【衆議院経済産業委員会 平成14年11月27日】

○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。質問させていただきます。

 今回の電力会社による一連のトラブル隠し、私は二つの異なる問題点があると思っております。一つは、安全上問題ないと判断した欠陥等を報告しなかったこと、そしてそのつじつま合わせの不正報告。そしてもう一つは格納容器漏えい率検査の偽装。この二つは全く異なる種類の問題だと思っております。

 今回の法改正では、この二つの問題点に対してそれぞれどのように対応しているか、まずこの点をお伺いします。

○西川大臣政務官 今、二つの点を御質問いただきました。

 第一点の方でありますけれども、欠陥等の報告にかかわる一連の不正行為でありますけれども、事業者の自主点検が法令に位置づけされていなかった、これが一つあります。それから、ひび割れ等のふぐあいを評価する手法が不明確であったこと、さらには、発見されたひび割れの兆候が放置されたり、適切な記録の保存がなされていなかった、こういうことかと思います。

 このため、今般の法案では、事業者に対して定期的な自主検査を義務づけるとともに、仮にひび割れ等を見つけた場合には、設備の健全性に問題がないかを評価させる、こういうことにしたい。

 それから二番目に、これらの検査や評価の結果が事後でも確認できるように、記録の保存を義務づけよう。今までも一年間持っておったわけでありますけれども、これを長く持ってもらう、こういうことにする。

 三番目は、事業者が行う定期的な自主検査が適切に実施されるよう、独立行政法人及び国がその実施体制を審査、評定すること。つまり、実施体制をつくって、それが大丈夫かどうかということを独法に審査させて、さらにそれを国が評定する、こういう仕組みにしていきたいという改善であります。

 さらには、事業者の組織的な不正を防止し、法令遵守意識を高める。そのために、今回、法人重課の導入を図りました。さらには、罰則の強化の措置をした、こういうことでありまして、片方は百倍の罰金にしたし、さらには罰則の強化の中で懲役刑も導入した、こういうことにしております。

 他方、先生が御指摘の第二点の問題でありますけれども、東京電力の格納容器漏えい率検査の不正事案のことでありますけれども、意図的な偽装を行って、原子炉等規制法の保安規定に違反し、国の定期検査を妨害した極めて悪質な事案だ、こう考えております。このため、原子炉等規制法に基づいて同発電所一号機を一年間の運転停止処分とすることにしたわけでありまして、現在、文部科学省と処分について協議中であります。

 御承知のように、十一月の二十二日に公開で聴聞会があったわけでありますけれども、この席上、東京電力の勝俣社長は、弁解の余地はない、こういうことを申されておるようでありまして、このような処分にしていきたい、こう考えています。

 この不正事案の再発防止に関しましては、今般の法改正により定期検査妨害などの罰則を強化するほか、定期検査における抜き打ち的な手法の導入や、検査体制の充実強化などを図って対応してまいりたい、こう考えております。

 これらの一連の対策は、学識経験者の方々から成る検討委員会で、原因分析や背景要因を検討の上、再発防止策として取りまとめていただいたものを法制度化する、こういうことでございまして、これらの一連の措置によってこの二つの問題を防いでいきたい、こう考えております。

 以上です。

○斉藤(鉄)委員 品質は検査によってつくられるのではない、工程全体によってつくり込まれるものだというのは、いわゆる品質管理のデミング博士の言葉ですけれども、とにかく工程は全く見ずに、でき上がったものをとにかく徹底した検査をして、それでよければそれでよしということではなくて、設計から施工、運転、メンテナンスまで全体工程を見て、その工程全体で品質が、この場合は安全という品質ですけれども、つくり込まれるんだという考え方が私は大事だと思うんです。

 したがいまして、国のチェックも、一々全部見られるわけじゃありませんから、事業者の設計からメンテナンスまでの全工程によって安全という品質がつくり込まれているのかどうか、そういう体制になっているかどうかをチェックするのが国の基本的な役目だと私は思いますけれども、このような考え方が今回の法改正に取り入れられておりますでしょうか。

○西川副大臣 科学技術に御造詣の深い先生の大変示唆に富んだ御質問であるというふうに敬意を表したいと思います。

 今、先生お尋ねの問題でございますけれども、お説のとおり、今回の法律では、安全確保をしっかり担保するためには、事業者が必要にしてかつ十分な安全確保活動というものを行える部門をきちっと持っているかどうか、それから、それが適切に機能しているかどうかを内部監査がきちっとできるかどうか、これを自己評価を行って、その結果を踏まえた改善を継続的に、ただいまのお話のとおり、工程をきちっと整備していく、この品質保証活動を全社的に行わせるということをこの法案の眼目といたしております。

 このために、速やかに原子炉等規制法の省令を改正いたしまして、事業者のとるべき品質保証活動を明確にいたしまして、事業者の保安規定の定めを求めるようにしていきたいといたしております。

 また、今般の法案では、定期自主検査として法的に位置づけることに加えまして、事業者による検査の組織、検査の方法などを国及び独立行政法人が審査、評定できる仕組みを設けることといたしております。

 したがいまして、事業者に、安全確保活動を適切にして十分な組織体制で実施し、質を高める責務を求めるということになっておりまして、国は、そのような事業者の取り組みを確認するシステムを設けて、ただいま先生がおっしゃるきちっとした安全確保というものをこの法によって万全を期してまいる、こういう仕組みになっております。

○斉藤(鉄)委員 済みません、きょうは同じ問題意識を別の角度から、ですから同じようなことを何度も聞きますけれども、お許しをいただきたいと思いますが、同じことをまた別の角度から聞いてみたいと思います。

 定期自主検査の法令上の位置づけなど、今回の法改正によって国の規制、関与が増すわけですけれども、本来であれば、先ほど申し上げましたように、全工程にかかわる一つ一つの品質のつくり込み、安全という品質のつくり込み、これが行われているか、フィードバックが行われているかということを国が見るだけで、基本的には、自己責任原則のもと、事業者の自主保安に任すべきものなのではないか、このように考えます。規制当局の能力にも限りがありますので、ある意味では、国のチェックは事業者の自主的努力の最大化を図る、そうすることによって最大の効果が得られるのではないか、このように考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○西川副大臣 御指摘の定期自主検査は、従来位置づけが不明確でございました事業者による自主的な点検を法律に基づいて義務づけるものでございます。これは、安全確保の第一義的な責務は事業者にあるという考え方に基づくものでございます。そして、事業者がその責任を適切に履行する体制がとられているかどうかについて、国及び独立行政法人が審査、評定することといたしておりまして、これにより、斉藤先生御指摘のように、事業者の努力を引き出すということに目的を置いたものであります。

 一方、従来から行ってまいりました国の定期検査につきましては、公共の安全上特に重要な設備につきまして、国みずからが検査を行うものでございまして、引き続き実施をしなければなりませんが、先ほど大臣政務官が今回の事案に基づいてのお尋ねについて御答弁を申し上げましたように、抜き打ち的手法の導入などを行いまして、事業者の緊張感を維持することでその実効性を高めていくことといたしております。

 こうした一連の改正によりまして、国と事業者の責任関係を明確にいたしまして、国、事業者双方が、この位置づけのもとでの安全確保に取り組むことができるようにいたしたものでございます。

○斉藤(鉄)委員 今までの国の検査、これは定期検査があったわけですけれども、その形骸化が言われておりました。工程全体を見るということではなくて、結果だけ見るということであったように聞いております。そして、その結果だけ見るのも、検査そのものが非常に定型化しておりまして、予行演習も行われていたというふうな話も聞いております。

 そういうことではなくて、先ほど西川副大臣お答えのように、工程全体を見ていくという方向に今回変わったということでございますので、その点を非常に期待いたしますけれども、しかし、設計からメンテナンスまで工程全体を見るということは大変な作業量でございます。そういう意味では、先ほどありましたように、結果のサンプリングではなくて、結果の抜き打ち検査ではなくて、工程全体、例えば設計かもしれない、メンテナンスかもしれない、作業のやり方かもしれない、それを抜き打ち的にチェックするということも今後非常に重要になってくるのではないかと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○佐々木政府参考人 国の現在の定期検査では、主に健全性に関する試験の結果が所定の水準を満たしているかどうかを確認することを中心に検査をやってまいりました。その意味では、いわばあらかじめ決められたことをあらかじめ決められたとおりに確認する検査を実施してきたわけでございます。

 今後、検査におきまして施設の健全性をより効果的に確認するためには、試験の結果だけではなくて、試験の手順あるいは当該設備に対する保守管理等、事業者の施設に対する保安活動全体が適切に行われていることを確認することが望ましいと考えております。したがいまして、今後、国の定期検査におきまして実施する試験の手順等のプロセスにまで検査対象を拡大し、あらかじめ確認する内容や箇所を明示しない手法、すなわち抜き打ち的な手法を用いて確認することによりまして、事業者が緊張感を持って保安活動全般を実施することが期待されるわけでございます。

 検査制度のあり方に関しまして、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会において検討をしてまいりました。本年六月に報告が取りまとめられましたが、その中でも、検査制度の基本的な考え方については、従来のあらかじめ決められた施設の健全性をあらかじめ決められたとおりに確認する検査から、施設の健全性だけでなく、施設の設置のプロセスや事業者の保安活動全体を抜き打ち的手法も活用して確認する検査に重点を置くべきとの提言もいただいております。

 私ども原子力安全・保安院といたしましては、こうした考え方を実現していくべく、今後、制度設計を真剣に考えてまいりたいと思っております。

○斉藤(鉄)委員 維持基準の導入ですけれども、これは遅きに失した感があるくらいで、今回の法改正を評価するものでございます。

 しかしながら、欠陥があった、その健全性評価をした結果、これは安全上問題がないということになったといたしましても、そういう欠陥が存在をしたということは、品質管理上何らかの技術的な示唆を与えるものでございます。したがって、その結果は当然工程にフィードバックされて、その情報が新たな品質管理活動に生かされてこなくてはいけない、このように思うわけでございます。

 ですから、今回の健全性評価も、全体の品質管理にフィードバックできるような形で位置づけられなければならないと思いますし、また、国の役目は、そういうことになっているのかどうかということをチェックするところに国の役目があるのではないかと思いますが、この点についてお伺いをいたします。

○西川副大臣 斉藤先生の御指摘は、私は大変重要だと思っております。今回のひび割れが起こったという経験を今後の私どもの法律の精神にどう生かしていくかということ、これは非常に大事なことだというふうに理解いたしております。

 そこで、維持基準の導入ということにつきましては、これは言うまでもありませんが、供用開始後の設備のひび割れが起こった今回のような場合、引き続き設備の健全性が維持されているかどうかというものを評価することを事業者に義務づける、これが一番のポイントであります。健全性の評価の結果、一定の期間は安全水準を満たし問題がないとされたひび割れでございましても、それが進展する可能性もあるということでもございますから、事業者はひび割れの発生原因を分析いたしますと同時に、ひび割れの状況を的確に把握して管理する必要がございます。

 御指摘のように、原子力安全確保に運転管理経験者の経験を生かし、設備の健全性の上で問題とならない情報を含め、その適切な蓄積、活用を図っていくことが重要でございまして、このような取り組みについて、事業者において適切な品質保証体制や工程管理体制が構築をされ、健全性評価の結果が的確に反映されるように私どもとしては求めてまいりたいと考えております。

○斉藤(鉄)委員 私ども、今回のトラブルが起きましてすぐ現地、福島そして柏崎に行かせていただきました。そして地元の方々から、我々は原子力と共存していくしかないんだ、そういう意味では、本当に安心できる、信頼できる原子力体制であってほしい、そのためには、我々が納得できる安全の審査体制、そういう基準をつくっていただきたい、こういう強い要望がありました。

 今回の法改正がその要望を一〇〇%満たすものとは思いませんけれども、その要望に向けての一歩前進というふうに評価をしておりますので、先ほど申し上げました、結果でチェックするのではなくて工程全体でチェックするという方向に今回一歩踏み出すことを望みまして、私の質問を終わります。