【衆議院災害対策特別委員会 平成13年4月12日】

○赤羽委員長 次に、斉藤鉄夫君。

○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。
 今回の芸予地震におきましてお亡くなりになられた方また被災をされた方に、お悔やみまたお見舞いを申し上げさせていただきながら、質問をさせていただきます。
 私も、前の質問者の方がずっと質問されてこられました呉市の人工擁壁の問題に的を絞りまして、質問をさせていただきたいと思います。
 現在、二十ミリ以上の雨の予測がある場合には、約二百世帯、五百人の方に避難勧告がなされております。これから梅雨を迎えるに当たって、かなり大規模な避難が繰り返されるわけでございます。これの避難者は、いずれも人工擁壁、地震によって被害を受けまして、そして雨が降ることによって二次被害の可能性がある、その破壊された人工擁壁の下に住んでいらっしゃる方々、またその上に住んでいらっしゃる方々でございます。こういう問題をどう解決するか、ずっとここでも議論が続いてきたところでございますので、ちょっと的を絞りまして、先ほど岸田委員からも話がございました阪神大震災のときの特例措置、これと比較しながら議論を進めていきたいと思っております。
 平成七年四月一日、兵庫県知事あてに、建設省の河川局砂防部長から、「災害関連緊急事業の運用について」ということで文書が発せられております。そこで、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業、これはいわゆる自然がけについてこれまで適用されてきたものでございましたが、採択基準に特例措置を設けた、このように書いてございます。そして、その特例措置の目的は、このまま放置すれば、今後の余震、降雨等により被害が拡大し施設の所有者以外の第三者に被害が及ぶおそれがある場合、また周辺の道路、公園、周辺住民の生活維持のために不可欠な水道、ガス等の各種公共施設等に被害が生ずるおそれがある場合、この場合については、これまでの自然がけに限らず、擁壁等これに類するものを含む人工壁についてもこの対象とするということになったものでございます。このことによって、二次災害の防止と民生の安定を確保するため災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業に特例を設ける、こうなっております。そして、その人工擁壁につきましては、「急傾斜地の高さが十メートル(人家等に実際の被害があったものについては五メートル、人家等に実際の被害があり、且つ、周辺住民に二次的被害を生じる恐れがあるものについては三メートル)以上であること」というように明快な基準が引かれておりまして、民民でありましても、二次災害そしてまた公共施設に大きな被害が及ぶことが明らかな場合は特例を設けるということが阪神大震災のときに行われているわけでございます。
 確かに阪神大震災と今回の芸予地震は違うと思いますけれども、しかし、現実に今、雨が降るたびに五百人以上の人が避難をしているという意味、またその方々にとってはある意味で同じ状況ではないかと思います。この点についてお答えを願います。

○竹村政府参考人 ただいま委員が御指摘の阪神・淡路における特例につきましては、全くそのとおりの内容でございますので、繰り返すことは避けさせていただきます。
 阪神・淡路のときは、もう御承知のとおり、兵庫県、神戸市の行政がいわゆる壊滅状態になるような大変な被害でございました。標準税収額をはるかに上回る公的被害、民的被害が生じたわけでございます。そのために、政府としましては、立法を設けまして、内閣総理大臣を本部長とする対策本部を設けまして、その中で検討し、今御指摘のような阪神・淡路における民間の人工擁壁につきましても、第三者への被害そして公的被害が考えられるということで、国の関与と申しますか、国がこの事業を採択していくという姿勢で臨んだわけでございます。
 私ども、広島県が取りまとめた報告を現在待っている段階でございまして、早急にその報告を受けまして、その被害の内容、実態、そしてこれからの心配等をきちんときめ細かく聞きまして、私どもの次の方針を立てていきたいと思っております。
 よろしくお願いします。

○斉藤(鉄)委員 阪神の場合と今回の場合と、自治体が負担する額も違うことも考え合わせるという御答弁でございましたが、先ほど岸田委員からも話がございました呉の特殊性、昭和十八年には、あのすり鉢状の小さなところに四十万という人口でございます。私も地元でしたので何度も行っておりますけれども、石垣もほぼ直角に近い、直角に近い上にそういうたくさんの軍人さんまたは海軍工廠に勤める方の住宅でしょう、上に行きますと、せり出して宅地をできるだけ確保しているというところもたくさんございます。そういう当時の一つの国としての要請があって、そういう住宅事情また市街地になっているということもございます。
 また、現実に、今も自分の力でできる人はもう行っております。自分のがけの崩壊によって、その下に住んでいらっしゃる方、十世帯、二十世帯という方が現実に雨が降るたびに避難をしている。もうそれに耐えられなくて、自分の力で一生懸命修理をされている方もたくさんございます。
 民民でやるということは十分みんな知った上で、しかし、老齢の方も多い、資力のない方も多い、そういう中で、阪神・淡路とは比べ物にならない被害の小ささではございますが、現実に悩んでいらっしゃる方は同じ悩みでございますので、ぜひこの特例を市また県当局とも打ち合わせて適用していただきたい。県は、先日の県議会で、国が決断すれば県も半分出す、このように県知事が答えております。
 もう一度御答弁をお願いいたします。

○竹村政府参考人 私ども、さまざまな災害を受けて、その災害のたびにさまざまな教訓を学びながら施策を展開しているわけでございます。阪神・淡路もそうでございました。
 今回の呉、広島の災害におきましても、特に今委員御指摘のような呉の歴史的な背景等を私どもこれから十分聞いて、地元からその内容を聞きまして、国がやるべき内容、県がやるべき内容、そして市がやるべき内容、きちんと整理して、住民の方々が安全に、安心して生活できるような体制に、そのような状況になるように私どもも検討していきたいと考えてございます。

○斉藤(鉄)委員 阪神大震災の場合を見ておりますと、この緊急急傾斜地崩壊対策事業、きちんと基準が設けられております。人家五戸以上または公共的重要建築物・施設に著しい被害を及ぼすおそれがある場合。所得制限もございます。また、急傾斜地の高さについても、二次的被害を及ぼすおそれがある場合三メートル以上。そして実績として、件数といたしましては百三十五件五百十六宅地、事業費としては七十四億六千万円という形でこの事業が行われております。
 同じ質問を何度もいたしますけれども、実際に被災されている人の苦しみは同じ、また二次災害のおそれも神戸の場合と同じだと思います。ぜひ対処方よろしくお願いいたします。もう一度御答弁をお願いいたします。

○竹村政府参考人 御指摘のように、震災全体の規模は違いますが、被害を受けた方々から見たら全く同じ状況の被害でございまして、私どもはそれは十分承知しているわけでございます。
 同じような答弁になって大変恐縮でございますが、私ども、国としてやれる内容、県がやるべき内容、市がやるべき内容、それぞれを連携しながら、どうやってその地域が安全になるか、呉市が安全になるかということについて、これから真摯に検討してまいりたいと考えてございます。

○斉藤(鉄)委員 どうか前向きな検討を、また実際に被害に遭われた方、またその地元自治体の実態に即しながら、よく聞きながら、対策をとっていただきたいと心からお願いをする次第でございます。
 急傾斜地問題については以上です。
 もう一つ、今回の芸予地震と少し離れますけれども、三宅島の避難島民支援について質問をさせていただきます。
 三宅島からの避難島民の大半が短期間の避難のつもりでございましたが、つまり着のみ着のままで島を出た、そういう状況でございましたけれども、非常に長期にわたっております。この中で失職した人もたくさんいらっしゃる。当然、働く場所がなくなった方がほとんどでございますので、失職した人もたくさんいらっしゃる。そういう失職した人の約三割の世帯に借入金があるそうです。その借入金の残金の平均は、一千二百万円。これは事業者も含まれておりますので、ちょっと高い金額になっておりますけれども、借金の残金の平均は千二百万円。そして災害前、毎月五万円以上ローンを返済していた人というのが約六割、十万円以上の人も約三割いらっしゃいまして、そういう状況の中で失職をして、既存ローンの返済が非常に経済的圧迫要因となっているという状況にございます。
 この中で、特に事業者、被災中小企業の方の既存ローンにつきましては、中小企業庁そして民間金融機関の配慮もございまして、平成十三年度につきましては元本返済猶予をする、そして利子については利子補給による無利子化を行うということが決まっております。ある意味では、事業者の方については対策がとられたわけですけれども、借入金があると答えた世帯のうち、実はその事業者の方は三五%でございまして、残りの六五%、三分の二の方は、いわゆる個人の民間のローンでございます。住宅でありますとか、車でありますとか、もろもろのローンだと思います。
 こういうローンの方にとりましても、失職中の方もたくさんいらっしゃいます、この事業者と同様の措置をとる、元本につきましては返済猶予、利子補給についても配慮すべきではないか、このように考えるわけですけれども、これに対して御答弁をお願いいたします。

○吉井政府参考人 ただいま先生御指摘のとおり、三宅島の噴火災害につきましては、被災住民の方々は長期にわたり大変苦しい避難生活をお過ごしのところでございますが、被災されました中小企業者の既往債務につきましては、特にその債務がかなり多額に上りまして返済額も多いというふうなことから、臨時異例の措置といたしまして、当面一年間の元本の返済猶予、それとその間の金利の無利子化のための利子補給措置が講じられたところでございます。
 住宅関係のローンにつきましては、住宅金融公庫からのローンについての支払いの猶予、据え置き期間の設定、その期間内の金利の引き下げ、償還期間の延長等の措置を実施しております。
 そのほかに、被災住民の生活支援といたしましては、都営住宅の無償提供でございますとか、生活必需品の給付、それから被災者生活再建支援金の支給等の措置を講じておりまして、長期避難により被災住民の方々が強いられている御負担の軽減を図っているところでございます。
 なお、今後とも、火山ガスの状況等を見ながら、国としてどのような対策が必要なのか、東京都等とも連絡をとりながら対応していきたいと思っております。

○斉藤(鉄)委員 対処していきたいということですが、実は昨日、私は、本当に被災されている方のことを考えて真剣にやっていこうという気持ちが政府にあるのかなと疑わざるを得ないようなことがございました。
 それは、この質問はどこに質問をしたらいいのかということで、民間金融機関のローンの話ですので財務省かな、財務省は、いやいやこれは銀行のことですから金融庁です、金融庁は、いやいや我々は別に民間金融機関に対してどうこうということは言えません、災害のことですから内閣府じゃないでしょうか、内閣府は、いやいやこんな質問、答えられませんというふうなことで、結局、答弁をしていただく方が決まったのは夜の十一時半でございました。
 つまり、だれも自分のこととして考えようとしていない。変な質問だったら仕方ないかもしれませんが、ローンで、事業者についてはこういう措置がとられた、また今一般の銀行のローンで困っていらっしゃる方、これについても同様の措置はとれないだろうかというのは、私は極めてリーズナブルな質問ではないかと思いますけれども、その質問に対してどこも答えようとしない。一体、被災者のことを本当に心から考えてやろうという気があるのかどうか、こういう気をきのう強く持った次第でございますが、もう一度御答弁をお願いいたします。

○吉井政府参考人 三宅島の噴火災害に対する被災者につきましては、お言葉でございますが、私ども政府といたしましても、非常災害対策本部をつくりまして、かねてより各省とも密接な連携をとりながら対応を真剣に考えているつもりでございます。
 ただ、昨日のことを、具体的な時間も提示してのお話でございますが、私ども、質問の内容をお伺いした時間もそう早くはございませんでしたし、具体的にこのような問題が提起されているということに関しましての整理が若干おくれたところでございます。
 ただ、私ども内閣府が災害対策全般については取りまとめてやっていこうということで、今後ともやっていきたいと思います。

○斉藤(鉄)委員 この三宅島の問題、そして今回の芸予地震の問題、私たちも現場の方、被災された方とお話をして、私たちが本当に一生懸命取り組んでいかなければならない、こういうことを強く痛感して帰ってまいりました。どうか、政府におかれましても、その気持ちで頑張っていただきたいと思います。
 終わります。