと思います。

○亀井(善)議員 第十四条の趣旨は、エネルギー政策の実施には、御指摘がありましたとおり国民の理解と協力が不可欠であるわけでありまして、そのためにあらゆる機会を通じてエネルギーに関する知識の普及等に必要な措置を講ずるよう努めることを国に求めておるものでありまして、その一環として、政府によるより積極的な情報公開への取り組みも必要となる、このように考えております。

 しかし、第十四条は、エネルギーに関する情報公開について具体的に言及しておるわけではありません。国民がエネルギーに対する理解と関心を深めるためには、エネルギーに関する情報公開について法案に明記する、こういうことかどうかということにつきましては、いろいろこれから御意見を伺って検討しなければならない、このように思っています。

○達増委員 では、最後の質問をいたします。

 戦略的な政策決定プロセスの必要性ということについてでありますけれども、このエネルギー基本計画の決定を中心としたエネルギー政策基本法案の中にある政策決定プロセスは、ともすれば既存の官僚中心、官僚主導のエネルギー政策、エネルギー行政からそれほど大きく踏み出していないのではないかという懸念も持たれます。

 この点、本法案の政策決定のプロセスで、戦略的な、国民の合意に基づいたエネルギー政策の決定ということが、そして施策の実施ということができるのかどうか、伺いたいと思います。

○甘利議員 戦略的エネルギー政策ということに関して言いますと、この政策基本法が国会に出て審議をされている、このこと自体、戦略的な取り組みが大きく進んだというふうに思っております。

 御案内のとおり、今まで個別法はありましたけれども、その整合性をどうとるか、日本としてどうとるかという戦略を規定する法律はございませんでした。それで、三つの原則、正三角形に近い二等辺三角形という形で哲学を定めている。そして、それに基づいて中長期的な計画を立て、それを具体的な施策に落とし込んでいく。それを国会に報告する。それを受けて、当然委員会、当委員会等でのいろいろな審議があると思いますし、そうした点を通じて国会の関与ということもあろうかと思います。

 そういうことを通じて、基本計画を策定する際に、もちろん総合資源エネルギー調査会に諮るし、関係閣僚の意見を聞くし、総合資源エネルギー調査会の中では、国民の声をどう取り入れていくかという工程も当然ありますし、ようやっとその戦略性がエネルギー政策の中に確立されつつあるというふうに理解をしております。

○達増委員 本法案の審議が、戦略的な、国民的な合意に基づいたエネルギー政策ということへの大きな一歩になっているということは賛成したいと思います。立法府の側も行政の側も、そして国民も、努力していくべき点はまだまだあると思いますけれども、大きな一歩が踏み出されたことについては、これは非常に多としたいということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○谷畑委員長 塩川鉄也君。

○塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。先週の委員会に引き続き質問をさせていただきます。

 今回の法案の哲学とも言われております、二条、三条、四条、この関係の問題について最初にお伺いしたいと思います。

 その点で、先ほど民主党の後藤委員の質問に対しての細田議員の答弁の内容について最初に確認をさせていただきたいんですが、四条の二項の部分の見直しについての後藤委員の質問に対して、細田議員の方から、四条二項については一項に入れるということもあり得るという趣旨の答弁かと思いますが、その点をもう一度確認させてください。

○細田議員 四条二項の規定については、先ほども御答弁申し上げましたように、その二項の内容自体は大きな問題があるとは思っていないわけでございますが、御質問の過程の中で、いろいろ誤解が生ずるのではないか、あるいは、一項の中に組み込めば条文調整ができるのではないかというような御提言もございますので、その場合は、調整によりまして、二項を削除して一項の中で調整することも可能ではないかと、やや具体的に申せば、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。

○塩川(鉄)委員 四条二項という形で、いわば切り出して二項を起こした趣旨がそもそもあったかと思うんですけれども、その点では、こういう形、一項に戻す、戻すといいますか、そういった形になるというのが、本来のそもそも別項目を起こした理由が不鮮明になるかと思うんですけれども、その理由は何なのかという点を改めてお伺いします。

○甘利議員 本委員会で、四条二項の突出度合いについていろいろ御意見をいただきました。正三角形ではなくて二等辺三角形であるということについて、御理解をいただいている方がふえてきていると思うんですが、要は、二等辺三角形である、つまり、市場原理の活用、経済合理性をあたかも無視しているのではないかというような誤解を与えてはいけない、それぞれ三つは全部重要なんであります。重要なんでありますけれども、ぎりぎり追い詰めていったときに、最後に何を犠牲にしてしまってはいけないかというその位置取りの関係を法案としては哲学として訴えたいわけでありますが、いたずらな誤解を与えないような表現の仕方は工夫ができるのではないかという意味で、書き方に工夫はできるのではないかということを申し上げているわけでございます。

○塩川(鉄)委員 この間、いろいろな例えで御紹介いただきました。二等辺三角形のお話ですとか、半歩前にと、半歩下がってという話がありましたけれども、そうしますと、今お話しになりましたような、二項について一項に入れるという話というのは、こういったわかりやすい例え、それそのものは変わるものではない、このように受けとめてよろしいんでしょうか。

○甘利議員 哲学、理念は変わるものではございません。

○塩川(鉄)委員 内容的には変わらないということでよろしいわけですね。

○甘利議員 あたかも市場原理、経済合理性を無視していいというような誤解を与えないように、表現の工夫があるということでございます。

○塩川(鉄)委員 その上でお聞きしますが、第二条の「安定供給の確保」と、それから第四条の「市場原理の活用」、規制緩和、この二者の関係についてですけれども、これは二条の方が半歩前に出て、四条の方が半歩下がるという形での例えもありましたけれども、こういう関係について、ぜひ、具体的な事例で、どういう調整が行われるものなのか、国民の皆さんにわかりやすく示していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○細田議員 まず、規制緩和について申し上げますと、これは政府にも聞いていただいた方がいいかと思いますが、政府が規制緩和三カ年計画を改定してまいりまして、電気事業法も改正し、ガス事業法も改正、法改正と具体的に言ってはおりませんが、事業制度のあり方の抜本的検討をしろというようなことを提言し、規制緩和を進めていってはどうか、それで自由化範囲の拡大とか市場整備につきまして進めてはどうかということを政府自体が提言しておりますが、そういったことを我々は政府に対して、我々は国会でございますので、強く要求をしていく必要があると思います。そういった政策の実現に向かって、まだ具体化はしていないようでございますが、働きかけていきたいと思っております。

 本法案第四条も、単なる自由化を目指すというだけではなくて、エネルギー需要家の利益が十分確保されることを旨とするとともに、安定供給の確保、環境への適合に十分配慮するということは必要でございますので、基本法でございますから、二等辺三角形という議論もございましたけれども、その三つの状況というのは、その三角形の三辺は、やはり、そのときの需給状況とか緊急度とか、それから、そのときにあらわれてきた経済現象、あるいは過度な競争制限とか、そういうものがどのようにあらわれているかということについて分析した上に、適度に調整を加えていくべきものであると考えておりますので、そういったふうに御理解をいただければと思っておるわけでございます。

○塩川(鉄)委員 この三月に閣議決定されました規制改革推進三カ年計画、そういう内容について、自由化範囲の拡大の問題についても国会として物申す機会としてのこの法案の内容だという話だと思います。

 その点で、自民党のこの法案をつくる土台となりました「エネルギー総合政策・七つの提言」でも、自由化の問題として、一つの事例としてカリフォルニア州の電力危機の例を挙げて、「公益性の高い分野における制度改革の難しさ」と述べているわけですけれども、例えば、二条と四条との関係の問題で、電力の自由化、規制緩和と安定供給の確保、この二者の調整というのは具体的にどういうふうに図られるものなのか、ぜひともわかりやすい具体的な事例でお話しいただきたいと思っています。

○甘利議員 自由化を進めるときには、環境あるいは安定供給に十分に配慮するということは、カリフォルニアの例を今お引き合いに出されましたけれども、カリフォルニアは、自由化の失敗というのは正確でないと思うんですね。自由化のやり方の失敗というふうに考えておりまして、自由化をするなということではございませんで、やり方を間違うとカリフォルニアみたいなことになるし、やり方を考えるとPJMみたいな、うまく回っていくことにもなりますねということを申し上げているわけでございます。

 いろいろカリフォルニアとPJMの検証がなされていますけれども、そういったよその国がたどってきた失敗、成功を日本の英知とするということが大事だというふうに思っておりまして、やみくもに規制改革で突っ走ってほかを犠牲にすることがないように、まず環境、そしてセキュリティーということをきちっと視野に置いて、同じ失敗を繰り返さないで済むようにやっていくべきだというふうに考えております。

○塩川(鉄)委員 規制改革推進三カ年計画の中で、電力の自由化にかかわって発送電の分離の問題が挙げられています。

 この計画の中では、「発送電を組織的に完全に分離することなども含めた中立性・公平性・透明性の担保方策を講ずる。」とあります。発送電を組織的に完全に分離するということが選択肢の一つとして示されているわけですが、この発送電分離の問題については、自由化を半歩下げるというこの法案の哲学によれば、どういう対応、答えが出てくるものなんでしょうか。

○甘利議員 規制緩和の推進計画の中にいろいろな選択肢が書いてありまして、その中でより適切なものにやがて議論は収れんしていくんだろうというふうに思っております。そうした中で、先ほども申し上げましたように、ほかの国でいろいろな自由化のやり方にトライをして、うまくいったものもあれば失敗したものもある。それを日本は経験的英知として、同じ失敗をもう一回やる必要はないのでありまして、自由化のやり方についての経験的英知をうまく活用していくというふうに考えております。

 カリフォルニアでは、ばらばらにみんな分断をしてしまったわけでございます。PJMでは、系統の信頼性ということに重きを置いて、あるいは相対取引等々、安定的に供給をしていくということにしっかりと視点を置きながら、どう規制改革を進めるかということを図っていって、これは比較的うまくいったんだと思います。

 あるいはイギリスのプール制でも、全面プール制、これは完全に発送電・配電分断という方式だと思いますが、そこで日々取引を決めるということで、しかしこれはうまくいかないということで、そのプール取引の比率がうんと今は下がってしまったわけでございまして、そういうよその国で起こっていることをしっかりとした英知として進めていけば、おのずと自由化の方向性は選択肢の中から浮かび上がってくるというふうに考えております。

○塩川(鉄)委員 電事連の南会長などもおっしゃっておりますけれども、組織的に分離することについて電事連として反対だということを繰り返し述べておられます。この発送電を組織的に完全分離することに反対というのは電力会社の一貫した強い要求ですけれども、甘利議員が御紹介になりましたように、PJMの例、これは東洋大学の植草教授なども、PJMの優位性ということで、発送電を分離していないということとしても紹介をされていたわけです。

 先ほども規制改革推進三カ年計画を紹介しましたが、閣議決定された政府の方針としては、組織的に完全に発送電を分離するというのを選択肢としてはっきりうたっているわけですけれども、この法案の哲学の趣旨に沿うと、こういった政府の閣議決定の方向を変更して、そういう意味では電力会社の要求を通す、こういう方向に働く、このようになると思いますけれども、いかがでしょうか。

○河野政府参考人 閣議決定の方は政府の問題でございますので一言申し述べさせていただきますが、この閣議決定では、自由化範囲の拡大ですとか卸電力市場の整備等々の課題を掲げておりますが、それらの事項について総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の場などを通じ検討、検証を行い、早急に結論を得るというのがこの閣議決定の大筋でございまして、これに沿いまして、今総合資源エネルギー調査会電気事業分科会で、まさにおっしゃるような点も含めて検討しているのが実態でございます。

○甘利議員 このエネルギー政策基本法は、別に電事連の意向に沿ってつくったわけでも何でもございませんで、日本として個別法を体系的に結びつける基本法が必要だと思ってつくったわけでございまして、そういった中で、三原則に沿って進めていけばおのずと規制改革のあり方というのが出てくる。しかも電気の場合は、つくり過ぎちゃったからためておくということはできませんし、足りないから、じゃすぐつくろうというぐあいにもいかないわけでございます。

 競争原理が働いていく中で、何といいますか、設備利用率とか稼働率、みんな目いっぱい上げていく中で競争原理だけの世界でやっていきますと、安定供給というのに支障を来す。ですから、大規模な電力事故が起きる。カリフォルニアではそれによって一番損をしているのは需要家でありまして、いまだにあの改革以前のレベルに電気料金が戻らない、高負担を強いられているということでありますから、そういう、既にいろいろなエネルギーの分野で規制緩和、改革を行っていった国の経験は英知とした方がいいに決まっているのでございまして、同じ失敗をもう一回やり直しましょうという必要性はないのでありますから、それらの経験的英知に基づいて三原則に従って取り組んでいくと、おのずと方向性は出てくるのではないかというふうに思っております。

○塩川(鉄)委員 組織的に発送電を分離するという要求そのものは、アメリカの対日要求のリストの中にも挙がってくる。そういう中での一連の流れの経過としてのこの規制改革推進三カ年計画に示されている方向だと思いますね。私は、そういうのが背景にある上で、今回の法案というのが、やはり電力資本の利益を代弁する方向での中身ではないかというのは率直に思うわけです。

 このアメリカの事例を考えても、自由化の象徴だったのがアメリカのエンロンでしたけれども、破綻をいたしました。このエンロンについては、カリフォルニアの電力危機を機に価格操作でぼろもうけをした、こういった問題なども大きく報道されているところです。

 アメリカの連邦エネルギー規制委員会が公開したエンロンの内部文書によりますと、カリフォルニア電力危機の際に、カリフォルニア州の電力自由化政策の盲点をついて利益を得ていた、こういうことが挙げられていました。価格操作の疑いは、このエンロンだけでなくて、ダイナジーですとかカルパインなどでも同様に浮上して、ブッシュ大統領として規制当局に徹底解明を指示しているわけです。

 私、こういった自由化をめぐった問題について考えたときに、やはり国民の皆さんにどれだけ正確に情報が伝わっているのかという、この情報公開というのがエネルギー政策をめぐっても極めて重要だと思うわけですが、今度の法案ではこの情報公開についてはどのような配慮がされているのか、その点をお聞きしたいと思います。

○亀井(善)議員 この法案では、エネルギーに関する情報公開については具体的に言及はしておりません。しかしながら、本法案の第十一条においては、エネルギーの需給に関して講じた施策の概況に関する報告を提出することを義務づけておるわけであります。

 また、国民に対してもわかりやすい形で広報すべきと考えており、本法案が成立した後には、国民に対してわかりやすい報告が作成されるよう政府に対して周知徹底したい、このように思います。

 さらには、第十四条におきまして、「国は、広く国民があらゆる機会を通じてエネルギーに対する理解と関心を深めることができるよう、エネルギーの適切な利用に関する啓発及びエネルギーに関する知識の普及に必要な措置を講ずるように努めるもの」としており、本条による取り組みの一環として、政府によるより積極的な情報公開への取り組みが必要、このように考えております。

○塩川(鉄)委員 エネルギー政策への国会の関与について、提出者の皆さんからも、国会に年次計画を報告し、それに基づいて委員会でも一般質疑の場で自由に議論していただく、こういう形を示していただいていますけれども、私、そういう意味で、国会の場できちんとした審議をされる大前提というのが、必要な資料、情報が国会の場に提供されるということだと思うんですね。そういう点での国会に対する大前提として、情報公開、情報開示が必要だ、こういう基本点というのはこの法案では明らかにされているんでしょうか。

○斉藤(鉄)議員 第十一条に「国会に対する報告」という項目がございまして、「エネルギーの需給に関して講じた施策の概況に関する報告を提出しなければならない。」こう定めたところでございます。

○塩川(鉄)委員 そこで、私が指摘をしたいのは、この衆議院の経済産業委員会に提出をされました予備的調査の報告があります。原子力発電所の発電単価の計算根拠に関する予備的調査の報告であります。

 これは、そもそもなぜこの予備的調査を行うのか、目的を記してありますけれども、そこを紹介しますが、

 我が国は、各国の趨勢に反して、ひとり原子力発電所の整備を推進し、自然エネルギーや天然ガス導入については実績も目標も著しく低い。

  政府が、原子力政策を推進する根拠としては、原子力発電所の発電コストが自然エネルギーよりも格段に低いことが大きな理由とされてきたものの、コストの計算根拠は、ほとんど明らかにされていない。

  明確なコスト分析なしに、中長期的な我が国のエネルギー政策を科学的に決定することは不可能である。

このように述べての予備的調査を求めたわけであります。そういう意味では、中長期的な、長いスパンでの基本政策を考える上でも必要な情報公開が求められている、この立場で求めたわけです。

 その実際の報告の中身を見ますと、「原子力発電の経済性試算における設定単価の根拠」、核燃料サイクル関連ですが、ここでは肝心な数字が白抜きになっているわけです。これはコピーですけれども、枠でくくって、マスキングという形で真っ白になっています。非開示部分、開示しない部分が十六ページにわたっている。こういったのがずっと続くわけですね。

 こんなことで国会でまともな議論ができるんだろうかと率直に思うんですが、なぜこういった不開示部分が続くのか、白抜きになっているのか、お聞きします。

○河野政府参考人 お尋ねの原子力発電の経済性の試算でございますけれども、平成十一年十二月に開催されました総合エネルギー調査会の原子力部会におきまして、資料として当省が事業者などの協力を得て作成したものでございます。

 この資料におきましては、一定の前提を置いた上で、当時の最新の知見あるいは実勢値に基づいた各電源の発電コストの試算を示そうといたしました。原子力発電コストについては御承知のような数字になっているわけでございます。

 この試算に当たりまして、核燃料サイクルコスト部分の算出に用いられました設定単価の根拠などが記録されました文書につきましては、御指摘のように、本年二月に衆議院の調査局の予備的調査において提出を要請されたわけでございますけれども、その情報の一部を、不開示を前提に事業者から任意に提供された情報である、かつ、開示によりまして事業者等の競争上の利益が侵害されるおそれがあるというふうに認められましたので、そうした部分に限り、情報公開法における不開示情報の範囲を参考に不開示ということで提出をさせていただきました。

 以上が経緯でございます。

○塩川(鉄)委員 私は、本当に、コストが下がるという、市場原理の活用ということをこの大きな柱の中で追求する、そういう中での三者の調整が行われるわけですけれども、私、そういう意味でも、必要な情報が開示されてこそ国民にとって納得し得るような対応ができると思うんですね。

 今、エネルギー庁としては、非開示部分があるんだということを言いますけれども、そういったことも含めて、それを開示する方向で働きかけていく、こういった役割を本法案が果たすべきだというふうに率直に思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

○亀井(善)議員 本法案は、先ほど私からも御答弁申し上げましたとおり、国民に深く御理解いただくような、あるいはまた啓発、そういう趣旨で本基本法案をお願いしておるところでございまして、また、そういう面で、国民のなお一層の理解が得られるような努力をすべきではなかろうか、このように思います。

○塩川(鉄)委員 私は納得できるものではありませんが。

 例えばアメリカにおいてはどうか。原子力発電のコストについても情報公開がされておりまして、アクセス可能なデータベースとなっている、それをもとに詳細な検討もなされているわけです。日本ではそういうことができないわけですね。そういう点でも、大いに国民に納得し得るようなコストを示すのであれば、必要な情報開示が徹底されるべきだ、このことを強く強調しておきたいと思うんです。ですから、今回のこの法案では、こういった情報の不開示を容認する範囲のものでしかないのではないか、そういうことを率直に言わざるを得ません。

 今、原子力発電所をめぐっては、コストの問題についていろいろな指摘の声が出されています。この間の新聞報道を見ましても、例えば朝日新聞などでは、「電力業界は、原子力発電所の新設や核燃料サイクル計画の推進にかかる費用について、政府に新たな支援策を要請する方向で電力会社間の協議を始めた。電力小売りの自由化拡大が確実となり、原発を持たない新規参入者に比べ価格競争で不利になる懸念が出てきたためだ。」また、ほかの新聞では、これに応じて、経済産業省が、「原子力発電所を建設する電力会社に補助金を支給する方針を固めた。電力自由化が進むと、投資リスクが高い原発建設にブレーキがかかる恐れがあるため、現行の原発政策推進には資金面での電力会社支援が必要と判断した。」

 経済産業省に確認してもこういうふうな言い方しかしないわけですけれども、そういう点でも、私、情報開示、情報公開というのを徹底する方向での働きかけが必要だと思うのですね。その上で、私、こういった自由化の方向がかえって必要な情報公開を制約する方向、現下の非公開が進む方向になるんじゃないか、このことを率直に思うわけです。

 例えば、自由化されたガスの大口供給ですけれども、今の数字を見ても、データで出てくるのは契約の件数だけです。ガスの総販売量とか総販売金額は非公開になっているわけですね。そういう形で、自由化というのが今のままで言えば逆に非公開を進めるようなものになる、こういう点でも、必要な情報公開をきちんと求めるということが、本来、大前提だというふうに率直に思いますけれども、改めてお聞きします。

○河野政府参考人 先ほどの原子力の関係でも、一部の事業者から得ました公表を前提としない協力情報、これは公表することができませんでしたけれども、それ以外のさまざまな情報は公開をさせていただいておりますし、私ども、情報公開には常に積極的に取り組んできております。

○塩川(鉄)委員 では、提出者に改めて。

○亀井(善)議員 情報公開法もあるわけでありまして、このような基本法を作成する、こういうことによりまして、なお一層、政府におきましても、そのような情報が公開できるようになることではなかろうか、このように思います。

○塩川(鉄)委員 コストをめぐってのいろいろな疑念というのが国民の中にあるということで、これをきちっと晴らすということが政治の責任だと思うのです。情報公開なしにエネルギー政策への国民の関与はあり得ない、このことを改めて指摘して質問を終わります。

○谷畑委員長 大島令子さん。

○大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 繰り返されてきた問題かもしれませんけれども、社民党としまして、原子力エネルギーのコストについてまず長官にお伺いします。

 核燃料サイクルは、ウランの採鉱から始まり、製錬、ウラン濃縮、燃料加工、そして発電所で使用され、再処理されたものを高レベル廃棄物として処理するわけで、核燃料サイクルの費用は莫大なものとなると思います。原子力の経済性についてどのように長官は認識されておられるのか、まずお伺いいたします。

○河野政府参考人 平成十一年の十二月に、総合エネルギー調査会の原子力部会におきまして、原子力発電の経済性に係る試算が行われました。ここでは、原子力の発電コストをキロワットアワー当たり約五・九円という試算になっておりまして、他の水力あるいは石油火力、LNG火力、石炭火力などと比べまして遜色のない経済性を有するという結論を得ております。

 この試算におきましては、OECDにおいても一般的に採用されております計算方法を採用いたしました。具体的には、発電所が一定の年数を運転するという前提、そして資本費、運転維持費、燃料費を発電電力量で割るという計算式を用い、また、それを現在価値換算した上で発電原価を求めるという方法をとったわけでございます。

○大島(令)委員 原子力はほかのエネルギー源に比べて遜色ないということでございますけれども、前提が、先回試算した平成六年は、運転年数十六年となっておりますが、今回、十一年の試算では、原子力の運転年数が四十年ということで、その前提が十六年と四十年で違っているわけなんですね。どうしてこのように前提が大きく変わったのか、御説明いただきたいと思います。

○河野政府参考人 日本の原子力発電所も運転経験を積みまして、運転年数を四十年という実態に合わせた計算をすることが可能になったという状況を踏まえたものでございます。これは、ただ原子力発電所だけに長い運転年数を前提として置き、他の発電所は短い運転年数でということではございませんで、基本的には、発電所の性格にもよりますけれども、同様の前提をそれぞれの発電方式について置いた上で、いわばイコールフッティングを図った上での試算になっております。

○大島(令)委員 先ほどの塩川さんの質問と少し重なりますけれども、ここに、私たち委員会が、予備的調査ということでことしの二月にお願いしましたことの報告書、核燃料サイクルの部分に関しまして、十六ページにわたり非開示という部分がございます。これでは本当に原子力が安いのか高いのか、発電コストがどうなのか、私たちは納得することができません。先ほどの説明では、不開示を前提としてということで、電気事業者と国と分けた形で御答弁されましたけれども、なぜ国として、本当に国民に原子力は安全でいいものだと言うのであれば、事業者を説得して公開して、堂々と私たちに発電単価を公表させていただけるような指導ができなかったのか、改めて長官に伺いたいと思います。

○河野政府参考人 先ほども申し述べたことでございますが、この試算を行うに当たりまして、できるだけ実態に近い数字を基礎として計算をしたいというふうに考えました。したがいまして、例えば核燃料の調達コストなどについても、現実に各企業がどういった数字で調達しているのかということも資料の提供を求めました。しかしこれは、当然のことながら企業秘密に属することでございますから、不開示を前提に協力をいただいたものでございます。開示ができなかった部分は、まさにそういう、いわば個別の情報の部分でございまして、この点については企業秘密等の関係から申し上げて開示することはできない、そういった性格のものであったと御理解をいただきたいと思います。

○大島(令)委員 それでは、角度を変えまして、この法案の提出者であります、きょうは河合さんがおりませんので、斉藤議員にお伺いします。

 この法案を提出するに当たりまして、御党、公明党としましては、原子力が高いエネルギーなのか安いエネルギーなのか、どういう根拠で供給安定ということに対して試算して出されたのか、具体的に御説明をお願いいたします。

○斉藤(鉄)議員 この法案、エネルギー政策基本法、もう大島委員御存じのとおり、安定供給性、環境適合性、市場経済性、こういうエネルギー問題をこれから考えていく上で重要な基本方針、哲学についてこれを定めていこうというものでございまして、個別具体的なエネルギー源について一つ一つ論じたものではございません。

 もし、この三つの哲学に原子力が合致するものであれば、これは今後この国の政策に取り入れられていくことになると思いますし、また、議論の過程でその三つの哲学に原子力が適合しないということになれば、これはその中に取り入れられないということでございまして、より基本的な考え方を決めた法律、こういう形でこの議論に取り組ませていただきました。

○大島(令)委員 哲学という言葉でかわされましたけれども、法案の中には、市場原理の活用ですとか需給とかそういう具体的な想定される概念、条項として入っているわけなんです。にもかかわらず、哲学でこの基本法を定めたんですか。

○斉藤(鉄)議員 市場経済性のところで、当然これは各発電方法のコスト、こういうことが当然問題になってくるわけでございますけれども、今回の議論では、一つ一つの発電方法について一つ一つコストを議論したということはございません。

 そういうことも含めて、その発電コストも当然考えていきながら今後日本のエネルギー基本政策を考えなくてはいけないということを決めた法律で、哲学でかわしたと今おっしゃいましたけれども、決してかわしたわけではなくて、まず、より根本的なところを定めた法律、こういうふうに理解をいたしております。

○大島(令)委員 では、長官にお伺いいたします。

 再処理工場というのは、建設するのにとても費用がかかっています。六ケ所村の再処理工場の建設見積もりは、事業申請時の一九八九年には約七千六百億円とされていたものが、一九九九年の見直しでは二兆一千四百億円にもなっております。これは、電事連としては、失敗した場合に不良資産となる可能性が予測されます。一体これはだれが負担していくのか。このまま計画が進むと、これらの費用はすべて電気料金という形で私たち市民一人一人の負担になると想定されます。見解を伺いたいと思います。

○河野政府参考人 この建設は民間企業であります日本原燃が行っておりまして、はたまたその費用負担につきましては、電気事業者等の関係で約束事があるわけでございますので、こういった契約に基づきまして費用が負担されていくことになります。

○大島(令)委員 今の答弁ですと、当初より約三倍もの再処理工場の建設費がかかっているということは、当然、民間の電気事業者ですから、これを何らかの形で回収しなければ不良資産になるわけですね。回収となれば当然電気代にはね返るわけですから、このことに対して資源エネルギー庁としてどういうふうに考えているのか、改めて伺いたいと思います。

○河野政府参考人 この電気事業者が、再処理工場の建設に当たって、最終的な費用を今後の操業における負担も含めてどのように負担していくかということについては、契約上の定めがございますので、それに基づいて処理していくことになりますし、また、必要な引当金なども積んでいるというふうに承知しております。

 ただ、御指摘のように、そのことが最終的には全体としての電力価格に反映されることにはなろうかと思いますけれども、そのことが全体として、日本のエネルギー政策全般あるいはセキュリティーにどのように貢献するかということが非常に大きな課題だと思っております。

○大島(令)委員 資源エネルギー庁の中に核燃料サイクル産業課というところがありまして、この再処理工場はプルサーマルの一環でございます、これは国策でございます、国策ですが、事業主体が電気事業者ということでございますと。

 ですから、先般から、エネルギー問題を問題にしたときには、例えば外務省まで、MOX燃料を加工するときに、フランスのコジェマ社、そしてイギリスのBNFL社、カリブ諸国のドミニカ共和国では、日本のプルトニウムを積んだ船が、本当に五十数カ国の国々の人たちが、自分たちの領海を通るのを反対する法案まで出ている、そういう大がかりな中で、日本のプルサーマルというものが影響を及ぼしている。

 そのような認識に立てば、私は、長官の答弁は、結果的に、コストがかかった、それは当然引当金もあるだろうけれども、私たちの電気料金にはね上がるということになれば、原子力政策というのはコストが高いんじゃないのですか、もう一度お伺いします。

○河野政府参考人 先ほど紹介させていただきました平成十一年十二月の総合エネルギー調査会原子力部会におきまして御検討いただきました資料におきまして、先ほど申し上げたような原子力発電のコストになっておりまして、他の燃料によります発電についてもその際あわせて御紹介をし、経済的に遜色がないという評価をいただいたわけでありますけれども、その際の試算におきましては、いわゆる核燃料サイクルコストも含めて、できるだけ実態に即した数値を導入しながら計算したという経緯がございますので、それも含めた経済性が現在の私どもの評価というふうに御理解をいただきたいと思います。

○大島(令)委員 その中には、先般の朝日新聞には、原発の後処理、バックエンド対策面も含めると、三十兆円との試算が報道されております。このような観点からも、私は、もう一度原子力の発電単価を考え直す必要性があると思いますが、長官の見解を聞かせてください。

○河野政府参考人 先ほど申し上げましたように、この試算をいたしましたのは平成十一年の十二月でございます。その後、確かに幾つか、例えば天然ガスですとか石油の値段が変化したり、情勢の変化が全くないとは申し上げませんけれども、この時点で使いました資料の有効性は依然としてあるのではないかと私どもは思っております。

○大島(令)委員 六ケ所村の再処理工場では、完成すると、放射性物質が通る配管が延長千五百キロメートル、配管の継ぎ目が四十万カ所。今プールでも水漏れ事故が起きていて、原因が特定されておりません。これらのいろいろな事故が起きたときには、私たち人間が、被曝しながら、そこに例えば一分とか十分とか、大勢の人が交代で被曝しながら対処しなければいけないということで、危険と、そして非常に原子力というのは経済性が、これから老朽化していけば非常に高くなるというふうに私は思っているわけなんです。

 改めて、トータル的に考えて、長官の御意見を、本当に先ほどから十一年の見直しのことばかりおっしゃっていますけれども、そんなに、長官としては、報告を受けたことをそのまま答弁する、そういう何にも主体性のない答弁しかできない立場なんですか。

○河野政府参考人 平成十一年のことばかり申し上げて恐縮ですが、その十一年の計算に当たりましては、私どもといたしましても英知を結集して試算をしたという経緯がございますので、それなりの自信を持ってお答えを申し上げているところでございます。

○大島(令)委員 主体性のないというのは非常に、ちょっと不適当な言葉だったかもしれなかったらおわびしますけれども、やはり国のエネルギー政策、資源エネルギー庁長官としての重い立場を考えて、私はつい申し上げましたので、その辺は御理解いただきたいと思います。

 次に、第十四条について斉藤議員に質問をいたします。

 十四条は「エネルギーに関する知識の普及等」という項目でございます。ここには、「国は、広く国民があらゆる機会を通じてエネルギーに対する理解と関心を深めることができるよう、エネルギーの適切な利用に関する啓発及びエネルギーに関する知識の普及に必要な措置を講ずるように努める」としていますが、「あらゆる機会」というのは例えばどういう機会を想定されているのか御説明ください。

○斉藤(鉄)議員 ここで「あらゆる機会」とは、例えばテレビ、ラジオ、新聞等のマスコミもあるかと思います。それからいろいろな形で、ミニ集会とか大きな集会とか、そういう議論をするシンポジウムを開く、勉強会もあろうかと思います。また、学校教育、学校の中で子供たちにエネルギーというもの、そして、きのうも京都議定書、通過をいたしましたけれども、環境問題と考え合わせた我々国民の果たすべき役割、その中のエネルギーとの関連、その教育、こういうことが考えられます。

○大島(令)委員 「あらゆる機会」というのはわかりましたけれども、どういう立場で、何を取り組まれることを想定しているのか、御説明ください。

○斉藤(鉄)議員 エネルギーということでございますので、これはあくまでも、あくまでもといいましょうか、技術の側面が強うございます。すべての技術には、正の明るい部分、負のマイナスの部分がやはりあるわけでございまして、そういうものをある意味では非常に客観的に国民の皆さんにわかりやすく提示をしていく、こういうことだと思います。

○大島(令)委員 では、斉藤さんに、ことしの予算の関連で少し御紹介申し上げます。これに関してどのようにお感じになっているか聞かせてください。

 まず、十四年度の予算の中で、電源立地勘定でエネルギー教育推進事業という新規予算、五億七千万円、また、資源エネルギー政策関連予算の原子力政策の強化として、広聴・広報活動の抜本的強化ということで計上されております。そしてもう一つ、官民一体となった原子力発電所見学者の百万人、昨年度は三十七万人ということですが、百万人達成目標の予算が、昨年の一億円から今年度は六億円と六倍になりました。また、教員向けの教材等の作成・配布として新規予算が一億円となっております。

 これらの予算はどのように執行されるべきだと考えておられますか。

○斉藤(鉄)議員 原子力は、日本の国民生活と経済を支える大変重要な基幹エネルギー源でございます。この原子力につきましていろいろな議論が起きている、これはもう御承知のとおりです。そういう国民的な議論の中で、正しい知識を持っていただいて、これは原子力の持っているいい面だけではなく、いろいろな負の側面もございます。そういう負の側面も含めて、正しい知識を持って議論していただくことが何よりも重要ということで、このような予算が組まれているんだと思っております。

○大島(令)委員 正しいとか正しくないというのは、いろいろ立場によって、条件によって変わるものと思います。原子力反対派の人、推進派の人にとって正しいというのは、推進派の人にとっては、安全性をPRする、反対の人は危険性をPRする。この事業というのは、教育委員会を通す委託事業ということで説明を受けているわけなんです。教育というのは、教育基本法にございますように、公平中立であるべきなんですね。

 しかし、先回の質問の中で、昨年、いろいろな各地の住民投票の中で、国は負けてきたんです。柏崎、刈羽、これはプルサーマル、住民が勉強して、負けた。そして三重県の海山町の誘致でも、これも住民投票で負けたということで、やはりこの結果を受けて、これに対して、地元の住民に理解を深めるためにこういう予算を組んだということを私は資源エネルギー庁から聞いているわけなんです。

 そうなると、私の憶測では、教育の現場での説明は、本当に公平中立に行われるのかなという危険を感じるわけなんです。やはりリスクと利便性をいかにてんびんにかけて、未来を子供たちにどのように選択するかという公平な教育現場での説明がなされなければ、この事業はやめていただきたいとすら思っているわけなんです。私は、政治的な判断の結論を教育の現場で押しつけるべきではないと思っているわけなんです。この法案、この原子力政策がこのまま進むと、私は本当に偏った知識が子供たちに伝わるという危惧を抱いております。

 私は、なぜ斉藤さんに質問させていただくか、先般は河合さんに質問させていただくかというと、私たちは、公明党さんは、比較的昔は、野党のときに、社民党と一緒に福祉の公明党ということで、そういう印象がございますので、今、与党にございますけれども、与党の中でそういうことを主張して闘っていただけるのか、そういう期待も込めて斉藤さんに聞いているわけですので、ぜひ明快な、今申し上げたことに対する、御自分の感想でも結構ですし、見解を聞かせていただきたいと思っております。

○斉藤(鉄)議員 今大島委員から、整理しますと二点あったかと思います。一つは、原子力教育についてどう考えるのかという点。二つ目は、与党の中で今までの主張をどういうふうに主張していくのかという点かと思います。

 まず、原子力教育についてでございますけれども、私は、科学的知識そのものには政治的判断が入る余地はないと思っております。そういう意味で、先ほど大島委員がおっしゃったとおりでございまして、原子力技術が持っている正の側面と負の側面、これを正直にわかりやすく提示をしていく。

 私は、個人的に言わせていただければ、どちらかといえば、今国民の皆さんへは負の側面ばかりが強調されているような、私にはそのように、そんな気がしておりまして、そういう意味では、両方を見ていただいて、すべての技術には正の側面と負の側面がございます、そういういろいろな技術を比べていただく材料にしてもらう。そのための原子力知識の普及というのは重要だと思っております。

 二点目でございますが、与党の中で、公明党、今回のこの基本法を議論する中でも、新エネルギーの促進等について一生懸命頑張ったところでございます。

○大島(令)委員 私が先ほど来こういう質問をさせていただいているのは、この本に、提出者の甘利議員が、「国が核燃料サイクル全般について責任を確固として果たします、ということを示すためにもエネルギー基本法の制定は欠かせない」と、そういうふうに述べていらっしゃるわけなんです。

 ということは、六ケ所村の再処理工場が破綻したときに国がその不良資産を引き受ける、そうなるとすべて私たちにはね返ってくるわけなんですね。やはり国が全般について責任を確固として示す、これはそういうことなんです。そういうことがこの雑誌に書かれてあるから、私は今までそういう心配の質問をしてきたわけでございます。

 最後の質問は、同じく斉藤さんにしたいと思いますが、第六条、「地方公共団体の責務」について。

 きょうは民主党さんからも、そして先般、私の質問でも、住民投票に対して、中央集権的に地方に押しつけるものではないというふうに、きょうも民主党の議員への答弁で明確にございました。そうであるならば、私はこの条項は不要ではないかと思いますが、なぜこの条項が削除できないのか、説明をしていただきたいと思います。

○斉藤(鉄)議員 国の施策というのは、国だけが決めても、これが現実に実行されるものではございません。国として決めたとしても、実際に国民の皆さんと接している地方自治体の理解と協力がなければなりません。そういう意味で、この第六条、「地方公共団体の責務」を入れさせていただいたところでございます。

 しかしながら、先ほど大島委員がおっしゃいましたように、国が決めたんだから地方自治体はこれに従えということを言っているわけではなく、国のその施策を十分理解していただいて、その地域地域の特性に応じて意思決定をしていただきたい、その希望を申し述べたところでございます。

○大島(令)委員 では、六条を読みます。「地方公共団体は、基本方針にのっとり、」「国の施策に準じて施策を講ずるとともに、その区域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」

 私がこだわっているのは、この基本方針の中に原子力の推進ということがあるものですから、原子力の推進に関して、国の施策に準じて地方自治体もまたその施策を策定し実施する責務を有するということで、住民投票条例が出たときに、まあこれは住民の五十分の一とかいろいろな形で条例制定してからでないとできませんけれども、そういうところでまだひとつしっくり腑に落ちないところがあるものですから、社民党としましては、民主党さんが非常に努力して、私が先般質問した第四条の二項も削除してくださったり、対案とも思えるようなとてもいい修正案が出されましたけれども、まあ、この一点だけでも私たちにとっては譲れないものですから、この後の採決で反対ということになるわけでございます。

 田中筆頭には本当に御努力をいただきましたけれども、そういうことでございますので、以上で、私の質問を終わらせていただきます。

○谷畑委員長 西川太一郎君。

○西川(太)委員 十分間の予定でありましたが、大島先生のお時間が食い込まれましたので、九分間質問いたしますので、答弁の御協力をお願いしたいと思います。

 まず第一に、私は参考人にもお伺いしたんですが、エネルギーセキュリティーの問題について提案者に伺いたいと思います。それで、二問目は、同じく教育の問題について文部科学省に伺います。

 まず第一に、アジアを初めとして世界の人口増加地域とか、経済発展が中国を中心にどんどん進行することに伴って、世界におけるエネルギー需要は今後大きく伸びていくわけでありまして、その一方で、供給面では、世界全体の石油の中東依存度が高まっているということ、今後も高まるであろうということがともに確定されておりますし、予想される。エネルギーをめぐっては今後国際的に大きな問題が生じるというふうに考えますが、政府としては、エネルギーをめぐる国際情勢についてどう認識しているかということを伺います。

 それから、提出者には、エネルギーをめぐる国際情勢が厳しさを増している。資源小国である我が国が、他の先進国にも増してエネルギー供給構造が脆弱ではないかと私は懸念しているのでありますが、我が国のエネルギー供給構造について、どのようにこの基本法では認識をされて立法されたのかを伺いたいと思います。

○河野政府参考人 まず、政府の方の、世界的なエネルギーの需給動向などについての御質問にお答えさせていただきます。

 これは、IEAの見通しを引用させていただきたいと思いますが、世界のエネルギー需要は今後大幅に伸びると見込まれております。特に、アジアを中心として、発展途上地域におけるエネルギー需要の急速な伸びが見込まれておりまして、世界の一次エネルギー消費は、二〇二〇年には九七年比で五七%増という見込みになっております。

 同じIEAの見通しをさらに引用させていただきますと、世界のエネルギー供給は、長期的には、天然ガスのシェアが増大することが見込まれてはおりますけれども、石油が引き続きエネルギー供給の中心を占める基本構造には変化がないというふうに予想されておりまして、また、長期的には、中東の石油供給比率はさらに高まるという見通しも示されております。

 こうした国際情勢下でございますので、我が国のエネルギー供給構造に目を向けますと、エネルギー自給率は、準国産の原子力を含めましても二割、依然として他の先進国に比べて低いと申し上げざるを得ません。

 第一次オイルショックのころには八割近くだった石油依存度は五割まで低下しておりますけれども、第一次オイルショック後供給源の分散化で低下いたしました中東依存度は、逆に近年上昇に転じておりまして、現在約八割を超える高い水準でございます。

 このように、我が国のエネルギー供給構造は、他の多くの国々と比べましても引き続き脆弱と申し上げざるを得ない状況にありますので、石油の安定供給確保を初めとしたエネルギーセキュリティーの確保、これはエネルギー政策の大きな課題だというふうに認識をしております。

○甘利議員 西川先生御指摘のとおり、我が国は先進国の中でも最もエネルギーの供給構造が脆弱であるというふうに考えております。そうした中で、安定的に供給をするエネルギーセキュリティーというのは、エネルギー政策上最も大事な柱の一つでございますので、この法案におきましては、重要な柱の一つに据えさせていただいたわけでございます。

 二条におきまして、一次エネルギーの特定地域への過度な依存の低減、そしてエネルギー資源の開発、備蓄及び省エネルギーの推進、これらによりまして供給源を多様化するわけでございます。つまり、調達地域の多様化と、調達エネルギー種類の多様化と、それから調達方法の多様化というのもございます。そして、自給率を向上させるとともに、エネルギー分野の安全保障を図る、これを基本として施策が講じられなければならないというふうに規定をしているわけでございまして、御指摘の懸念にしっかりとこたえることができるように法案構成をしたつもりでございます。

○西川(太)委員 大変大事なポイントでございますので、この基本法はそうした観点を十分踏まえてできているということで、私は評価をしたいと思っております。

 文部科学省から加納大臣政務官においでをいただいていますので、もう時間がなくて恐縮でございますが、一問だけ質問させていただきます。

 本法案の第十四条において「エネルギーに関する知識の普及等」についてうたわれているわけでありますけれども、先ほども若干これに関して御議論がありましたけれども、これは大変重要なことだというふうに思います。

 これは、原子力の問題に限らず、このグローバルな地球の上で、宇宙船地球号の上で暮らしていく人間として、子供たちにも、エネルギーの重要性ということに少年少女の時代から関心を持っていくということは、私は非常に大事だというふうに思うんです。そのために文部科学省としても、学校におけるエネルギー教育ということに積極的に取り組んでいかなければいけないというふうに思います。

 もう時間があれでございますから、この点についての御決意を伺って質問を終わりたいと思います。

○加納大臣政務官 西川委員御指摘のとおり、少年少女、子供のころからエネルギーに関心を持って勉強していくということは極めて大事であり、そういう意味では、学校におけるエネルギー教育の重要性は委員御指摘のとおりだと思っております。また、法の十四条はその精神を含んでいるというふうに理解しております。

 私ども文部科学省は、昨年統合して発足しましたが、文部省の持っていた教育、学術研究と、科学技術庁が担当しておりました科学技術、エネルギー、原子力の研究開発が一緒になったことによってシナジー効果を発揮させていきたいと思っております。

 もう時間がないので、結論だけ、単語だけ並べますけれども、例えば、この四月からの新学習指導要領の実施により、中高の社会科、理科でカリキュラムが充実し、エネルギーの有効活用から、資源、環境問題、原子力を含むさまざまなエネルギーの光と影、その特性を勉強していく、それから、教科書の記述をより客観的、より科学的に改めていく、総合学習を生かす。

 これに加えまして、この四月から、本年度から、我が省におきましても、新しく原子力・エネルギーに関する教育支援事業交付金制度を創設し、各都道府県の主体性を尊重しつつ、エネルギー、原子力に関する教育の取り組みを国が支援するということにいたしまして、積極的に教育に参画をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

○西川(太)委員 終わります。

○谷畑委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

○谷畑委員長 この際、本案に対し、中山成彬君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守党及び宇田川芳雄君共同提案に係る修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

○鈴木(康)委員 ただいま議題となりましたエネルギー政策基本法案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守党及び宇田川芳雄君を代表いたしまして、その要旨を御説明申し上げます。

 修正の要旨は、

 第一に、安定供給の確保に関して、「エネルギーの需給に関する国際情勢」を「エネルギーに関する国際情勢」に改めること。

 第二に、環境への適合に関して、「化石燃料以外のエネルギーの利用への転換」を「太陽光、風力等の化石燃料以外のエネルギーの利用への転換」に改めること。

 第三に、市場原理の活用に関して、第四条第一項に「前二条の政策目的を十分考慮しつつ」を加え、同条第二項を削ること。

 第四に、エネルギー基本計画に係る事項に関して、

 その一に、経済産業大臣は、エネルギー基本計画について閣議の決定があったときは、エネルギー基本計画を、速やかに、国会に報告しなければならないものとすること。

 その二に、「エネルギーの需給をめぐる情勢の変化」を「エネルギーをめぐる情勢の変化」に、「エネルギーの需給に関する施策の効果に関する評価」を「エネルギーに関する施策の効果に関する評価」に改めること。

 その三に、エネルギー基本計画に検討を加える期間を「少なくとも五年ごと」から「少なくとも三年ごと」に改めること。

 第五に、エネルギーに関する知識の普及等に関して、国は、エネルギーに関する情報の積極的な公開に努めるものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○谷畑委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

〇谷畑委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大森猛君。

○大森委員 私は、日本共産党を代表して、与党提出のエネルギー政策基本法案に対して、反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案が、原発、核燃料サイクルを国策として着実に推進することを明記した自民党の「エネルギー総合政策・七つの提言」実現の第一歩であり、ジェー・シー・オー臨界事故等によって高まった原子力政策に対する国民的批判に対抗して、原発推進の電力会社の利益擁護を図り、原発、核燃料サイクル推進を強行しようとするものだからです。提案者が、三基本哲学、政策目標、これに原子力は大いに貢献をしてくれる、原子力は非常に有効な手だてであるというふうに信頼をしていると答弁しているとおりであります。

 第二に、新潟県巻町、同県刈羽村、三重県海山町と三度、住民投票で原発推進派が連敗したという状況に対して、地方公共団体に、国の施策に準じて施策を講じる責務を負わせることにより、国策としての原発推進を自治体と住民に一層押しつけるおそれがあるものだからです。

 第三に、エネルギー基本計画の策定に当たって、発電コストの根拠開示など情報公開が極めて不十分な現状を容認し、エネルギー政策の決定過程の民主化、国民的合意の形成を保障する仕組みを持たないものだからです。

 第四に、従来型のエネルギー政策に対する総括も反省もないままに、事実上これを推進するものであり、エネルギーの消費低減と再生可能エネルギーの抜本的な導入促進、自主的資源外交など、二十一世紀の日本を支えるエネルギー政策の課題に全くこたえようとしないものだからです。

 第五に、エネルギー安全保障には軍事的な側面も当然入ってくるという提案者の答弁は極めて重大であります。エネルギー政策の基本に軍事的な要素を組み入れるという本法案は、断じて認めることはできません。

 なお、修正案については、電力会社の利益擁護と原発推進という原案に性格を変えるものではなく、賛成することはできないことを申し述べ、討論といたします。(拍手)

○谷畑委員長 大島令子さん。

○大島(令)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、エネルギー政策基本法案及び修正案に対しまして、反対の立場で意見を申し述べます。

 国のエネルギー政策にどうして原子力エネルギーが安定需給の対象として含まれるのか。原子力で発電するために、そこで従事する人たちが被曝しながら動かしていることを御存じでしょうか。そのことを抜きにして条文で環境への適合をうたうのは矛盾していると思っております。

 私たちは、長い間、化石燃料に頼り、限りある資源のたっとさを知るとともに、そのことにより発生した地球温暖化の解決に向けてグローバルな取り組みをしてきたはずです。一方では、チェルノブイリ事故や東海村ジェー・シー・オー臨界事故で、原発が一たび事故を起こせばどんなに悲惨な結果になるか経験してきたわけです。こうした教訓を生かすなら、太陽光や風力といった自然エネルギーの普及に国の施策として力を尽くすべきで、原子力の再処理施設に膨大な経費を投入するより、はるかに地球の未来は明るくなるはずです。

 さて、エネルギー政策基本法案は、その提出に至るまで、自民党は党内のエネルギー総合政策小委員会において二十九回にわたり討議を重ね、議員立法に至ったと仄聞しております。

 では、議員立法の踏襲しなければならない基本原則は何か。それはまず、民意の反映ということではないでしょうか。この法案の内容は、明らかにこれまでの手法に倣い、官主導であり、さまざまな意見を精査した形跡が見られません。そのことは、ある市民団体が行った自治体へのアンケート調査が如実に示しています。その結果によれば、この法案のことを知っていた自治体は、実に回答者の四分の一にすぎません。

 私たち国政に携わる者は、この間、地方分権、住民参加と言いながら、地方自治体の当事者性、住民自治を実現しようとしてきたのではなかったのでしょうか。それにもかかわらず、このエネルギー政策基本法では、地方公共団体の責務を規定し、国のやり方に従うよう定めております。

 国会は多数決による民主主義で運営されていますが、国民は決して自分たちの選択を、意思を白紙委任したのではないことを、私たちも、そして提案者である与党の皆さんにもぜひ思い起こしていただきたいと思います。

 この法案は、縦割り行政の弊害さえ克服できず、柔軟さに欠け、地方公共団体の責務に象徴されるように、提案者が否定した中央集権型であり、容認できる内容となっておりません。修正をもってしても納得することができません。このことは、すなわち、国民に理解を求めることも難しいということでございます。

 したがって、社会民主党は、エネルギー政策基本法案及び修正案に反対であることを表明し、私の意見といたします。(拍手)

○谷畑委員長 これにて討論は終局いたしました。

○谷畑委員長 これより採決に入ります。

 第百五十三回国会、亀井善之君外六名提出、エネルギー政策基本法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、中山成彬君外六名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○谷畑委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

○谷畑委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。