【衆議院憲法調査会 政治機構小委員会 平成14年4月11日】
○斉藤(鉄)小委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。きょうは、本当にありがとうございました。
私は、お聞きしたい点を四点羅列をいたしまして、残りの時間で先生にお答えいただければと思います。
まず第一点目は、選挙制度のあり方は、原則的には国会の裁量により決定し得る、けれども、立法によっても変更できない憲法原理はこれから区別する必要がある、このようなお言葉でございましたが、では、その裁量で決められる範囲と憲法原理で決めるべき範囲、その線はどこら辺に引かれるのだろうかというのが第一点目の質問でございます。
それから二点目ですけれども、選挙の機能というのは、民意を反映するということと、及び多様な意見を最終的にできるだけ数個の束ねた形にする民意の集約ということがあるかと思いますけれども、今、衆議院、参議院それぞれその機能を持たせた選挙制度だと思いますけれども、それに対しての、現在の選挙制度の評価、民意の反映、集約という観点から見た評価をしていただければと思います。
三番目は、ちょっと個別的な質問になるんですが、私、前から、参議院の選挙制度につきまして、選挙区選挙は、定数が一のところ、二のところ、三のところ、四のところ、ございます。片一方では比例区選挙で、これは原理原則がはっきりしているのですが、選挙区選挙は一人区があったり四人区があったりというのは、ある意味で、原理原則がそこにはないような気がいたしまして、この点について私は前から個人的に不思議だなと思っておりましたが、この点についての御意見をお伺いできればと思います。
それから最後なんですが、我が党、衆議院の選挙制度につきまして、三掛け百五十の中選挙区制を提案しております。マスコミ等では大変評判が悪いんですけれども、定数削減と一票の格差是正ということ、両方達成するためにもいいんではないかと我々提案しておりますが、この三掛け百五十、中選挙区制に対する評価もいただければと思います。
以上です。
○大石参考人 またまた、最後の点はなかなか、正直言って申し上げにくい点でございますが、順番に申し上げましょう。
法律事項と憲法事項との線引きということなんですが、言葉で言うほど簡単かというと、実はそうではないんです。要するに、原則的に選挙制度については法律で定めるという、その原理原則を立てれば、例外的に憲法事項があるという思考になりますね。そういう考え方をとるか、あるいは、重要な事柄だから基本的に全部憲法事項と考えて、それ以外の部分についてのみ法律で定め得るんだという考え方をとることができましょう。
ただ、一般的に、諸外国の現代の憲法典と比べますと、日本国憲法がやや古い時代の憲法でありますから、憲法典に重要な事項をできるだけ盛り込むという精神はあるんですけれども、選挙制度についての、先ほど申し上げたようなさまざま論点がございますけれども、それを特定する形で憲法に書いてないということは確かなんですね。
したがって、そこの書いてない部分を、我々としては、両院制のあり方その他の問題から、いわばいろいろ議論を積み重ねて、これは憲法には書いてないけれどもやはり憲法事項で特定されていると考えるべきだという議論をするわけでございまして、その点が多分一番わかりにくいと思うんです。その点をはっきりさせるためには、大きな組織法、直接選挙か間接選挙かというような大きな問題につきましてはある程度結論が出ますけれども、個々具体的な問題になりますと、憲法で明記すべき事項であったら、やはり憲法改正をするなどしてはっきりさせた方がいいんだろうと思います。
参考になるのは、現代憲法のいろいろな、衆議院の憲法調査会におかれましてもいろいろな資料をおつくりになっているようでございまして、そこで、普通の憲法典は一体選挙制度について何を定めているかということを通観してみると、いわば経験的には、これが憲法マターだということはおわかりになろうかと思うんです。ちょっと長くなりました。
それから第二点ですが、現行選挙制度をどう見るかということですが、先生おっしゃいましたように、多様な民意を反映するという部分が非常に大事だということと同時に、やはり大きな権力をつくるという要素がございますので、民意を集約し、意見を統合していくという作用、働きを選挙制度というのは本来持っているものでございます。
そういう観点からいきますと、現行選挙制度について、いろいろな部分がございますけれども、私などが常々思っているのは、一回限りですべて選挙が終わるものですから、その点を少し考え直して、今回、フランスで大統領選挙がございますけれども、ほかの選挙でも、フランスなどでは二回投票式をやっております。最初の投票ですと、どういう民意があるかというのはわかりますね。しかし、二回目では、二週間後に行われる選挙では、ある程度候補を絞って、その中で選択をする。
単に我々の多様な民意があるということがそのまま議会に出るということは統合にならないものですから、そこを何とか集約しなきゃいけないということでありますと、多様な民意があるということを踏まえつつ、しかし、いざ権力をつくるというファイナルな選挙のときには、そこを何とか近いものは近くなっていただく、大きな体制の選択を迫るといいますか、昔のような米ソという対立ではなくて、どういう政権が望ましいかという意味での体制選択で
ございますけれども、それを有権者に迫るということも大事なことではないかと思います。
そこに緊張感があることによって、民意を反映し、同時に意見を集約といいますか統合という機能を持ち得るのではないかということを、一つのアイデアとしては持っております。そういうアイデアから見ますと、現行選挙制度は、日本の伝統でございますが、選挙はすべて一回きりでやるということでございまして、そこについても、もし検討する余地があるとすれば、私は大いに材料となるのではないかと思います。
それから第三点でございますが、参議院の選挙区制あるいはその組織原理でございますけれども、基本的に、通常選挙のときには二人区は一人になりますけれども、各県最低二名というのを原則としておりますから、とりあえず、人口が少なくとも最低それは確保される。ですから、その意味で、都道府県という意味での地域代表ということをある程度原則としては取り入れている。
しかし、その後の、四人、六人、八人というふうにふえていくというのは、やはり衆議院議員の選挙と同じような、ある種の人口比例的な要素が入っている。ですから、地域代表的な性格、そういう組織原理を取り入れるということと同時に、人口比例的な原理も取り入れているということで、考え方としては混合型であろうと思うんですね。
ですから、そこを本当にそれで徹底すると、実は人口比例ということでいいますと、衆議院の選挙組織法といいますか原理に近づいてくるので、余りその点を強調しない方がいいのではないかと思っております。
ただ、その点を強調しないということになりますと、人口の格差、正確に言えば有権者数との対比と言った方がいいと思うんですけれども、その問題が生じてまいりまして、そこの合理性をいろいろ説明したいというのが最高裁のような論理でありまして、現行制度を前提とすると、例えば衆議院の場合には一対三まで限度とするけれども、参議院の場合にはもっと離れていてもいいという、いわば常に守る側の論理になるので余り好ましくないというふうに思っております。
最後の論点は、私どもは報道によって知っている限りでありますけれども、私自身は、いわゆる中選挙区制というのは否定的な考え方でございます。
もう一点大事なポイントは、衆議院議員の数をそれほど削減されることが果たして望ましいことなのかどうかということに大きな疑いを持っておりまして、ほかの国と比べても、日本の議員の数は、人口数、有権者数から比べて、むしろ少ない部類に属するわけです。その点をさらに削減しようというのは、基本的な方向としても私は賛成できないという意見でございます。